第1 3 販売情報提供活動の原則(1)
Q(質問)
③について、「第三者による適正性の審査(論文の査読等)を経たもの」とされているが、査読を経ていることが免罪符的に用いられ、科学的根拠が緩やかに解されてきた経緯を考慮すれば、査読を経たものであっても、「第三者による客観的評価及び検証が可能なもの」でなければならないと考えてよいか。
A(厚生労働省の回答)
その理解で差し支えない。「論文の査読等」や「承認審査に用いられた評価資料や審査報告書」は、第三者による客観的評価及び検証が可能なものであることを前提として例示したものであり、第三者による客観的評価及び検証が可能とはいえない情報を提供することは認められない。
So what(意味すること): 査読という事実だけで科学的根拠として認められるわけではない。査読済みであっても第三者が客観的に評価・検証できない情報(例:再現できない研究、方法論が不透明な論文)は使用できない。
So why(なぜそう定めるか): 査読が「お墨付き」として機能し科学的基準が形骸化してきた経緯への反省から、査読は「第三者評価が可能であることの例示」にすぎないと明確化された。要件の本質は客観的検証可能性にある。
解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意
査読制度は科学的根拠の質を担保する仕組みとして広く認知されているが、その運用には限界がある。査読者が利益相反を持つ場合、試験方法の詳細が不開示のために独立した検証が困難な場合、さらには後に撤回された論文が資材で引用され続けるケースなど、査読を経ていることが実質的な科学的妥当性を保証しない事例が積み重なってきた。このQ&Aはこうした実態を踏まえ、査読は「第三者評価が可能であることの例示」にすぎないと明確化した。
具体的に問題となりやすい場面として、少数例の症例報告や企業資金による単一施設研究が査読付き雑誌に掲載された場合がある。査読を経て掲載されていても、試験登録情報がなく、データの独立的再現が不可能であり、研究の透明性が確保されていなければ、原則③の要件を満たすとは言えない。
実務上の確認ポイントは三つある。①試験が事前登録されているか(ClinicalTrials.gov等への登録)、②研究方法が十分に記述されており同一条件での再現が可能か、③著者・査読誌・出版社間の利益相反が適切に管理・開示されているか。これらを満たさない論文は査読の有無にかかわらず資材での使用が認められない。
出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q13