製造販売業者から販売活動の一部を委託された企業、または提携関係にある企業が医薬品の情報提供活動を行う場面は珍しくない。こうした委託・提携の構造のなかで、どの企業がどの範囲の審査・監督責任を負うのか——本条はその役割分担を明確にすることで、GLの実効性を担保する。
GLの基本原則は、販売情報提供活動を行う企業が自社で審査・監督委員会を設け、使用する資材を事前に審査することだ(第2の2)。第4章5節は、委託・提携関係が存在する場合に限り、この原則に対する特例的な免除を認める。ただし免除には厳格な条件があり、委託元・提携元の監督体制に組み込まれることが前提となる。
01特例が認められる条件——二つの要件
委託先・提携先が審査・監督委員会を設けなくてよいのは、次の二つの要件を同時に満たす場合だけだ。
第一に、使用する資材等が委託元・提携元の監督部門の審査・承認を経たものであること。この要件には付帯条件がある——資材には、その資材を作成した企業の名称が明示されていなければならない。委託元が作ったのか、委託先が独自に作ったのかを、資材上で誰でも確認できる状態にすることを求めている。
第二に、委託先・提携先の活動が委託元・提携元の定めに従って行われること。使用できる資材の範囲、情報提供の方法、禁止事項——これらを委託元・提携元が規定し、委託先・提携先がそれに則って動く体制でなければならない。
So what(意味すること): 委託先・提携先は、委託元・提携元が審査・承認した資材しか使えない。かつその資材には作成企業名が入っている必要がある。この二条件を満たさない限り、自社で委員会を設けるか、自社で審査しなければならない。
So why(なぜそう定めるか): 審査・監督の実質を委託元に一本化することで、誰も審査しない「空白地帯」を防ぐ。作成企業名の明示は、問題が起きたとき責任の所在を追跡できるようにするためだ。資材の出所が不明なまま活動が広がれば、GLへの適合を誰も検証できなくなる。
02委託先・提携先の報告義務
特例の適用を受けた場合でも、委託先・提携先側の義務がゼロになるわけではない。担当部門・担当者と監督部門は、委託元・提携元の監督部門に対して実施状況を定期的に報告しなければならない。
また、委託元・提携元が実態調査を行う場合には、委託先・提携先はその調査に協力する義務を負う。一方通行ではなく、委託元・提携元が実際に監督できる体制を双方で維持することが求められている。
So what(意味すること): 委託先・提携先は「委員会を設けなくてよい」とはなるが、実施状況の報告と調査協力の義務は残る。特例は監督義務の免除ではなく、監督主体を委託元に移転させるものだ。
So why(なぜそう定めるか): 委託元がペーパー上の承認者にとどまらず、現場の活動実態を把握・是正できるようにするには、継続的な情報の流れが不可欠だ。報告なければ監督なし——報告義務はその担保だ。
03関連団体からの指導助言——速やかな措置義務
関連団体(たとえば公正競争規約の関係団体等)から委託元・提携元を経由して指導や助言が届いた場合、委託先・提携先は速やかに必要な措置を講じる義務を負う。
「速やかに」という文言は、即時性を求めている。「次の委員会で検討する」「四半期のレビューで確認する」といった対応では足りない。外部からの指導・助言は、現場の活動に問題があることを示す重大なシグナルであり、その受領後は最優先で是正を図ることが求められる。
So what(意味すること): 外部機関の指導を受けた場合、委託先・提携先の担当部門は直ちに是正に動かなければならない。委託元・提携元を通じて届いた指導は、自社への直接指導と同等に扱う義務がある。
So why(なぜそう定めるか): 指導を受けたにもかかわらず是正が遅れれば、違反行為が継続する期間が長くなり、医療関係者や患者への影響が拡大する。速やかな措置を義務づけることで、外部監視の機能を実質あるものにする。
委託・提携構造が絡む販売活動において、第4章5節が示す原則は一貫している——委託先・提携先が独自の審査体制を持たないことを許容するのは、委託元・提携元の監督が実質的に機能する場合に限る。資材への作成企業名明示、実施状況の報告、調査への協力、指導への即時対応——これらは特例適用の代償ではなく、監督が機能していることを示す最低限の条件だ。