このカテゴリーには10事例が収録されている。大多数は、資材や講習会で引用した論文のCOI(利益相反)を表示しなかった、あるいは開示スライドを確認できないほど短時間しか提示しなかった事例だ。2016〜2020年にわたって繰り返されており、媒体も「印刷資材・動画・説明スライド・Webセミナー」と多岐にわたる。また、企業主催の講演会で演者が主催企業製品を過度に宣伝した事例や、承認後1年以内で長期処方が制限されている医薬品について「倍量処方すれば長期処方が可能」と説明した事例も含まれる。共通するのは、医療関係者が情報を正しく評価するために必要な文脈——誰が誰の資金でその研究を行ったか、どの規制が処方期間を制限しているか——が医療関係者に届かなかった点である。

「07番のカテゴリーを見て、最初に気づいたことは?」

結衣「COIの不開示が多いですね。論文を引用するときにCOI表示を省いた、あるいはWebセミナーで開示スライドを出したけど数秒しか映さなかった、という事例がほとんどです。媒体が動画だったり印刷資材だったりで、共通するのは『引用している』という点かな、と。」

「なぜCOIを開示しなければならないか、説明できる?」

結衣「試験結果の解釈に影響するからです。著者と製薬企業との間に資金提供関係があれば、医療関係者はその点を考慮してデータを読む必要がある。それが分からないまま引用されると、論文の信頼性を正しく評価できません。」

「そう。販提Gの原則(2)禁止行為の中に、情報提供の際に自己・自社と医療関係者等との利益相反関係を明示しないことが明記されている。では、07-06の事例はCOIスライドを一応映したのに問題になった。なぜだと思う?」

結衣「時間が短すぎて内容が確認できなかった、とあります。形式だけ整えて実質的な開示になっていなかった、ということですね。審査でいうと、スライドが存在するかどうかではなく、医療関係者が実際に読めたかどうかを問わないといけない。」

「正確に言えば。それと、07-07と07-10は他と少し毛色が違う。読んでみて。」

結衣「承認後1年以内で長期処方が不可な医薬品について、倍量処方なら長期処方が可能と説明した……これは新薬の処方期間制限を意図的に迂回しようとしている事例ですね。COI不開示とは別の話です。」

「このカテゴリーにはサブ分類として⑧が混在している。倍量処方の誘導は、薬機法の承認内容に沿わない使用を促すことになるし、安全性監視の趣旨を壊す行為でもある。資材審査で倍量処方の説明を見かけたとき、どこを確認すべきか分かる?」

結衣「まず添付文書の用法用量欄、それから承認年月日と新薬の処方日数制限規定の適用期間を確認します。倍量が承認された用法かどうか、そこが最初の確認点ですね。」

「もう一点。07-08は企業主催講演会で演者が主催企業製品を過度に宣伝した事例。これは演者のCOIだけでなく、講演会の構成そのものに問題がある。審査者として事前に何を見る?」

結衣「プログラムの設計です。講演テーマが製品PRと一体化していないか、演者への謝礼と発表内容の関係、Q&Aで担当者が誘導していないか。資材以外の部分も審査の視野に入れないといけない、ということですね。」

