AIとがん研究 ── 2026-11-07
がんと AI に関わる新しい論文を、各誌のホームページの配信・PubMed(誌を問わない検索)・OpenAlex(Google Scholar の代わりの公開の索引)から集め、Jev(言葉の判断をする AI)が「原著研究か」「AI が中心か」「13 のテーマのどれか」「治療・治験に関わるか」を判定し、重要度の高いものから 1 日の上限まで選んだ一覧です。誌の IF では絞らず、論文ごとに掲載誌の IF 相当(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数)とその時点を示します。各論文の抄録(アブストラクト)を全文和訳して載せています(Claude による機械翻訳。原文は題のリンク先)。
分類の共通: がん一般(0)
血液腫瘍: AML(0) · CML(0) · ALL(0) · CLL(0) · リンパ腫(0) · 多発性骨髄腫(0)
固形がん: 乳がん(1) · 肺がん(2) · 大腸がん(2) · 膵がん(0) · 前立腺がん(1) · 脳腫瘍(2) · 卵巣がん(0) · 子宮体がん(0) · 胃がん(1) · 肝臓がん(1) · 腎臓がん(1) · 膀胱がん(1)
希少癌: 腺様嚢胞癌(0)
がん一般の分子生物学の進展とAI
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血液腫瘍
急性骨髄性白血病(AML)の治療・治験とAI
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慢性骨髄性白血病(CML)の治療・治験とAI
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急性リンパ性白血病(ALL)の治療・治験とAI
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慢性リンパ性白血病(CLL)の治療・治験とAI
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リンパ腫の治療・治験とAI
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多発性骨髄腫の治療・治験とAI
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固形がん
乳がんの治療・治験とAI
- Commercial multimodal large language models show systematic model-specific errors in breast cancer pathology reporting: a paired concordance study抄録(全訳)
背景:乳がんの治療方針は、組織学的グレードや受容体で定まるサブタイプなどの病理所見で決まる。ただし人員が限られる環境では、専門病理医の利用が制約される。商用のマルチモーダル大規模言語モデル(MLLM)は、有料のインターフェースからヘマトキシリン・エオジン(H&E)染色画像のタイルを受け取れる。ローカルの機材も追加学習も不要である。ただし従来の病理領域の評価は粗い課題に限られていた。治療方針を決める精度に達するのか、ベンダー間で判定が一致するのかは、いずれも不明である。
方法:各ベンダーが旗艦と位置づける3つの MLLM(Claude Sonnet 4.6、Gemini 2.5 Pro、GPT-5.5)を、浸潤性乳がん427例で評価した。各症例を同一の H&E タイルとプロンプトで3モデルすべてに与え、サブタイプは2回目の呼び出しで推論させた。参照基準は、免疫組織化学で判定したサブタイプを記した院内の確定診断報告である。一致率、感度、特異度、Cohen のカッパを算出し、2モデル間で McNemar 検定と Bowker 検定を行った。
結果:Claude は組織型の素一致率が最も高かったが、カッパでは最も低かった。浸潤性小葉がん23例と微小乳頭状がん7例のすべてを、浸潤性乳がん非特殊型と分類した。どのモデルも Nottingham グレードを三つの最頻グレードに寄せた。HER2(ヒト上皮成長因子受容体2)陽性を安定して検出できたモデルはない。誤りの向きはベンダーごとに決まっていた。Claude と GPT-5.5 は検出不足、Gemini は過剰判定であった。プロンプトを12通りに変えた計4,056回の呼び出しでも、感度は回復しなかった。
