(1)情報提供可能な未承認薬・適応外薬等に関する使用情報(効能・効果、用法・用量関係の情報)

Q(質問)

医師又は薬剤師から未承認薬・適応外薬又は国内では認められていない用法・用量に関する情報を求められた場合、どのような情報であれば情報提供可能か。

A(厚生労働省の回答)

企業として本ガイドラインに適合し情報提供可能と判断した情報を、本ガイドラインの条件に従って情報提供することは差し支えない。

その際、提供する情報は、科学的・客観的根拠に基づき正確なものでなければならないとしているところであるが、治療ガイドラインや査読付き原著論文、FDA・EMAなど海外の行政機関が公表している審査報告書や副作用情報、海外の添付文書は、学会、海外の行政機関等により一定の評価が行われていることから、科学的・客観的根拠に基づき正確なものかどうかを判断する目安となり得る。

また、症例報告については、患者数が限られる症例等に関して情報を求められた場合等は、症例報告を恣意的に選択することなく、エビデンスが十分でないことを明確に伝えた上で、情報提供することも差し支えない。

なお、ネガティブな情報については、症例報告も含めて情報提供することが必要である。

特に留意すべき項目:(4)、(5)、(6)、(7)

So what(意味すること): 医師・薬剤師から求めがあれば、社内審査を経てガイドライン適合と判断した未承認・適応外情報を提供できる。治療ガイドライン・査読論文・FDA/EMAの審査報告書等が科学的根拠の目安となり、症例報告はエビデンスが限られることを明示した上で提供可能。ネガティブ情報も必ず含める。

So why(なぜそう定めるか): 未承認・適応外情報の一律禁止は医療現場の情報ニーズと相反するため、求めに応じた提供に限り許容しつつ、科学的正確性とネガティブ情報の開示で患者安全を担保する趣旨。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

第4の3は、医療現場で適応外使用が避けられない現実を踏まえ、企業が未承認・適応外情報を一律に提供できないとする硬直した解釈を緩和した規定である。ただし「医療関係者の求め」を必要条件とし、かつ科学的・客観的根拠に基づく正確な情報という質的要件を課すことで、販売促進活動との明確な線引きを図っている。治療ガイドライン・査読付き原著論文・FDA/EMAの審査報告書・海外添付文書が「科学的根拠の目安」として列挙されているのは、第三者機関による評価を経た資料に限って根拠性の判断基準を緩めるという趣旨であり、これらに該当しない社内文書はより厳格な審査が求められる。

典型的な場面としては、希少疾患や小児領域など国内承認例が少ない分野の専門医がFDAの審査報告書や海外ガイドラインに基づく情報を求めるケースが多い。また、腫瘍内科や神経内科では複数のレジメンが混在し、国内未承認の治療法が国際標準ガイドラインに掲載されている状況が頻繁に発生する。こうした場面で企業の医薬品情報担当者が科学的に信頼性の高い外部資料を提供することは、医師の自律的な治療判断を補助するものとして許容されている。

実務で最も誤りやすい点は「ネガティブ情報の扱い」である。有効性を支持するデータのみを選んで提供することは、症例報告であっても論文であっても、ガイドラインが禁じる「恣意的な選択」に当たる。具体的には、特定の用量での有効性を示した論文を提示しながら、同じ用量域で安全性懸念を報告した論文を省略するケースがこれに該当する。また、症例報告を提供する際は「エビデンスが十分でないこと」を口頭・書面で明確に伝えなければならず、エビデンスの限界を告げずに事実列挙するだけでは要件を満たさない。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その2) 事務連絡 平成31年3月29日 Q1