第1 3 販売情報提供活動の原則(1)
Q(質問)
②に関して、「医療用医薬品の有効性のみでなく、副作用を含む安全性についても情報提供する等、必要な情報を提供し、提供する情報を恣意的に選択しないこと」とは、自社に有利な情報のみならず不利な情報も含んだバランスのとれた適切な情報を提供すること、と解釈してよいか。
A(厚生労働省の回答)
その理解で差し支えない。
So what(意味すること): 有効性情報だけでなく副作用等の安全性情報も含め、自社に不利な情報も恣意的に省略せず提供することが求められる。データの一部を都合よく抜き出すことは認められない。
So why(なぜそう定めるか): 情報提供を受ける医療関係者が正確な判断を下せるよう、片面的な情報提供を防ぐことが患者安全と適正使用の確保に不可欠であるため、バランスのとれた情報提供が原則とされた。
解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意
「恣意的な選択をしないこと」という要件は、情報提供における片面提示(one-sided information)の問題を直接ターゲットとしている。製薬企業が情報提供の内容を自社に有利な方向に選択・整形することは、医療関係者による適切な処方判断を妨げ、患者への不利益をもたらすリスクがあるため、バランスのとれた情報提供が原則化された。
実務上の典型場面として、複数の試験成績を引用する際に主要評価項目で有意差が出なかった試験を省略し、副次的評価項目で有利な結果が出た試験だけを用いるケースや、メタ解析で全体としての効果量が小さいにもかかわらず、サブグループで高い効果が示された部分のみを抜粋して提示するケースが挙げられる。
誤りやすい点は「虚偽の情報を含んでいないから問題ない」という認識である。個々の引用が科学的に正確であっても、引用の選択・組み合わせ・強調によって生じる全体的な印象が原著論文や試験成績の実態と乖離している場合は、「情報の恣意的な選択」に当たる。特に資材審査の段階で、全体のバランスを確認するプロセスを組み込むことが求められる。
出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q12