報告書からの実例 10 件

07-012016年度プロトンポンプ阻害薬パンフレット(2016 年 11 月作成)
何が起きたかP社がモニター医療機関の医療関係者に配布したパンフレットには、引用文献の謝辞に「共著者に企業従業員がいる」「研究費は全額企業負担」と記載されていたにもかかわらず、パンフレット本体にはその旨が一切記載されていなかった。
当局見解製薬企業の関与の状況を明記していない。
切れた力リスク検知力・知識
次の一手引用文献の謝辞・資金源・著者所属を必ず確認し、企業関与が確認された場合はパンフレット本体への明示を求める。
07-022016年度抗がん剤企業のホームページ
何が起きたかQ社のホームページで抗がん剤の漏出リスク低減への取組を紹介する箇所に引用された文献には、共著者として当該企業の社員名が記載されていたが、ホームページ上にはCOIに関する記載がなかった。
当局見解製薬企業の関与の状況を明記していない。 このような利益相反に関する事項を明記しなかった事例を踏まえ、医療関係者は、製薬 企業からプロモーションを受ける際には以下の点に注意することが必要である。  引用文献等については、製薬企業の関与がないか等を確認する。 (7)参考 ※医療関係者向けの情報提供等ではないため参考として掲載した。
切れた力リスク検知力・知識
次の一手Webコンテンツでも引用文献の著者リストを確認し、企業社員が含まれている場合はCOI表記の追加を書面で要求する。
07-032016年度抗がん剤患者向け服用ハンドブック(2015 年 2 月作成)
何が起きたかR社が作成した患者向け服用ハンドブックに「生存期間や進行抑制効果が科学的に認められている唯一のお薬です」と記載されており、有効性が示された疾患・用法の限定を明示しないまま「唯一」と表現したことで、患者がそれ以前の治療の意義を否定するような誤解を持ち、医療関係者への質問が生じた。
当局見解有効性が示された方法や効果の範囲の限定が十分でない中で“唯一の薬”と表現すること で、患者に他剤の効果がないような事実誤認を与えかねない。 おわりに 本事業は、 「はじめに」で述べたとおり、新たに広告活動監視モニター制度を構築し、広 告違反に該当する行為を早期に発見して、行政指導などの必要な対応を図ることや製薬企 業や業界団体等による自主的な取組を促すこと等によって、製薬企業による適正な広告活 動を確保するための環境整備を進めることを目的として実施したものである。 本事業を実施した結果、次の 4 点が明らかとなった。 第一に、①未承認の効能効果や用法用量を示した事例、②事実誤認の恐れのあるデータ 加工を行った事例、③事実誤認の恐れのある表現を用いた事例、④信頼性の欠けるデータ を用いた事例、⑤安全性を軽視した事例、⑥利益相反に関する事項を明記しなかった事例 など、不適切な事例が依然として多くあるということである。今回はわずか 3 か月間とい う短期間のモニタリングに過ぎなかったことを踏まえると、医療現場ではこういった不適 切な広告活動が依然として多く行われていることが推察される。 第二に、記事体広告等の広く公表する資料については不適切と判断された報告事例は多 くはなかったものの、製薬企業担当者が医療機関を訪問し、そこに従事する医師・薬剤師 等に対して製品説明・情報提供を行う場合など、いわば“クローズドな場”において不適 切と判断される説明資料・口頭での説明が多くあったということである。中には、MR が画 面で説明するのみで紙ベースの資料を配布しないなど、意図的に証拠を残さないよう情報 提供を行っているのではないかと疑われるケースも散見された。 第三に、企業のホームページや、医療関係者向け情報サイト、Web セミナーなどのイン ターネットを介した情報提供も多いということである。こうしたインターネット上の情報 提供では、氏名・所属等を登録しなければ閲覧できず、行政機関等が広告監視を行えない ものも多くあり、モニターの“監視の目”が必要となっている。 第四に、副次的な効果と言えるが、本事業を通じて、モニター医療機関の主担当者(モ ニター)の広告活動監視に関する技能が向上したということである。具体的には、事例検 討会での学識者・有識者からの質疑や助言を得、他のモニターからの事例報告を共有して いく中で、どのような事例がどのような観点から不適切と判断されるのか、適切性を判断 する上でどのような資料を確認すればよいのか等、広告活動監視の視点が意識されるよう になった。この点については、モニター自身も認識し事例検討会で多くのモニターから意 見が挙げられた。 上記 4 点について述べたが、これらの点を踏まえると、次年度以降の広告活動監視モニ ター制度の在り方を含め、製薬企業による適正な広告活動を確保するための環境整備の一 環として、いくつかの検討すべき課題が挙げられる。 第一に、モニター医療機関の秘匿性と事例報告の取扱いの問題である。製薬企業によっ て広く公表されている資料であれば、不適切事例について必要に応じて行政指導を行うこ とができるが、MR 個人と医療関係者の“クローズドな場”での情報提供である場合、モニ ター医療機関が特定されかねないケースも想定される。こうした場合の疑義報告事例をど のように取り扱うことが適切か“出口”の在り方をより詳細に詰めておく必要があると思 われる。 第二に、医療現場や製薬企業等によるセミナー等では証拠を残さない形での情報提供も 広く行われている。証拠がないため、都道府県を通じた行政指導等を行いにくいというこ ともあり、こうした事案の解消に向けてどのような戦略が採りうるのかという問題である。 