第1 3 販売情報提供活動の原則(2)④(他社製品等の誹謗等の禁止)

Q(質問)

自社製品と他社製品との比較情報については、医師又は薬剤師からの求めがない場合には、提供することはできないのか。

A(厚生労働省の回答)

Q1からQ9までの質問及び回答については、医師又は薬剤師から自社製品と他社製品との比較情報について販売情報提供活動の一環として製造販売業者が提供を求められた事例を想定して記載したものであり、自社製品と他社製品との比較情報について、医師又は薬剤師からの求めがない限り提供が認められないことを意図したものではない。医師又は薬剤師からの求めによらず、比較情報の提供を行う場合には、「薬事法における医薬品等の広告の該当性について」(平成10年9月29日医薬監第148号厚生省医薬安全局監視指導課長通知)や「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日薬生監麻発0929第5号厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知)2 第4 9等を踏まえ適切に行うこと。なお、広告の該当性に関し、医薬品等の適正使用推進や安定供給に係る情報の提供等、顧客を誘引する意図がない情報について自社製品と他社製品との比較の上で提供することは、広告には該当せず、これを行うことは差し支えない。

So what(意味すること): Q1〜Q9は求めに応じた提供の場面を想定したものであり、求めのない場合の提供を全面禁止する趣旨ではない。ただし求めなし提供は広告該当性の検討が必要であり、顧客誘引意図のない適正使用推進情報であれば広告非該当として提供できる。

So why(なぜそう定めるか): 比較情報提供の可否は「求めの有無」ではなく「広告該当性」と「誹謗中傷の有無」で判断されるため、Q1〜Q9の前提を明確化して過度な萎縮を防ぐ。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

Q10はQ1〜Q9が「求めに応じた提供」の場面を前提に書かれたことを明示し、求めのない比較情報提供を全面禁止しているわけではないことを確認している。比較情報の提供可否は「求めの有無」ではなく「広告該当性」と「誹謗中傷の有無」によって決まる、という根本的な枠組みを再提示したQ&Aである。

求めなしで比較情報を提供する場合に検討すべき分岐点は2つある。第一は「顧客を誘引する意図があるか」。適正使用推進や安定供給に係る情報提供など、顧客誘引意図のない情報提供は広告非該当であり、この文脈であれば比較情報を含めても問題ない。第二は「誹謗中傷に当たるか」。比較情報の内容が恣意的・一方的・虚偽誇大であれば、求めの有無に関係なく禁止される。

実務上の誤認として多いのは「Q1〜Q9を読んで、求めなしの比較情報提供は一切できないと理解する」ケースである。これは過剰萎縮であり、Q10はそれを解消するために設けられた。一方で「求めさえあれば何でもできる」という逆の誤解も存在する。求めに応じた場合であってもQ1の4条件(恣意的選択禁止・科学的客観性等)の遵守は必要であり、「求め」は条件の一つに過ぎない。両方の誤読を避けることが実務コンプライアンスの出発点となる。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その4) 事務連絡 令和6年2月21日 Q10