第3の4は、担当者が使用できる資材等の範囲を明確に画する規定である。第2の3の監督部門による審査を経て適切と認められた資材等以外は、いかなる情報提供活動においても使用してはならない。この禁止は絶対的なものであり、「内容が正確であれば問題ない」「文献の引用であればよい」という例外を認めない。

この規定の論理:審査制度の価値は、担当者個人の判断が介在しない品質保証にある。担当者が独自に選んだ資材をどれほど慎重に選定したとしても、審査を経ていない時点でその品質は保証されておらず、GLが要求する基準を満たすと言えない。

01「審査で適切と認められた資材等以外は用いない」の実質的意味

この規定が禁止するのは、次のようなケースを含む。(1)担当者が自作したスライドや資料を訪問時に使用する。(2)承認前の学術発表・未査読論文・学会プレゼンのコピーを渡す。(3)審査を通過していない海外の試験データや外国語文献の翻訳を提供する。(4)審査済み資材から一部を切り出して別の文脈で再編集したものを使う。これらはいずれも「第2の3の審査を経ていない」という点で禁止される。

医師から「この分野の最新論文を見せてほしい」と求められた場合も例外ではない。担当者は審査済みの文献情報のみを提供できる。審査外の文献を「参考に」という形で渡すことも、この規定の下では許されない。

So what(意味すること): 担当者にとって「使える資材」と「使えない資材」の境界線は、内容の正確さではなく、審査の通過/未通過によってのみ決まる。内容が正確であることは、審査を経ていない資材を使用する正当化理由にならない。

So why(なぜそう定めるか): 担当者個人が「この論文は信頼できる」と判断することと、企業の監督部門が審査基準に照らして審査することは、まったく異なるプロセスである。担当者の個人的な判断は、偏った文献選択・解釈の歪み・文脈の誤読などのリスクを排除できない。審査プロセスこそが誤りを排除するフィルターであり、そのフィルターを通さない資材を排除することで情報の均質な品質が保たれる。

02未審査資材の使用が生じやすい状況とその対処

未審査資材の使用は悪意から生じるとは限らない。以下のような状況が典型的なリスク場面である。

状況①:医師からの高度な質問に対応しようとする場面。審査済み資材に答えが見当たらないとき、担当者が自ら文献を探して持参することがある。この行為は担当者の誠実さから来る場合も多いが、GLの観点からは未審査資材の使用として禁じられる。正しい対応は「確認して審査を経た上でご提供します」と回答し、社内の確認プロセスを経ることである。

状況②:学術大会・研究会の直後。自社製品に関する新しいデータが発表されると、それを早期に医師に届けたいという動機が生じる。しかし、発表されたデータが審査を通過するまでの間は担当者はそれを使用できない。

状況③:デジタルコンテンツの流通。SNSや電子メールで共有される研究データ・報道記事などを医師に転送することも、審査を経ていない以上禁止される。

So what(意味すること): 第3の4の禁止は、担当者の善意や動機とは無関係に適用される。医師の期待に応えようとする誠実な姿勢が、意図せずGLに抵触する状況が生まれやすい。「今すぐ提供できない場合がある」ことを医師に説明できることも、担当者の専門性の一部である。

So why(なぜそう定めるか): 審査プロセスの時間的コストは、品質保証の価値と引き換えに生じる。未審査のデータを迅速に届けることで生まれる競争上の優位性よりも、審査を経た正確な情報だけが流通する医療環境の実現の方が、長期的には患者安全と企業の信頼性の両方に貢献する。

03第3の4と第3の2の関係——二重の防護線

第3の2は「審査済み資材に沿って活動する」という義務を課すのに対し、第3の4は「審査未通過の資材を使わない」という禁止を課す。両者は裏表の関係にある。第3の2は行動の「方向」を(審査済みに向けて)、第3の4は行動の「範囲」を(審査未通過を除外して)規律する。

たとえば担当者が審査済みの資材を使いつつ、補足として未審査の論文コピーを渡した場合、第3の2の「沿って活動する」義務は表面上満たしているように見えるが、第3の4の「審査済み以外を用いない」禁止に明らかに違反する。両規定はセットで読む必要があり、どちらか一方を満たせばよいという二者択一の関係にはない。

So what(意味すること): 担当者は審査済み資材を「中心」として使いながら、それ以外の情報を一切付け加えないという二重の遵守が求められる。「審査済み資材も使っている」は「未審査資材も使っている」の免責にならない。

So why(なぜそう定めるか): 部分的な遵守は品質保証の穴を作る。医師が受け取る情報の一部が審査されていれば、医師はその部分も審査済みと誤解する可能性がある。情報提供の場における資材はすべて審査済みであることを担保することで、医師が安心して情報を参照できる環境が作られる。