第三に、インターネットや“クローズドな場”での証拠を残さない形での巧妙な情報提 供が多くなっていく中で、どのように広告活動監視モニター制度をより効果的に機能させ ていくかという問題である。モニター医療機関やモニターの数を増やすことも一つの解決 策になりうるが、さらにより多くの不適切な情報を早期に発見し、改善を図るにはどのよ うにすべきか、長期的な視点で検討していくことが必要である。 第四に、情報の受け手の問題である。医療現場の医療関係者は製薬企業から可能な限り 情報を得たいと考える。しかし、欲しい情報は信頼性のおける情報である。したがって、 製薬企業の担当者によって提供された情報が適切なものかどうか判断基準を持つことが重 要となってくる。大学病院などをはじめ教育体制が充実している医療機関ではこういった 医療用医薬品の広告活動監視の視点の教育が比較的しやすいかもしれないが、これをどう 広く展開していくかといったことが今後の課題といえる。 こうした課題解決に向けて、短期的な視点からは、次年度の広告活動監視モニター制度 における、①モニター医療機関の数と選定方法、②モニターの職種、③今年度事業でノウ ハウを得たモニターの活用方法、④調査対象の選定(対象領域・広告媒体等)、⑤“出口” を見据えた情報収集活動の在り方等について早急に検討する必要があると思われる。また、 “出口”とも関係するが、製薬企業や業界団体による自主基準等を含めコンプライアンス 遵守の徹底について強い要請が必要である。製薬企業の本社が不適切な広告・情報提供活 動を把握しながら黙認しているのか、あるいは本社では把握できていない営業所単位での 活動なのか、MR 個人の判断によるものかは不透明であるが、いずれにせよ、このような活 動は厳に慎むよう、製薬企業や業界団体等自らがコンプライアンス遵守の徹底を図り、適 切な広告活動を行うよう改善していくことが強く望まれる。 次に中長期的な視点からは、モニター制度等を通じて、情報の受け手側の教育・研修を 図っていくことの重要性が指摘できる。情報の受け手側である医療現場の医師・薬剤師等 が判断基準を持って製薬企業に適正な広告活動を行うよう求めていく姿勢が肝心である。 こうした土壌を整えつつ、不適切事例を発見した場合に通報しやすい、逆から見れば早期 に情報収集できる仕組みを検討することも必要であろう。 これらの取組を通じて、製薬企業による適正な広告活動が確保されることが強く望まれ る。 厚生労働省 医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課委託事業 医療用医薬品の広告活動監視モニター事業 報 告 書 平成 29(2017)年3月 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 〒105-8501 東京都港区虎ノ門 5-11-2 電話:03-6733-1024
切れた力知識・リスク検知力
次の一手「唯一」「科学的に認められている」などの絶対的表現が使われている資材では、効能効果の範囲と対象集団の限定が資材内に明示されているかを確認し、不十分な場合は表現の修正を求める。
07-042018年度鎮痛薬医療関係者向け情報サイト上の製品紹介動画
何が起きたか医療関係者向け情報サイトの製品紹介動画で、本剤の安全性を示すために引用した論文の責任著者が当該企業の「医学専門アドバイザー」として報酬を受けていたにもかかわらず、動画内にCOIの表示がなかった。
当局見解製品紹介動画において、原著論文の COI を表示しなかった。
切れた力リスク検知力・知識
次の一手動画・映像資材においても引用論文の著者と企業との報酬関係を確認し、COI開示が動画内に明示されているかをチェックリストに加える。
07-052018年度利尿薬プレゼンテーション用スライド
何が起きたか院内説明会で使用されたプレゼンテーションスライドにおいて、本剤の有効性を示すために引用した論文にCOIが存在していたにもかかわらず、スライド上にその旨の表示がなかった。
当局見解説明スライド中に、原著論文の COI を表示しなかった。 (2)不適切なプロモーション活動の例 本事業を含め、過去 3 年間で得られた疑義報告事例、事例検討会での検討結果等をもと に、製薬企業のプロモーションについて不適切として挙げられた主な行動を以下にまとめ た。 ①MR による口頭説明について (承認範囲外の効能効果や用法用量をほのめかす説明) 海外での効能効果を紹介する 例)「日本の効能効果は限定的だが、海外では**も効能効果として認められている」 将来的な適応範囲の拡大を示唆する 例)「今後は日本でも**が効能効果に認められるだろう」 副作用を効能効果のように紹介する 例)「(成分**が過剰となる副作用の医薬品について)**の上昇が期待できる」 レセプト審査で査定されにくい用法用量を紹介する 例)「適応外だが**という使い方であれば保険の審査で査定されない」 (エビデンスがない説明や、効能効果・安全性等を誇大に見せる説明) 他の医療機関の評判や製造販売元の考え、個人の意見等を、科学的根拠を示さずに伝 聞調で紹介する 例)「他院では**と評判である」、「製造販売元では**と言われている」 、 「味が良い、使いやすい」 非劣勢試験の結果を用いて、他剤に対する優越性を主張する 他の医薬品の特徴を本剤の特徴のように紹介する 例)「自社では**な医薬品を製造しているので、この製品も**である」 関連性のない事実を根拠に優位性を主張する 例)「ガイドラインの掲載順が他剤よりも前である」 、「AG と後発医薬品における溶出 性の差は効能効果に影響がある」 対照薬と一対一で対応していないデータや事実に基づき、優位性を主張する 例)「(有効成分は同じだが剤型が異なる対照薬のデータを示して)有効成分も剤型も 