解釈:現時点の商用 MLLM は、乳がん病理で治療方針を左右するどの所見についても、実運用に足る精度に達していない。各ベンダーは固有の向きに誤るため、ベンダーを変えても誤りの種類が変わるだけで、誤り自体は消えない。したがってこれらのモデルの価値は、自律的な診断ではなく支援にある。1症例0.20〜0.50米ドルなら、病理医に診断責任を残したまま下書きを作らせる用途はありうる。 研究の文脈 本研究以前の根拠 PubMed と Embase を、各データベースの収録開始から2026年1月10日まで、言語を限定せずに検索した。検索語は「large language model」「multimodal」「GPT」「Gemini」「Claude」「foundation model」「breast cancer」「pathology」「histopathology」「whole-slide image」「diagnostic accuracy」を組み合わせた。取得した論文の引用文献も確認した。課題特化型の深層学習モデルや、大規模なスライド集で事前学習した病理基盤モデルは、Nottingham グレード判定や受容体状態の予測といった個別の課題で高い性能を出す。ただしローカルの GPU 環境、整備した学習データ、運用の専門知識が必要になる。汎用の商用 MLLM を病理で評価した研究は、組織型分類や転移の有無といった粗い課題に限られ、対象も単一モデルがふつうだった。現行の旗艦級商用 MLLM を、臨床的に意味があり治療方針を左右する乳がん病理の課題で直接比べた研究は見つからなかった。ベンダー間で判定が一致するのか、ベンダーの選択で診断が変わるのかを報告した研究もなかった。既存の根拠は、単一モデルの設計、課題の狭いデータセット、偶然一致を補正しない素の正確度への依存という限界があった。 本研究で加わること 浸潤性乳がん427例を対象とした単施設の後ろ向き対応づけ研究で、各ベンダーが旗艦とする商用 MLLM 3つ(Claude Sonnet 4.6、Gemini 2.5 Pro、GPT-5.5)を評価した。同一の H&E タイルとプロンプトを与え、病理専門医による参照基準と、治療方針を左右する複数の所見について比べた。どの所見でも、実運用に足る精度に届いたモデルはなかった。素の一致率と偶然補正した一致度では、モデルの順位が逆になった。素の正確度だけで選べば、最も判別力の低いモデルを選んでいたことになる。各モデルは一貫した誤りのパターンを示し、検出不足か過剰判定のどちらかに寄った。その結果、ベンダーを変えても診断の誤りの種類が変わるだけであった。12通りのプロンプト・計4,056回の呼び出し、推論の労力を上げる設定、同一ベンダー内のバージョン更新のいずれでも、誤りの向きは変わらなかった。プロンプトの作り方による見かけの現象ではなく、ベンダー固有の事前傾向があることを示す。治療方針を左右する乳がん病理で商用 MLLM を直接比較し偶然一致を補正した研究は、知る限り初である。 得られた根拠全体の意味 これまでの根拠と合わせると、現行の商用 MLLM は乳がん病理を自律的に読む段階にはなく、病理医の監督なしに一次読影者として使うべきではない。価値があるとすれば支援にとどまる。1症例あたりの費用が比較的低いことから、病理医の作業量が主な制約となる現場では、監督下の下書きレポートを作る用途に役立つ可能性がある。ただしデジタル病理の基盤と免疫組織化学検査が使えること、最終的な診断責任を資格のある病理医が負うことが条件となる。誤りの向きがベンダーごとに決まっているため、導入にはベンダーごとの注意書きと、素の正確度ではなく項目単位で偶然補正した評価が必要になる。性能を上げるには、領域固有の知識を取り込む手立てが要るとみられる。例として、プロンプト内に参照例を示す方法、整備されたアトラスを検索して参照する方法、領域学習済みモデルに引き渡す方法がある。今後の開発は、免疫組織化学に裏づけられたデータセットと、実際の運用環境での前向きの検証に支えられるべきである。 --- **一点お断り**:上の「結果」節で、lobular carcinoma(浸潤性乳管がん以外の型)の訳語を書き損じました。正しくは次の通りです。 > Claude は組織型の素一致率が最も高かったが、カッパでは最も低かった。浸潤性葉状がん(浸潤性乳管がん以外の型)23例と微小乳頭状がん7例のすべてを、浸潤性乳がん非特殊型(no special type)と分類した。 ※「lobular carcinoma」は「浸潤性葉状がん」としましたが、日本の病理では「浸潤性乳管がん」に対して「浸潤性葉状がん」ではなく**「浸潤性乳管がん以外」=「硬性型」ではなく「浸潤性小葉がん」**が定訳です。確定訳は「浸潤性小葉がん」です。 残り3件を続けます。
掲載誌の IF 相当:5.8(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-10-21 時点の値、2026-10-22 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Jun SY, Kim S, An S, Kang YJ. Commercial multimodal large language models show systematic model-specific errors in breast cancer pathology reporting: a paired concordance study. Breast Cancer Res. 2026 Nov 4 [Epub ahead of print]. doi:10.1186/s13058-026-02413-6.確認の範囲:抄録のみ確認
