第2 2 社内体制の整備
Q(質問)
販売情報提供活動監督部門は、「販売情報提供活動の担当部門から独立した形で社内に設け」とあるが、モニタリングに関する業務を行う実務担当者として、営業活動の実態に精通した営業部門の従業員を活用することは認められるか。
A(厚生労働省の回答)
モニタリングに関する業務を行う実務担当者は、販売情報提供活動の担当部門から独立した部門に所属する者とすることが望ましいが、販売情報提供活動監督部門において、より実効的なモニタリングを行うために必要であると判断し、販売情報提供活動の担当者の経験等を活用することを否定するものではない。
ただし、販売情報提供活動の担当者がモニタリングに関する業務を実施するに際しては、モニタリングの手順や評価項目を客観的に定めることや、当該担当者の販売情報提供活動監督部門における人事上の位置づけを明確にすること等により、適正なモニタリングが行われるための体制を構築するとともに、こうした担当者は、当然のことながら、販売情報提供活動の担当部門との関係にとらわれることなく監督業務を適切に判断、実施することが求められる。
So what(意味すること): 営業経験者をモニタリング実務担当者に充てること自体は禁止されていないが、手順書・評価項目の客観的明文化と人事上の所属明確化が前提条件となる。
So why(なぜそう定めるか): 営業部門との利害関係が残ったままでは、監督の独立性が形骸化し、不適切な資材が審査を通過するリスクが生じるため。
解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意
本Q&Aが問うのは、「独立性」という概念の実質的な意味である。ガイドラインは販売情報提供活動監督部門を担当部門から独立させるよう求めているが、この独立性は「組織図上の分離」を意味するだけでなく、「利益相反のない立場での判断」を確保する仕組みとして機能しなければならない。営業部門経験者をモニタリング担当に活用すること自体は否定されないが、それが認められる前提として、手順書・評価項目の客観的明文化と人事上の所属明確化という二つの構造的措置が不可欠である。
典型的な適用場面として、規模が小さくコンプライアンス専門人材が限られる中規模製薬会社が、現場の実態に精通した経験豊富なMR経験者を監督部門のモニタリング実務担当として配置するケースがある。この場合、当該担当者が「監督部門の所属員」として人事上明確に位置づけられ、自らがかつて所属した営業部門のモニタリングにも中立的に関与できる体制が文書化されている必要がある。
実務でよく誤解されるのは、「モニタリングを担当する人間が独立部門に物理的に所属しているか否か」のみで独立性を判断してしまう点である。本来は、①評価チェックリストが主観的裁量の余地なく設計されているか、②担当者の指揮命令系統が販売部門から完全に切断されているか、③モニタリング結果が販売部門のプレッシャーなしに監督部門責任者に報告できるか、の三点を総合的に確認しなければならない。営業経験があること自体はむしろ実効的なモニタリングに資するが、その経験を中立的に用いるための制度設計が先行することが求められる。
出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q20