第1 3 販売情報提供活動の原則(1)
Q(質問)
④について、利益相反に関する具体的内容が「明記されたものであること」とあるが、引用する論文中に利益相反に関する記述がない場合には、分かりうる情報のみを記載することでよいか。
A(厚生労働省の回答)
当該規定は自社との利益相反関係に関するものであり、自社の行った物品、金銭、労務等の提供の確認は当然に行われるべき事項である。このため、当該確認ができない論文の使用は差し控えるべきである。
なお、既に作成して使用されている販売情報提供活動の資材等については、順次利益相反に関する記載の見直しをすること。
So what(意味すること): 利益相反の記述が論文にない場合でも、自社が行った金銭・物品・労務提供の有無は自社で確認できるはずであり、その確認ができない論文の資材への使用は認められない。「分かる情報のみ記載」という形での簡略化は認められない。
So why(なぜそう定めるか): 利益相反管理の規定は製薬企業が「第三者の論文」として提示する情報の信頼性を担保するためのもの。自社との関係の有無は企業側が常に把握可能であるため、知らなかったという言い訳は許されない。
解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意
利益相反(COI)管理の規定が問題とするのは、製薬企業と研究者・著者との間の金銭的・物質的な関係であり、その確認主体は製薬企業自身である。論文にCOI開示欄がない、あるいは「なし」と記載されているからといって、製薬企業が独自の確認をしなくてよいことにはならない。自社が研究者に提供した金銭・物品・役務は自社の帳票・記録で確認できるはずであり、この確認を怠ることは許されない。
典型場面として、研究医師が自社品を使用した試験を実施した際に、その医師への講演謝金・コンサルタント料・研究助成の支払いがあったにもかかわらず、論文のCOI欄が空欄または「著者間に利益相反なし」と記載されているケースがある。この場合、自社との利益相反は自社の支払記録から確認できるにもかかわらず、論文の記載だけを根拠に問題なしと判断することは認められない。
この規定の特徴的な点は、「分かりうる情報のみ記載でよいか」という問いに対して明確に「否」と回答し、「確認ができない論文の使用は差し控えるべき」と踏み込んでいることである。確認が困難であれば使用禁止という厳格な立場が採られており、その反面で、既存資材についての経過措置として「順次利益相反に関する記載の見直しをすること」という現実的な移行対応も求めている。
出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q17