AIとがん研究(トップジャーナル) ── がん一般 ── 2026-10-03

がん一般 1 本。筆頭: 治療反応を精密に予測できる、がん遺伝子型の基盤モデルである
がん一般の分子生物学の進展とAI
- A Foundation Model of Cancer Genotype Enables Precise Predictions of Therapeutic Response
【抄録】
がん診療では、遺伝子配列解析がすでに日常的に行われている。しかし、腫瘍がもつ複雑な変異のプロファイルを、実際に使える治療方針に結びつけることは、まだ中心的な課題である。
MutationProjector は、30,000 を超える腫瘍のゲノム変化を集めた大規模データで事前学習したモデルである。豊富な分子知識も組み込んである。
このモデルが出力する射影を見ると、腫瘍で変化している分子経路が分かる。そのため、モデルの判断を解釈しやすい。学習から外しておいた変異も正確に再構成できた。この結果は、モデルの汎化性能を示している。
複数のがん種とコホートで、免疫療法や化学療法への耐性を予測した。いずれの状況でも、MutationProjector は最先端(state-of-the-art)の性能に並ぶか、それを上回った。
予想外のバイオマーカーも見つかった。免疫療法への感受性では KMT2D 変異が、免疫療法への耐性では SMARCA4 と STK11 の同時変化が挙がった。
以上の結果から、腫瘍の遺伝子型を生物学的機序と治療成績に結びつける統一的な枠組みが確立された。
【意義】本研究は、3万を超える腫瘍で事前学習した腫瘍ゲノムの基盤モデル MutationProjector を示す。これは、30,000 を超える腫瘍で事前学習した腫瘍ゲノムの基盤モデルである。このモデルは診断と治療のために、変異を生物学的な状態に対応づける。治療耐性の予測では最先端の性能を達成した。例えば KMT2D 変異(免疫療法への感受性)や SMARCA4 と STK11 の同時変化(免疫療法への耐性)など、予想外のバイオマーカーも同定した。
Kong J, Lee I, Boecher D, Singhal A, Kelly MR, Moon J, et al. A Foundation Model of Cancer Genotype Enables Precise Predictions of Therapeutic Response. Cancer Discov. 2026 May 26;16(10):2021-36. doi:10.1158/2159-8290.cd-25-1735. PMID: 42188872; PMCID: PMC13367315. [抄録のみ確認]