第1 3 販売情報提供活動の原則(2)④(他社製品等の誹謗等の禁止)
Q(質問)
第1 3 販売情報提供活動の原則(2)④において、「他社製品を誹謗、中傷すること等により、自社製品を優れたものと訴えること。」が禁止されているが、医師又は薬剤師から他社製品に関する情報や自社製品と他社製品との比較情報を求められた場合、情報提供可能か。
A(厚生労働省の回答)
医師又は薬剤師からの求めに応じて、他社製品に関する情報や自社製品と他社製品との比較情報を提供する行為自体は、当該規定には抵触しない。ただし、情報提供に当たっては、次に掲げる条件を全て満たすこと。
・情報提供する内容は、要求内容に沿ったものに限定するとともに、情報提供先は要求者に限定すること。また、提供情報を要求内容に沿ったものとするため、当該医師又は薬剤師に対し、求められている具体的な情報を確認すること。
・医療関係者・患者等から情報提供を求められていないにもかかわらず、求められたかのように装わないこと。
・提供する情報は、虚偽・誇大な内容であってはならず、科学的・客観的根拠に基づき正確なものでなければならないこと。また、他社製品にとって不利となる情報のみを恣意的に選択しないこと。
・直接比較することが科学的に適切ではない場合はその旨及びその理由等も提供するなど、正確な理解を促すために必要な情報を提供すること。
なお、情報提供に当たっては、販売情報提供活動の一環である以上、本ガイドラインや医薬品等適正広告基準の遵守が前提となる。
So what(意味すること): 医師・薬剤師からの求めがあれば比較情報の提供は禁止されていないが、提供範囲を要求者・要求内容に限定し、科学的公平性を保つ4条件を全て満たす必要がある。
So why(なぜそう定めるか): 誹謗中傷禁止規定は自発的な競合攻撃を対象としており、求めに応じた中立的な情報提供まで禁じる趣旨ではないが、要求者限定・客観性・公平性の条件で逸脱を防ぐ。
解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意
販提G第1の3(2)④の「他社製品を誹謗、中傷すること等により自社製品を優れたものと訴えること」という禁止規定は、製造販売業者が自発的に他社品を貶める行為を対象としている。医師・薬剤師から求められた比較情報を提供することは、この禁止の射程外にある。その4は、求めに応じた比較情報提供が適法であることを明示しつつ、濫用防止のために4条件を課した構造になっている。つまり「禁止解除の論理」ではなく「もともと別の行為」という位置づけである。
典型場面は、処方切替を検討している医師が「自社品と現行薬の有効性の違いを具体的に教えてほしい」と申し出るケースや、薬剤師が「両剤の副作用プロファイルを比べた文献はあるか」と質問するケースである。この場合、MRやMSLは①要求内容への限定、②提供先の要求者への限定、③科学的・客観的な情報の使用、④直接比較が不適切な場合の注記、という4条件を満たしたうえで応じる。
実務上で誤りやすい点が2つある。第一に「求められたかのように装う」禁止。医療関係者が比較情報を求めていないのに、問い合わせがあったかのような会話の流れを作り誘導するのは明確な違反である。第二に「恣意的な情報選択」の禁止。他社品にとって不利な副作用データだけを選んで提供し、自社品の不利な情報を省くことはできない。この2点は不意に見落とされがちで、行政指摘の対象になりやすい実態がある。
出典: 厚労省 販提G Q&A(その4) 事務連絡 令和6年2月21日 Q1