012024 年 ── 過剰雇用是正と、AI シフトの兆し

2024 年のテック業界レイオフは、パンデミック後の過剰雇用是正が主因でしたが、AI の影響が顕在化し始めた最初の年でもあります。米国テック企業だけで 約 95,000 人 以上のレイオフが発生し、Google、Microsoft、Amazon などが 「AI シフト」 を理由に人員削減を発表しました。

この年のリストラの特徴は、まだ "コスト削減" の色合いが強く、AI による直接代替は限定的だったことです。しかし、各社の経営層は「これは始まりに過ぎない」というメッセージを内部に向けて発信していました。中間管理職、調整業務 (プロジェクトマネジメント、人事調整など) が、最初の対象になり始めました。

022025 年 ── AI 直接起因のリストラが急増

2025 年は、AI が雇用削減の 主因 として明確に語られた最初の年でした。

55,000+米国 AI 関連削減
+332%前年比増加率
127,000+米国テックレイオフ
244,000世界規模合計

主要企業 (Intel、Microsoft、Amazon、Salesforce など) が 「AI による効率化」 を明言し、中間管理職とコーディネーション業務を中心に人員を削減しました。結果、組織は フラット化 へ移行が進み、AI ツールが日常業務を代替する "AI ファースト" の企業文化 が定着しました。

2025 年の米国全体レイオフは 120 万件超 と、2020 年以来の水準に達しました (パンデミック直撃年に匹敵)。テックだけでなく、金融、メディア、コンサルティングなど、知識労働全般に AI の影響が広がった年でもあります。

03誰が影響を受けたか ── 構造的な特徴

2024-2025 年のリストラには、いくつかの構造的特徴がありました。

一方で、AI 関連の新職種 (プロンプトエンジニア、AI 倫理専門家、データキュレーター、AI ガバナンス担当) が急増し、ネット (差し引き) では雇用創出も見込まれました。ただし、移行期の痛みは大きい。失業から新職就職までの期間と、スキル再構築のコストが、個人と社会の両方に重く乗ります。

042026-2028 年の未来展望

2026 年 ── 移行のピーク年

2026 年は移行のピーク年となり、テックレイオフはさらに加速する見通しです。Q1 時点で 80,000 人超 と 2025 年を上回るペース。理由は、(a) 2025 年の AI 導入実験が成功した企業が、本格展開に移行、(b) AI エージェントが "作業ベース" から "判断ベース" への置換を始める、の 2 点。

2027-2028 年 ── AI エージェント本格普及と "再設計" の時代

2027-2028 年には、AI エージェントの本格普及により、50-55% の職種が "再設計" されます。完全消失ではなく、AI 補完型へのシフト。中間管理職やルーチン業務の多くが自動化されます。

領域2024-2025 (起きたこと)2026-2028 (予測)
レイオフ主因過剰雇用是正 + AI シフト準備AI エージェント本格運用による業務再設計
対象中間管理職、コーディネーション判断業務 (中堅 〜 シニア) も含む
速度1〜2 年で段階的3〜6 か月で部署単位の置換
新規雇用AI 関連職、ガバナンスAI 監督、AI と協働できる人間判断 (創造性・倫理)
業界横断性テック中心金融・医療・教育・行政まで拡大

新規雇用と GDP への影響

WEF (世界経済フォーラム) の予測では、ネットで 7,800 万人の雇用増 が期待される一方、格差拡大や一時的な失業率上昇 (0.5-1% 程度) が課題です。GDP 成長率は AI により 2.5% 超 へ押し上げられる一方、規制の遅れや再教育の遅延がボトルネックに。

最終的に "人間 + AI" のハイブリッド社会 が定着し、生産性爆発が新たな経済構造を生むでしょう。ただし、政策支援 (再教育、ベーシックインカム議論) が鍵となります。

05個人レベルでの備え

個人として、この移行期に何を備えるか。3 つの観点で整理します。

  1. スキルの "判断系" への移行: 作業系スキル (定型業務、計算、文書作成) は AI で代替される。判断系 (倫理、規制解釈、関係性、創造性) を厚くする
  2. AI との協働経験を積む: AI を "使わずに済ませる" 姿勢は、3 年後の競争で不利になる。今のうちに、毎日 30 分 (本サイト AI 講座 第 4 回) でも AI を使う習慣を作る
  3. "なぜそう判断するか" を語れる訓練: AI が下書きを書ける時代、人間の差別化は "判断の理由を語れること" に収斂する (AI 講座 第 4 回)
結びに

2024-2025 年は、AI が雇用に直接影響を与えた最初の 2 年間でした。2026-2028 年は、その規模が桁違いに大きくなる 移行のピーク です。

歴史 (コラム 第 4 回) を見ると、技術変革の波に乗り遅れた企業と個人は、"後悔" ではなく "消滅" しました。AI の波で何を選ぶか ── これは、製薬業界の人にとっても、もはや他人事ではありません。

製薬の規制の厚さは、移行を遅らせますが、止めません。"自分たちが何の価値を提供する人間か" を、AI 時代の言葉で再定義できる組織と個人だけが、次の 5 年を生き延びます。

参考情報源

  1. CNBC 「2025 Tech Layoffs Report」(2025-12)
  2. NetworkWorld 「AI-Driven Layoffs Surge 332% Year-over-Year」(2025-11)
  3. BCG 「The Productivity Paradox of the AI Era」(2026-Q1)
  4. World Economic Forum 「Future of Jobs Report 2026」
  5. 各社 IR 発表 (Intel, Microsoft, Amazon, Salesforce, Google)