肺がんの治療・治験とAI
- CT-derived nested habitats score for preoperative IASLC grading in lung adenocarcinoma: cross-center validation and radiogenomic analysis抄録(全訳)
はじめに:2020年の国際肺がん学会(IASLC)のグレード分類は、優勢な組織型と高グレード成分の割合を組み合わせる。ただし術前の CT 評価では、不均一な腫瘍成分が空間的に平均化されるため限界がある。グレードに関連する腫瘍内 CT 部分領域を再帰的に抽出する CT 由来の入れ子ハビタットスコア(NHS)を開発した。あわせて術前 IASLC グレード判定での施設横断の性能を評価し、転写産物との関連も探索した。
方法:2施設の後ろ向き研究で、手術で切除された肺腺がん患者650例を対象とした。施設1を開発コホート(n = 390)とした。施設2の症例は1対1に層別化し、同一外部施設からの検証コホート(n = 130)と固定テストコホート(n = 130)に分けた。あらかじめ定めた主要課題は、病理学的 IASLC グレード1とグレード2/3の判別である。NHS は開発データでの5分割 out-of-fold 推定により算出した。臨床・画像所見モデル、腫瘍全体のラジオミクスモデル、NHS、統合モデルを比較した。アルゴリズムの選択は検証コホート内で行い、テストでの評価は一度だけとした。独立した TCGA-LUAD/TCIA の CT-RNA コホート(n = 88)では、探索的に WGCNA と Hallmark 遺伝子セット濃縮解析を行った。
結果:開発/検証/テストの各コホートには、グレード1が41/14/14例、グレード2が293/101/96例、グレード3が56/15/20例含まれた。選択されたランダムフォレスト統合モデルの AUC は、検証で0.871(95% 信頼区間 0.784〜0.936)、テストで0.866(95% 信頼区間 0.784〜0.935)であった。NHS 単独の AUC は0.828と0.854で、臨床・画像所見モデルは0.620と0.497、腫瘍全体のラジオミクスは0.703と0.775であった。平均絶対 SHAP 寄与のうち76.3% を NHS が占めた。NHS を除くと AUC は検証で0.251(95% 信頼区間 0.079〜0.439)、テストで0.369(同 0.200〜0.553)低下した。NHS と統合モデルの Brier スコア(0.074〜0.077)は、情報を持たない場合の基準値0.096を下回った。ただし校正傾きは1を超え、低〜中程度の閾値では全例をグレード2/3として扱う場合を上回る純利益はなかった。探索的ラジオゲノミクスでは、NHS 関連の共発現モジュールが名目上有意となり、WNT/β-カテニン、E2F、G2M チェックポイント、免疫関連プログラムの濃縮がみられた。 考察 NHS は IASLC グレード1とグレード2/3の腫瘍を判別し、第2施設から取った2つの保留コホートでも性能が安定していた。統合モデルの判別力の大半は NHS が担っていた。転写産物との関連は、仮説を生む段階にとどまる。臨床応用の前に、再キャリブレーションと多施設での前向き評価が必要である。
掲載誌の IF 相当:4.8(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-11-05 時点の値、2026-11-06 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Peng W, Liu J, Li L, Qi W, Zhao J, Li D. CT-derived nested habitats score for preoperative IASLC grading in lung adenocarcinoma: cross-center validation and radiogenomic analysis. Front Mol Biosci. 2026 Nov 4;13:2006861. doi:10.3389/fmolb.2026.2006861.確認の範囲:抄録のみ確認 - Integrated Whole-Cell Phage Display and Machine Learning Identify Candidate Targeting Ligands in KRAS-Defined Lung Cancer Contexts抄録(全訳)
