(13)いわゆる虫食い効能の情報提供
Q(質問)
医師又は薬剤師から、先発医薬品は承認を有しているが、再審査期間、特許等の理由で後発医薬品が承認を有していない効能・効果、用法・用量等に関する情報の提供を、当該後発医薬品の製造販売業者が求められた場合、当該後発医薬品の製造販売業者は、先発医薬品のみが承認を有している効能・効果、用法・用量等に関する情報を提供可能か。
A(厚生労働省の回答)
先発医薬品が承認を有する効能・効果、用法・用量等について、当該後発医薬品が承認を有していない事実を情報提供することは差し支えない。
ただし、先発医薬品のみが承認を有している効能・効果、用法・用量等について情報提供することは認められない。
特に留意すべき項目:(1)、(4)、(6)、(7)
So what(意味すること): 後発品メーカーは「その効能については先発品のみが承認を持っており後発品は未承認である」という事実の告知は可能。ただし、未承認の効能・効果の内容そのものを説明・提供することは禁止される。
So why(なぜそう定めるか): 未承認の内容を情報提供することは後発品の適応外使用を促すことになり、ガイドラインの原則(項目1・4・6・7)に反するため、事実の告知と内容の提供は区別される。
解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意
「虫食い効能」とは、先発医薬品が取得している効能・効果や用法・用量の一部を後発医薬品が再審査期間や特許の存続などの理由で承認されていない状態を指す。後発品メーカーにとっては、処方する医師・薬剤師が先発品と後発品の適応範囲の違いを知らずに投与するリスクがあることから、何らかの情報提供が必要になる場面がある。本問は、その情報提供をどこまで行えるかの限界線を示す。
認められる情報提供は、「この効能については先発品は承認を持っているが、弊社後発品は承認を有していません」という事実の告知に限られる。たとえば、添付文書の効能欄を用いてどの適応が後発品では適応外であるかを医師に説明することは、虫食いの事実を知らせる行為として認められる。
禁じられるのは、先発品のみが承認を持つ効能の内容そのものに踏み込んだ情報提供である。たとえば「先発品では〇〇の効能を持っており、エビデンスはこれです」と提供することは、自社後発品が承認を持たない適応外情報を実質的に提供していることになり、禁止される。実務上特に注意が必要なのは、虫食い効能に関して医師から詳しく聞かれた際に「詳細は先発品のMRに問い合わせてください」と誘導する形を取ることは問題ないが、企業自らが未承認の効能を説明してしまうことは許されない。事実の告知と効能の説明を常に区別した対応が求められる。
出典: 厚労省 販提G Q&A(その2) 事務連絡 平成31年3月29日 Q26