第1 3 販売情報提供活動の原則(2)④(他社製品等の誹謗等の禁止)
Q(質問)
医師又は薬剤師から自社製品と他社製品との安全性(副作用等)に関する比較情報を求められた場合、情報提供可能か。
A(厚生労働省の回答)
情報提供の取扱いはA1と同様。
なお、患者背景等の異なる臨床試験の成績を調整することなく比較すること等、単に比較した情報を提供することが科学的に公平な比較とは言えない場合があることから、情報提供にあたっては、本ガイドラインに基づき、比較情報の出典を明らかにする等の対応が必要である。また、特定の種類の副作用を示すだけでなく、安全性(副作用等)の全体像を示す必要があること。
So what(意味すること): 安全性比較はA1の4条件に加え、出典明示と安全性プロファイル全体の提示が必須。特定副作用だけを切り取ることは科学的公平性を欠くとみなされる。
So why(なぜそう定めるか): 副作用情報を一部だけ提示すると他社製品に対する偏った印象を与えるため、全体像の提示を義務付けて恣意的な比較を防ぐ。
解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意
安全性比較は有効性比較と同じA1の4条件を満たす必要があるが、Q6はさらに「安全性(副作用等)の全体像を示す必要がある」という固有の条件を追加している。これは副作用情報の構造的な非対称性に対処するためである。副作用情報は試験ごと・患者背景ごとに発現率が大きく異なり、かつ特定の副作用だけを抜き出すことが他社品の印象を左右しやすい。
典型的な適用場面は、医師が「他社品より自社品の方が特定の副作用(例:消化器症状)が少ないか」と質問するケースである。自社品の臨床試験で消化器症状の発現率が低かったとしても、それだけを示して終わりにすることはできない。当該試験の全体的な安全性プロファイル(主要な副作用カテゴリの発現率、重篤な有害事象の状況など)をあわせて提示し、消化器症状の発現率が低い代わりに他のカテゴリの発現率が異なるなどの情報も含めることが必要である。
実務上で見落とされやすいのは、「全体像の提示」の範囲である。すべての有害事象を網羅することは現実的でないが、少なくとも添付文書の「重要な基本的注意」「重大な副作用」「その他の副作用」に対応する情報のフレームは提示する必要がある。特定の副作用だけを強調し、他の安全性情報を省略した提供は、他社品にとって不利な印象を一方的に与えるものとして、誹謗中傷禁止に近い問題を引き起こす可能性がある。
出典: 厚労省 販提G Q&A(その4) 事務連絡 令和6年2月21日 Q6