第1 3 販売情報提供活動の原則(2)④(他社製品等の誹謗等の禁止)
Q(質問)
医師又は薬剤師から自社製品と他社製品との有効性に関する比較情報を求められた場合、情報提供可能か。
A(厚生労働省の回答)
情報提供の取扱いはA1と同様。
なお、患者背景等の異なる臨床試験の成績を調整することなく比較すること等、単に比較した情報を提供することが科学的に公平な比較とは言えない場合があることから、情報提供にあたっては、本ガイドラインに基づき、比較情報の出典を明らかにする等の対応が必要である。また、主要評価項目、副次評価項目等の位置付けを明確にする必要がある。
So what(意味すること): 有効性比較はA1の4条件に加え、出典の明示と主要・副次評価項目の区別が必須。患者背景が異なる試験を無調整で並べるだけでは科学的公平性を欠くとみなされる。
So why(なぜそう定めるか): 有効性データは試験デザインや患者背景で解釈が大きく変わるため、比較の限界と評価項目の位置付けを明示する義務を課して誤認を防ぐ。
解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意
有効性の比較情報は、医師の処方選択に最も直接的に影響するため、科学的公平性の要件がとりわけ厳格に適用される。Q3が明示する核心は「患者背景等が異なる複数の臨床試験の成績を、調整なしに並べて提示することは科学的に公平とはいえない」という点である。これはネットワークメタ解析を経ない単純な数値比較(いわゆる間接比較)の限界を指摘したものである。
典型的な場面は、医師が「A薬の主要評価項目の改善率はB薬より高いか」と質問するケースである。仮に自社品の試験では主要評価項目の改善率が60%、他社品の個別試験では50%というデータが存在しても、それぞれの試験で患者の重症度・年齢・併用薬が異なれば、数値をそのまま並べることはできない。提供できるのは「各試験の設計と条件を明示したうえで、直接比較のエビデンスがないことを説明した情報」である。
特に注意すべきは評価項目の位置づけの明示である。ある試験で「副次評価項目」として示されたデータを、他社品の「主要評価項目」と並列比較するのは科学的に公平ではない。MRが一覧表等を作成する際は、主要・副次の区別を必ず記載し、対照群の設定や観察期間も示すことが求められる。この情報を省略した比較一覧は、行政から「科学的公平性を欠く」と判断されるリスクがある。
出典: 厚労省 販提G Q&A(その4) 事務連絡 令和6年2月21日 Q3