01全体図 ── 七つの列と、学ぶ環
手順は七つの列に分かれます。入力、白黒の検査、絵と差、社会の目、まとめ、人間、学ぶ、の七つです。手順 1 から 11 までは機械、12 と 13 は人間と審査会、14 と 15 は学ぶ面です。矢印は、前の手順の出力が次の手順の入力になることを表します。破線の環は、手順 15 で直した検査項目が、次の審査の手順 4 と 5 に戻ることを表します。
順番には意味があります。迷わず答えが出る検査を先に、判断の重い検査を後に。白黒の検査は絵を作る前に走り、その結果を手がかりとして渡します。社会の目は差を取った後に走り、ルールの文面に当たらなかったところだけを読みます。例外の受付は、指摘を一本化する前に置きます。落とした操作を、まとめる前に記録するためです。人間の判定は審査会の前に置きます。審査会は人間の判断を助ける候補を作るのであって、人間を待たせる工程ではありません。
02手順 1〜3 入力を固める ── 事実を決まった形にする(入り口の関門)
- 受け取り ── 資材の PDF と、比べる相手になる三つの書類(公式の説明書、国の審査報告書、安全対策の計画書)を受け取ります。ここで入り口の関門が働きます。書類の形がそろわなければ審査は始まりません。足りないものは「人間に確認」として最初の指摘になります。黙って進みません。
- 取り込み ── 取り込み係が、資材を文・図・注記の地図にします。段組みの判定、切れた文のつなぎ直し、図と注記の結びつけ、大きさと目立ち方の計測。読み取れなかったものは捨てずに残します。
- 基準を固定 ── 承認事実の保管庫が三つの書類を決まった形で持ち、どの版を使ったかを記録に刻みます。以降の照らし合わせは、すべてこの版に対して行われます。
03手順 4 白黒の検査 ── 迷わない部分を先に済ませる(再現の関門)
決まりごとの照合係が、694 の検査項目のうち白黒がつく半分ほどを、文や図ごとに走らせます。使ってはいけない語。グラフの縦軸の始まり。症例の数。必ず書くべき記載。同じ資材を入れれば必ず同じ答えになり、そのことを再現の関門が毎回、正解つきの試験問題で確かめます。出力は二つです。指摘(確からしさは最大、弱い当たりは低い確からしさでまとめて残す)と、次の手順への手がかりです。「この図は縦軸がゼロから始まっていない」「このページには効果の数字が三つ、安全性の数字が一つも無い」という事実が、次の読みを導きます。
04手順 5〜6 絵を作り、差を取る ── 四人の読み手に読ませる(もれの関門・独立の関門)
手順 5 で、像を作る係が四通りの読み方で絵を作ります。一文だけ読む人。隣の二つを続けて読む人。冊子を通して読む人。図だけを見る人。読み方ごとに AI に三回別々に作らせ、出てきた内容を全部合わせます。一回でも出てきた含みは残します。独立の関門はここで働き、三回の間で問い方を変え、同じ含みが偶然に頼っていないことを確かめます。もれの関門は、四通りすべての絵が作られ、承認事実の全項目と照らされたことを、審査の終わりに確かめます。
手順 6 で、差を取る係が、四つの絵を承認事実と照らします。承認事実に無いこと。承認事実より軽く言っていること。承認事実にあるのに絵に無いこと。差には決まった規則で札が付きます。はっきり書いてあるか含みか、どの読み方で悪くなったか、どの文や図から生まれたか、が経路として付きます。指摘は絵の差ごとに一つで、関わった文や図が複数あれば経路が複数になります。根拠の関門はこの時点で働き、必要なものが欠けた指摘は作られません。
同じ誤った絵に、語の指摘と並びの指摘と全体の指摘が別々に付くことはありません。三つの手がかりは、一つの指摘の三つの経路になります。人間が読む件数はここで減り、減った分は記録の経路に残ります。
05手順 7〜8 書類との照合と、社会の目 ── 承認の外と、ルールの外
手順 7 は、絵の差を国の審査報告書と安全対策の計画書に照らします。審査報告書には、国が効果・安全性・対象の病気・使い方について何を認め、何を認めなかったかが書かれています。絵が、認められなかった主張を含んでいれば「承認の範囲を超える」の差になります。安全対策の計画書にある重要なリスクが絵に無ければ「安全性を軽く見せる」の差になります。数字の照合(有効率、危険度の比、統計の確からしさ、幅)は、公式の説明書に遡れるかを規則で確かめます。
手順 8 の社会の目は、ルールの文面に当たらなかったところを読みます。冊子を通して読んだ絵を、決まった顔ぶれの人物に読ませ、強い違和感と過去の事件との似かよりで札を付けます。一人でも違和感を持てば指摘になります。上から二段目の札は人間へ、最も重い札は経営層へ。資材を止める力はありません。どの顔ぶれの版で読んだかは指摘に残ります。
06手順 9〜11 例外・一本化・採点 ── 落とすにも理由、まとめるにも経路