同じ対照薬に対して優位性がある」、 「(活動期では既存薬 A のみ、寛解期では既存 薬 B のみに対して非劣性が示された事実について)活動期も寛解期も既存薬に比 べて非劣性が確認できた」 医薬品リスク管理計画(RMP)の記載内容や副作用について情報提供しない(担当者 が十分に理解していない) ②プロモーション資料について (信頼性に欠けるデータを用いた資料) 承認時資料や査読を受けた論文以外のデータを紹介する 症例数が少ないデータで優位性を主張する 臨床データと関連がない非臨床データを紹介する 優位性を顕著に示せる臨床試験結果のみを紹介する 統計解析の手法や結果を記載しない 承認されていない用法用量や効能効果に関するデータを紹介する (引用文献の図表を加工した資料) 軸の最大値を調整したり、軸の尺度を変更したりして差を強調する 補助線や矢印の追加、着色等を行い差を強調する 引用文献の図表のうち優位な部分のみを抜粋する 例)対照薬と自社製品の比較結果から自社製品のみを抜粋する、3 時点での比較結果か ら最も差の大きい 1 時点のみを抜粋する、複数の対照薬との比較結果から特に優 位性が示せたり論旨に合ったりする対照薬のデータのみを抜粋する 引用文献にないデータを追記する 例)引用文献には自社製品群とプラセボ群のデータのみであったが、新たに群間差の データを追記して差を強調する 引用文献のデータの掲載順を変更する 例)複数のデータを示した棒グラフにおいて、効能効果が誇大に見えるデータや副次 的な効果を示すデータを目立つ位置に変更する 引用文献の補足事項をもとにデータを修正する 例)引用文献では盲検期・非盲検期を合わせたデータ(非盲検期に関する補足事項あ り)だったが、差が大きくなるように盲検期のみのデータに変更する (事実誤認の恐れのある構成・表現を用いた資料) 製品説明会の趣旨とは異なる内容について説明する 例)適応追加に関する説明会で“従来の適応”に関するデータを混在させる、製品説 明会の対象でない医薬品を推奨する 明確に区別すべき情報(承認審査の対象データと非対象データ、主要評価項目と副次 評価項目、参考情報等)を区別せずに記載したり並列に扱ったりする データを誇張したかのような見出しやタイトルを付ける 例)当該データでは示唆できない内容について「**のような傾向を示す」と見出し をつける 利益相反があることを明示しない
切れた力知識・リスク検知力
次の一手説明会用スライドの審査では有効性・安全性の根拠として引用された論文のCOI欄を原著で確認し、未開示の場合はスライドへの追記を求める。
07-062019年度入眠剤Web 講習会
何が起きたかWeb講習会において、主催企業とのCOI関係がある演者がCOIスライドを冒頭に提示したが、表示時間が瞬きする間に消える程度の極めて短時間であったため、受講者は内容を確認できなかった。
当局見解Web 講習会において、COI に関するスライドの表示時間が短く受講者が内容を確認する ことができなかった。
切れた力第六感・リスク検知力
次の一手COIスライドには最低表示時間の基準を設け、実際のWebセミナーでスクリーンショットや録画で表示時間を確認するよう審査プロセスに組み込む。
07-072019年度鎮痛剤企業担当者による口頭説明
何が起きたか企業担当者(MR)が医師に対して、薬事承認後1年以内のため長期処方が不可の鎮痛剤について、倍量処方の形式をとることで実質14日分以上の処方が可能だと口頭で説明した。
当局見解承認後 1 年以内につき長期処方が不可の医薬品について、倍量処方により 14 日分以上の 処方が可能だと説明した。
切れた力知識・リスク検知力
次の一手承認後1年以内の新医薬品を含む資材・口頭説明の審査では、処方日数制限の回避を示唆する表現がないかを確認し、該当する場合は直ちに是正を求める。
07-082019年度輸液類全般(特定の製品ではない)企業主催の講習会
何が起きたか企業が主催した講演会において、演者が主催企業の輸液製品を過度に宣伝する説明を行った。企業主催講演会での演者の発言の責任は主催企業が負うと整理されている。
当局見解企業主催の講演会での演者の説明も主催者企業が責任を負うが、演者が過度に主催企業 の製品を宣伝した。
切れた力リスク検知力・伝達力
次の一手企業主催講演会の演者スライドや発言予定内容を事前に審査し、製品の過度な推奨が含まれていないかを確認するとともに、演者へのブリーフィング記録を残す。
07-092020年度(特定の製品ではない)Web セミナー
何が起きたかメーカー主催のWebセミナーにおいて、いずれの発表者もCOI開示を行わなかった。発表者はメーカーからCOI開示を求められなかったと説明しており、主催者側の管理の欠如が確認された。
当局見解メーカー主催の Web セミナーにて、発表者による COI 開示が行われなかった。
切れた力知識・リスク検知力
次の一手Webセミナーの審査では全発表者のCOI開示が主催者から指示・確認されているかを事前に確認し、開示がない場合はセミナー開催前に是正を求める。
07-102020年度不眠症治療薬企業担当者による口頭説明
何が起きたかMRが医師に対して、承認後1年以内のため処方日数制限がある不眠症治療薬について、用法用量の上限量の半分を1回に2錠処方することで実質28日分の処方が可能だと提案した。
当局見解承認後1年以内につき長期処方が不可な医薬品について、倍量処方により 28 日分の処方 が可能だと説明した。
切れた力知識・リスク検知力
次の一手口頭説明の内容が処方日数制限の実質的な回避を提案していないかを確認する審査基準を明文化し、MR訪問時に同席した医療関係者からの情報収集ルートを整備する。

