(5)他の目的で情報提供する資料に未承認薬・適応外薬等に関する使用情報が含まれる場合
Q(質問)
医師又は薬剤師から査読付き原著論文に関する情報を求められた場合で、当該論文に適応外薬又は国内では認められていない用法・用量に関する情報が含まれているときは、当該査読付き原著論文を提供することが可能か。
A(厚生労働省の回答)
当該論文に承認を受けていない効能・効果、用法・用量等に関する情報が含まれていることを明確に伝え、当該論文を本ガイドラインの条件に従って提供することは差し支えない。
特に留意すべき項目:(5)、(7)
So what(意味すること): 適応外情報を含む査読論文を提供すること自体は可能だが、未承認効能・用法が含まれることを明示することが必須。さらに論文を恣意的に選択せず(留意事項(5))、ネガティブ論文も含める必要がある。
So why(なぜそう定めるか): 査読論文は科学的評価を経た信頼性の高い資料だが、都合の良いものだけを選んで提供することを防ぐため、論文選択の恣意性を排除する留意事項(5)の遵守が求められている。
解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意
査読付き原著論文は編集委員会による科学的審査を経た一次資料として、治療上の判断を裏付ける根拠として医師が最も重視する文書形式の一つである。Q1でも科学的根拠の目安として列挙されているように、査読論文はエビデンスとしての信頼性が高い。しかし企業が特定の論文だけを選択的に提供し、反証する論文を隠すことで医師の判断を誘導する「cherry picking」のリスクが内在しており、Q12は留意事項(5)(恣意的選択の禁止)の遵守を特に求めている。
典型的な場面は、医師が「この用量での効果について最新のエビデンスを教えてほしい」と求め、企業が関連する査読論文を検索・整理して提供するケースである。この際、有効性を支持する論文とネガティブな結果を報告した論文の両方を含め、かつ提供前に「国内未承認の効能・用法情報が含まれること」を口頭または書面で明示することが必要となる。論文の選択基準についても、特定の結果を強調するような意図的な絞り込みを行っていないことを説明できる状態が望ましい。
誤りやすい境界線は、「医師が求めた論文だけを提供しているのだから恣意的ではない」という理解である。医師が「A誌の○○論文を見せてほしい」と特定した場合は問題ないが、「この用法のエビデンスを知りたい」という包括的な求めに対し企業が論文を選んで提供する場合は、選択プロセスに恣意性がないことを確保する必要がある。また、論文提供と同時に営業担当者が追加の口頭説明を行う場面では、説明内容が「販売情報提供活動」と混合しないよう切り分けることも求められる。
出典: 厚労省 販提G Q&A(その2) 事務連絡 平成31年3月29日 Q12