- 例外の受付 ── 決まった三種類だけを、規則に基づいて落とします。使う量や間隔が違うだけの引用。決まった注記が付いた成績。開発の段階がはっきり書かれた初期の試験。消すときの関門が働き、落とした指摘は消えずに「取り下げ」の札と理由と規則の版を付けて記録に残ります。
- 一本化 ── まとめと採点の係が、同じ絵への重なった指摘を最も重い札にまとめ、経路を保ちます。隣を読んだとき、全部を読んだときに悪くなった差は一段重くします。安全性をはっきり保証している、認められていないことを認めていると書いている、グラフの軸をいじっている、の三つは最も重い札に固定します。
- 採点と記録 ── 重さ × 確からしさ × 目立ち方で点数を付け、資材の評価を四段階で出します。最も重い札が一つでもあれば最低の評価です。社会の目の札は点数に入れず、旗だけ立てます。記録と判例のノートが、入力の資材、使った検査項目・規則・顔ぶれ・AI の版、指摘ごとの経路を書き足します。もれの関門が、審査全体の検査項目を確かめます。ここで指摘の一覧ができ、人間へ渡ります。
07手順 12〜13 人間の判定と、審査会 ── 判断の三段(独立の関門)
手順 12 で、人間の審査担当者が一覧を読みます。指摘ごとに、資材の引用、ルールの原文、絵とその差、経路、判例のノートから引いた似た絵への過去の判定が添えられています。担当者は指摘ごとに、直す/直さないと、理由を記録します。この記録が、審査が終わるための条件です。記録されない審査は「未完了」として残り、追いかける関門が週ごとに数えます。
手順 13 の審査会は、重い指摘に限って手順 12 と並行に走り、担当者の判断を助ける候補を作ります。かける指摘は規則で決まっています。討論の 30 人が理由・反論・少数意見を出し、投票の 30 人の過半数で「直すべき」の候補になります。全員一致に見えるとき、僅差のとき、機械の重さと食い違うとき、AI が答えなかったときは「人間に確認」の印を付けます。審査会は指摘を消したり軽くしたりせず、その記録は残ります。担当者が審査会の候補を覆したとき、その理由は判例になります。
08手順 14〜15 判例のノートと、見逃しの台帳 ── 判定が戻って、審査は終わる(追いかける関門・続ける関門)
手順 14 で、判例のノートが人間の判定を、絵と差の型に結びつけて保存します。次の審査で似た絵が出たら、判例が指摘に添えられます。前の判定と今回の候補が食い違えば、ルールの版か判例のどちらが変わったかを示せなければ、人間へ回します。同じ判断は同じ判定になる、という原則を守るためです。
手順 15 で、見逃しの台帳が、人間の判定と機械の候補を突き合わせます。人間が直すとした箇所で機械が黙っていれば見逃し、機械が指摘して人間が直さないとしたものは行き過ぎです。見逃しには、反応すべきだった検査項目、作るべきだった読み方、参照すべきだった判例が書き足されます。追いかける関門は週ごとに割合を集計し、最も重い札の見逃しが 1%、二番目の札の見逃しが 5% を超えれば本稼働を止めます。超えなくても、見逃しの型ごとに検査項目・閾値・AI への指示の直し方を下書きし、人間が承認し、正解つきの試験問題で確かめて(続ける関門)、次の審査の手順 4 と 5 に戻します。図3 の破線がこの環です。
環は、ルールの改定でも回ります。ルール改定の追跡係が改定を見つけると、検査項目の差分を下書きし、人間が承認し、試験問題で確かめ、すでに通した資材を見直します。改定前に通った資材が改定後に落ちるなら、落ちた理由はルールの版の差として示されます。
09すべての手順が守る五つの約束
手順のどこにいても、次の五つは破りません。
- 黙って見逃さない ── 足りないもの、AI の不調、条件付きの「可」は、必ず「人間に確認」か即停止で表に出します。
- 決めるのはプログラム、意味を読むのは AI ── 絵を語るのは AI、絵を裁くのはプログラムです。プログラムで決められることを AI に投げません。
- 根拠のない指摘は存在しない ── 検査項目、ルールの原文、絵、読み方が付いていない指摘は、作られた瞬間に捨てられます。
- 落とす操作には理由と記録 ── 抑える、許す、取り下げる、はすべて規則と記録に残り、後から確かめられます。
- 審査は、人間の判定が戻って終わる ── 判定が戻らない審査は未完了として数えられ、戻った判定との差は見逃しの台帳に載り、週ごとの割合が線を超えれば本稼働を止めます。機械は人間審査の前で探し、人間審査の後で学びます。
これが一回の審査の全体です。審査は人間に渡して終わるのではなく、人間から戻って終わります。それが、「見逃しを最も重い失敗とする」を宣言から計測に変え、「同じ判断は同じ判定」を時間を超えて守り、考え方を破れない仕組みにします。