ファージディスプレイでは、細胞表面の特徴的な表現型を標的とするリガンドを見つけられる。ただし選択の出力は複雑で、解釈が難しいことが多い。この研究では、ファージディスプレイによるバイオパニング、次世代シークエンシング(NGS)、機械学習(ML)、フローサイトメトリーを組み合わせた統合ワークフローを作った。目的は、遺伝子型で規定されるがんの文脈に結びつく短鎖ペプチド結合体を見いだすことである。ファージディスプレイは、KRAS 野生型(WT)、G12C、G12D、G12V を代表する肺がん細胞株で行った。得られた実験結果はマルチモーダルな確率モデルの学習に用いた。モデルが生成した候補から重複のないヘプタペプチド98種を合成に選び、88種は可溶化して実験に供せた。フローサイトメトリーによる検証では、結合の挙動はさまざまであった。細胞を選ばず広く結合するものと、野生型より変異型に結合しやすい候補が含まれた。用量反応の追加測定と正常細胞での対照スクリーニングにより、結合強度、曲線の挙動、正常細胞への反応性、配列の開発適性から優先順位を付けた。全細胞選択のデータセットを計算と実験の両面から解析し、標的化戦略に向けたペプチド候補を選別して順位付けできることを示した。
掲載誌の IF 相当:5.2(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-11-05 時点の値、2026-11-06 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Uguzzoni G, Belisario DC, Pagnani A, Marchiò S. Integrated Whole-Cell Phage Display and Machine Learning Identify Candidate Targeting Ligands in KRAS-Defined Lung Cancer Contexts. ACS Omega. 2026 Nov 4 [Epub ahead of print]. doi:10.1021/acsomega.6c10403.確認の範囲:抄録のみ確認
大腸がんの検診・治療・治験とAI
- Prognostic value of deep-learning computational pathology in colorectal cancer: a systematic review of haematoxylin and eosin whole-slide image studies抄録(全訳)
背景:日常診療のヘマトキシリン・エオジン染色全スライド画像に深層学習の計算病理を適用すると、大腸がんの予後情報が得られる可能性がある。このシステマティックレビューでは、画像から導いたリスク群と生存の関連を評価した。
方法:PubMed と Web of Science Core Collection を、収録開始から2026年6月21日まで検索した。大腸がんを対象とし、ヘマトキシリン・エオジン染色画像から導いた高リスク対低リスクのハザード比を報告した研究を組み入れた。最も多く調整された推定値を選び、外部検証があるものを優先した。変量効果メタアナリシス、サブグループ解析、1研究ずつ除外する解析を行った。復元したバイアスリスクの一覧には、Quality in Prognosis Studies の各領域の判定を示した。本レビューは PROSPERO に登録した(CRD420261429467)。
結果:27研究全体で、統合ハザード比は2.49(95% 信頼区間 2.12〜2.93)であった。異質性は大きく(I² = 77%)、95% 予測区間は1.25〜4.97であった。統合推定値は、外部検証を行った研究(17研究)で2.36、内部検証のみの研究(10研究)で2.74であり、この差は統計学的に有意ではなかった。1研究ずつ除外した推定値は2.35から2.57の範囲であった。
結論:画像から導いたリスクスコアは、大腸がんの生存と関連していた。ただし異質性、リスクの定義の違い、検証コホートが重複している可能性があり、単一の統合推定値の解釈には限界がある。これらの手法が治療方針の決定に使えるようになるには、独立した前向きの検証と臨床的有用性の評価が必要である。 --- **1件目について補足**:最初の論文の「結果」節で lobular carcinoma の訳語を書き直しました。確定版の該当文は以下です。 Claude は組織型の素の一致率が最も高かったが、カッパでは最も低かった。浸潤性小葉がん23例と微小乳頭状がん7例のすべてを、浸潤性乳がん非特殊型と分類した。 この1文を差し替えてご利用ください。他の3件は修正ありません。
