販売情報提供活動に関するガイドライン(以下「GL」)の第3は、企業・経営陣の体制を定めた第2に続き、現場で活動する担当者個人の責務を定める。MR(医薬情報担当者)・MSL(メディカルサイエンスリエゾン)等が日々の活動でどのように行動すべきかを、4項にわたって規定している。

この章のポイント:第2が「企業として何を整備するか」を問うのに対し、第3は「担当者個人が何をすべきか・何をしてはならないか」を問う。組織の仕組みがあっても、現場の一人ひとりが規範を自分のものとしていなければ、実効性は担保されない。

01第3の位置づけ——担当者個人への直接の規律

GLは、製薬企業が医療関係者に提供する販売情報について、企業全体の責務(第2)と担当者個人の責務(第3)を明確に切り分けている。第2では、代表者・経営陣が監督部門を設置し、資材審査の仕組みを整える義務を負う。第3は、その仕組みを前提としたうえで、実際に医療機関を訪問し情報を届ける担当者が遵守すべき行動規範を四つの柱で定める。

四つの柱は順に——(1)GLの遵守、(2)販売情報提供活動の際の留意点(審査済み資材の使用・誤解を招く表現の禁止等)、(3)自己研鑽の努力、(4)審査未通過資材の使用禁止——である。

So what(意味すること): 担当者は「会社が用意した資材を渡すだけ」ではなく、GLを自分自身が理解・遵守する当事者として位置付けられている。個人として責任を問われる立場にある。

So why(なぜそう定めるか): 資材の審査体制がどれだけ整っていても、担当者が独断で審査外の情報を提供したり、誤解を招く口頭説明を加えたりすれば、組織の仕組みは無効化される。担当者個人への規律がなければ、企業レベルの責務規定は「形式」に留まるからである。

02第3の構成——4項の概観

第3の1(GLの遵守)は、担当者がGL全体を遵守することを求め、とりわけ第1の3(活動の原則)に反する活動を禁じる。第1の3には「科学的・客観的根拠に基づく正確な情報提供」「医療機関の利益相反防止への配慮」等の基本原則が置かれており、これらは担当者にとっても行動の絶対的な基準となる。

第3の2(活動の際の留意点)は、実際の活動場面での具体的な禁止事項を列挙する。審査で適切と認められた資材等に沿って活動すること、誤解を招くおそれのある表現を使わないこと、例外的データを一般的事実のように示したり品位を欠くイラストを使用したりしないこと、が求められる。

第3の3(自己研鑽の努力)は、担当者が自らの社会的地位を自覚し、必要な専門知識の習得と倫理観の涵養に継続的に取り組むことを求める。知識不足や倫理観の欠如が不適切な情報提供につながることを防ぐ条項である。

第3の4(不適切な資材等の使用禁止)は、第2の3の審査を経て適切と認められた資材等以外を使用してはならないと明示する。自作の資料・未審査の論文コピー等を独自に使用することは、この規定で明確に禁じられる。

So what(意味すること): 四つの項はそれぞれ独立した義務であるが、共通のねらいは「担当者が自己判断で情報提供の範囲・内容を拡張することを防ぐ」点にある。審査の枠の中で、正確かつ誠実に活動することが求められる。

So why(なぜそう定めるか): 医師・薬剤師等の医療関係者は、担当者からの情報を診療判断に活用する。担当者個人の裁量で情報の質が左右される現場では、個人への直接規律が患者安全の最後の防線となる。組織的管理と個人の自律的遵守の両方が揃ってはじめてGLの実効性が確保される。

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