第1 3 販売情報提供活動の原則(3)

Q(質問)

②について、「優位性を示せなかったことなど、医療用医薬品の有効性・安全性・品質に関し、ネガティブな情報についても提供すること」とされているが、どのような情報を提供することが考えられるか。

A(厚生労働省の回答)

例えば、原著論文からデータを引用する場合に、自社製品に有利な部分のみを抜粋することなく、自社製品の優位性が示せなかったことや、副作用等のリスクに関する情報等も含めて提供する等、原著論文の内容を歪めないよう正確に情報を提供すること。

So what(意味すること): 論文から引用する際に自社品に有利な部分だけを抜き出すことは禁止される。優位性を示せなかったデータや副作用リスク情報も含め、原著の内容を歪めない形で提供する必要がある。

So why(なぜそう定めるか): 部分的な引用による印象操作は医療従事者の処方判断を誤らせる。原著論文の全体的な文脈を維持した情報提供が患者にとって適切な治療選択につながる基本原則として規定されている。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

ネガティブ情報の提供義務は、このQ&Aの中で最も実務的な具体性を持って説明されている。厚労省が注目したのは「原著論文の内容を歪めないこと」という原則である。これは、データを捏造するという積極的な不正だけでなく、都合のよいデータのみを選択・強調することで受け手の印象を操作する消極的な不正も同様に禁じるものである。

典型場面として、自社品と対照薬を比較した無作為化比較試験において、主要評価項目である死亡率や入院率では両群間に有意差が認められなかったにもかかわらず、副次評価項目(症状改善スコアや血液検査値の変化)で自社品が優れていたデータのみを資材に掲載し、主要評価項目の結果を省略するケースがある。この選択的な提示は、試験全体が自社品の優位性を支持するかのような誤った印象を与える。

誤りやすい点は、「対外的に公表されているデータのみを用いているから問題ない」という認識である。公表データのみを使用していても、その選択と提示方法が原著の文脈を歪める場合は同様に禁止される。具体的には、「自社品が優位性を示せなかった試験」の存在を知りながら、それを資材の情報選択から除外することは、まさに「恣意的な選択」に当たる。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q18