第2 6 手順書・記録の作成・管理
Q(質問)
口頭の説明の全てを業務記録に詳細に記載することは困難であることから、日時、訪問先医療機関名、医師・薬剤師名、使用した資材等の情報を記載する程度で足りるか。
A(厚生労働省の回答)
販売情報提供活動監督部門による審査済みの販売情報提供活動の資材に基づき、その範囲内での説明を行う限りにおいては、日時、訪問先医療機関名、医師・薬剤師名、使用した資材等の情報を記載することで差し支えないが、販売情報提供活動の資材に記載のない事項についての説明を行う場合は、医師・薬剤師とのやりとりの概要を含めた具体的な内容の記録が求められる。
So what(意味すること): 承認済み資材の範囲内の説明なら訪問ログ(日時・施設名・担当者・使用資材)のみで足りるが、資材に記載のない説明をした場合は、その内容とやりとりの概要を具体的に記録しなければならない。
So why(なぜそう定めるか): 資材外の説明は後から検証する手段が記録しかなく、不適切な情報提供の有無を監督部門が確認できなければ監督機能が成立しないため。
解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意
口頭説明の業務記録に関するこのQ&Aは、「記録の要求水準は提供した情報の性質によって変わる」という重要な原則を示している。承認済み資材の範囲内であれば訪問ログで足りるが、資材外の説明を行った場合は内容の概要まで記録しなければならない。この区分は、モニタリングの実効性を担保するためのものであり、資材外の説明こそが最も不適切な情報提供が発生しやすい場面であるという認識に基づく。
典型的な適用場面として、医師から資材に記載のない最新の臨床試験結果や適応外の有効性データについて質問された場合がある。担当者が「先生のご質問にお答えする形で」当該情報を提供した場合でも、それが販売情報提供活動監督部門が審査していない情報である限り、具体的な内容とやりとりの概要を業務記録に残さなければならない。この記録が後のモニタリングにおいて不適切な情報提供の有無を判断する唯一の手がかりとなる。
実務上の誤りとして頻繁に見られるのは、担当者が「医師に求められたから話した」という理由で資材外説明を正当化しつつ、記録はしないというケースである。医師の要請があったとしても、資材外説明の内容を記録しないことは本Q&Aの要件を満たさない。また、「やりとりの概要」の記録水準については、後の検証者が内容の適否を評価できる程度の具体性が求められる。「医師から質問あり、回答した」という記録では不十分であり、質問の内容・提供した情報の内容・出典等を明記することが実務基準となる。
出典: 厚労省 販提G Q&A(その1) 事務連絡 平成31年2月20日 Q31