(6)医療関係者から求めがあった場合

Q(質問)

医師又は薬剤師から未承認・適応外薬又は国内では認められていない用法・用量に関する情報を求められ、本ガイドラインに従って査読付き原著論文を提供する場合、求めにより提供した情報と同じ情報であれば、企業に情報提供の求めをしていない他の医師又は薬剤師に提供してよいか。

A(厚生労働省の回答)

医師又は薬剤師からの求めがなければ、未承認・適応外薬又は国内では認められていない用法・用量に関する情報の提供は認められない。

特に留意すべき項目:(2)、(3)

So what(意味すること): あるHCPへの提供実績があっても、同じ資料を他のHCPに自発的に配布することは禁止。「同じ情報だから問題ない」という論理は通用しない。他のHCPへの提供はその都度、個別の求めが必要。

So why(なぜそう定めるか): 許容されるのはあくまでも「個別の求め」への対応であり、情報の同一性は横展開の正当化理由にならない。自発的な配布は実質的に販売促進と区別できなくなるため禁止される。

解説 ── 背景・適用場面・実務上の注意

「個別の求め」という要件は、特定の医師・薬剤師が特定のタイミングに特定の情報を求めたことへの対応として機能する。ある医師への回答実績があるからといって、同内容の情報を他の医師へ横展開することは、各個人の求めがない以上、実質的には自社判断による能動的な情報配信となる。これが積み重なれば、結果的に企業が未承認情報を組織的に配布することと変わらない状態になり、ガイドラインの趣旨を骨抜きにする。

典型的な場面は、病棟での面談後に「他の先生にも同じ情報を渡してほしい」という依頼を受けるケースや、医局説明会で複数の医師に同じ論文を配布しようとするケースである。前者では依頼元の医師に求める意思があっても、他の医師に求めがなければ提供できない。後者でも、その場で各医師から個別に求めがあった場合を除き、論文を一律配布することは認められない。

誤解されやすい点は、「同じ情報だから問題ない」「どうせ医師同士で情報共有されるだろう」という論理である。どちらも提供の要件を満たさない。情報の同一性は横展開の許可要件とならない。また、「A医師が求めたのでB医師にも提供可能と判断した」という解釈も認められない。個別の求めは1件ずつ独立して成立するものであり、ある医師への対応が他の医師への対応の根拠にはならない。

出典: 厚労省 販提G Q&A(その2) 事務連絡 平成31年3月29日 Q14