第1 3 販売情報提供活動の原則(2)④(他社製品等の誹謗等の禁止)

Q(質問)

医師又は薬剤師から自社製品と他社製品との有効性に関する比較情報を求められた場合、文献等にはなっていないが学会発表されている内容の情報提供は可能か。

A(厚生労働省の回答)

情報提供の取扱いはA1と同様。

引用資料については、本ガイドライン第1 3(1)③においては、「提供する情報は、科学的及び客観的な根拠に基づくものであり、その根拠を示すことができる正確な内容のものであること。その科学的根拠は、元データを含め、第三者による客観的評価及び検証が可能なもの、又は第三者による適正性の審査(論文の査読等)を経たもの(承認審査に用いられた評価資料や審査報告書を含む。)であること。」が販売情報提供活動の原則とされている。文献等にはなっていない学会発表であることのみをもって、提供不可とはならないが、学会発表は実質査読がなく、エビデンスが十分に確立されているとは言えないため、文献等にはなっていない学会発表であること、エビデンスが十分に確立されているとは言えないことを明確に説明した上で情報提供すること。また、その内容については、販売情報提供活動の一環である以上、本ガイドラインや医薬品等適正広告基準の遵守が前提となる。

So what(意味すること): 学会発表のみで文献化されていないデータでも提供自体は禁止されないが、「未査読であること」と「エビデンスが確立していないこと」を明示した上で提供しなければならない。

So why(なぜそう定めるか): ガイドラインは第三者による客観的検証が可能なエビデンスを求めており、査読を経ていない学会発表はその要件を満たさないため、限界の説明を義務付けて医療関係者の誤認を防ぐ。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

販提G第1の3(1)③は、提供情報の科学的根拠として「第三者による客観的評価及び検証が可能なもの、又は第三者による適正性の審査(論文の査読等)を経たもの」を求めている。学会発表は演題採択の審査があるものの、論文査読とは質・深度が大きく異なる。Q4は学会発表データの利用を禁じていないが、エビデンスの限界を明示する義務を課すことで、医療関係者が過大評価するリスクを抑制している。

典型場面は、学会発表のみで文献化されていない比較データ(例:抄録・スライド上の有効率の数値)を医師から求められるケースである。この場合、「この発表は査読を経ておらず、現時点でエビデンスが確立されたとは言えない」という2点を口頭でも文書でも明確に伝えた上で提供する必要がある。提供後の記録(誰に、いつ、何を、どのような説明と共に提供したか)も監査対応上重要である。

実務上の誤りとして多いのは、学会発表スライドを「参考情報」と一言添えるだけで十分と思い込むケースである。「参考情報」という表現はエビデンスの限界を十分に伝えていない。「第三者査読なし・エビデンス未確立」という具体的な説明が必要であり、これを省略した提供はガイドライン違反となる。また、学会発表を根拠に比較の数値を強調する販促行為は、求めに応じた提供の範囲を逸脱しており別途問題が生じる。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その4) 事務連絡 令和6年2月21日 Q4