しくじりの解剖 ── カテゴリー一覧(全 8 区分)

  1. 01. 未承認・適応外の効能効果・用法用量を示す(33件)
  2. 02. エビデンスなし・信頼性を欠く説明(69件)
  3. 03. データの抜粋・改変・恣意的加工(33件)
  4. 04. 誇大・事実誤認の表現(28件)
  5. 05. 有効性のみ強調・安全性を軽視した情報提供(22件)
  6. 06. 他社製品の誹謗・中傷(28件)
  7. 07. 利益相反(COI)の不開示と講演・処方誘導の逸脱(10件)(本カテゴリー)
  8. 08. 分類横断・手続き不全による複合違反(4件)
この区分の要点
  1. COI開示は形式(スライドの存在)ではなく実質(医療関係者が実際に確認できたか)で判断する。数秒の表示や印刷資材への未記載はいずれも未開示と同等に扱われる。
  2. 倍量処方による処方期間制限の迂回は、承認された用法を逸脱する誘導であり、新薬の安全性監視の趣旨を損なう。添付文書の用法用量と承認年月日を照合して判定する。
  3. 企業主催の講演会・Webセミナーでは、演者のCOI開示だけでなく、プログラム設計・演者選定・司会進行の全体を審査の対象とする必要がある。
出典・参考
  1. 厚生労働省「医療用医薬品の販売情報提供活動監視事業(旧:広告活動監視モニター事業)報告書」(2016〜2024年度)。
  2. 販提G 第1の3 原則(2)七つの禁止行為:情報提供を行う際に、自己又は自社と情報提供を受ける医療関係者等との利益相反関係を明示しないこと
  3. 販提G 第1の3 原則(1)4要件:科学的・客観的・公正な根拠に基づいた情報提供
  4. 薬機法第66条(誇大広告等の禁止):「唯一の医薬品」など事実に反する優位性表示(07-03に関連)