第2 2 社内体制の整備
Q(質問)
日本法人の社長の指揮監督下にない、グローバルの組織に所属する者(例えば、日本法人のコンプライアンス部門が、日本法人の社長の指揮監督下になく、グローバルのコンプライアンス組織に所属している場合)は、「自社からの独立性を有する者」に該当しうるか。
A(厚生労働省の回答)
グループ企業として利害関係を共にしていることから、日本法人の社長の指揮監督下にあるかどうかにかかわらず、独立性を有する者には該当しない。
So what(意味すること): グローバル本社のコンプライアンス担当者は、日本法人社長の指揮下になくても同一グループの利害を共有するため、委員会の独立委員としては認められない。
So why(なぜそう定めるか): 独立性の本質はグループ全体の商業的利害からの切り離しであり、指揮命令系統の形式的な差異では判断されないため。
解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意
本Q&Aは、指揮命令系統の形式的分離ではなく「利害の共有」という実質で独立性を判断することを明確にしている。グローバル製薬企業の日本法人において、コンプライアンス機能がグローバル本社に直属する形態は一般的だが、そうした担当者はグループ全体の商業的利益を共有しており、「自社から独立」とは言えない。本Q&Aは、グローバル組織設計に起因するこの論点を正面から答えたものである。
典型的な適用場面として、外資系製薬企業の日本法人でグローバルのHead of Complianceが委員会メンバーとして指名されるケースがある。当該人物が日本法人の代表取締役に報告義務を持たず、グローバルCEOに直属するとしても、グループ企業の連結決算や株主に対する連帯利益を共有しているため独立性は否定される。同様に、グローバル本社のメディカル・アフェアーズ担当者も同一の理由により独立委員になりえない。
境界線として問題となるのは、「形式的にはグループ外の外部弁護士や規制当局OB」が実際にはグループ企業と継続的な顧問契約を結んでいるケースである。顧問料が継続的に支払われている限り、当該人物の独立性は実質的に制約されると判断されうる。逆に言えば、真に独立した第三者とは、当該グループから一切の報酬・経済的利益を受けない立場にある者であり、この条件を満たす適格者の確保が日本の業界全体における制度整備の実務的課題となっている。
出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q26