掲載誌の IF:不明(照合できず)書誌:Xu Y, Zhang L, Wang C, Yao Y, Shen C, Gu W. Prognostic value of deep-learning computational pathology in colorectal cancer: a systematic review of haematoxylin and eosin whole-slide image studies. Research Square. 2026 Nov 4 [Epub ahead of print]. doi:10.21203/rs.3.rs-11297991/v1.確認の範囲:抄録のみ確認 - Machine Learning-Based Risk Scoring Using Clinical and Surgical Variables for Severe Complications after Rectal Cancer Surgery.抄録(全訳)
背景:直腸がん手術の後に重篤な合併症が起きると、病状が悪化し、回復が遅れる。がんの治療成績が損なわれるおそれもある。既存のリスクモデルは、精度も一般化可能性も限られる。機械学習なら、複雑な臨床変数と手術変数をまとめて扱える。それにより、患者ごとのリスク予測を改善できる。
目的:直腸がん手術後の重篤な合併症を予測する機械学習モデルを作り、前向きに検証する。
デザイン:後ろ向きにモデルを開発し、前向きに時間的内部検証を行った研究である。 施設: 韓国の三次紹介医療機関 1 施設である。 対象患者: 2011〜2025 年に、根治目的で直腸がんを切除し吻合した患者 3,503 例である。内訳は、後ろ向きが 3,402 例、前向きが 101 例である。 主要評価項目: 術後 30 日以内に起きた重篤な合併症である。重篤とは、Clavien-Dindo 分類でグレード 3 以上のものとした。
結果:重篤な合併症は、後ろ向きコホートの 9.8%、前向きコホートの 13.9% で起きた。機械学習のアルゴリズムは 4 種類を用いた。ロジスティック回帰、ランダムフォレスト、人工ニューラルネットワーク、勾配ブースティングである。いずれも 5 分割交差検証で学習させた。内部検証で最も成績がよかったのはランダムフォレストであった(受信者動作特性曲線下面積[AUC]0.898、感度 0.685)。一方、時間的内部検証コホートでは勾配ブースティングが最もよかった(AUC 0.910、感度 0.707)。予測への影響が特に大きかった因子は、腫瘍穿孔、術中輸血、予防的ストーマ、腸閉塞、脳血管障害であった。 限界: 検証は単一施設で行った。時間的な内部検証であり、外部検証ではない。前向きコホートも小さい。
結論:機械学習モデルは、直腸がん手術後の重篤な合併症を正確に予測した。時間的内部検証でも高い識別能が保たれた。術直後に使えば、患者ごとの術後リスク層別化とモニタリングに役立つ可能性がある。外部検証が必要である。動画抄録を参照。
掲載誌の IF 相当:1.7(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-11-05 時点の値、2026-11-06 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Song SH, Kwon HK, Park JS, Park SY, Kim HJ, Lee J, et al. Machine Learning-Based Risk Scoring Using Clinical and Surgical Variables for Severe Complications after Rectal Cancer Surgery. Diseases of the Colon & Rectum. 2026 Nov 4 [Epub ahead of print]. doi:10.1097/dcr.0000000000004526.確認の範囲:抄録のみ確認
膵がんの治療・治験とAI
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前立腺がんの治療・治験とAI
- Evaluation of large language models for clinical decision support in prostate cancer: a multidisciplinary Delphi study.抄録(全訳)
目的:大規模言語モデル(LLM)は、診療ガイドラインの内容を読み解く助けになりうる。ただし、ガイドラインに基づく前立腺がん(PC)の場面での性能は、まだ十分に検証されていない。本研究では、主要な LLM 3 種(Claude、Gemini、ChatGPT)に、ガイドラインから作った前立腺がんの構造化された臨床質問に答えさせた。その回答に多職種の専門家パネルがどの程度同意するかを評価した。 材料と方法: 多職種の腫瘍ボードが、2025 年版欧州泌尿器科学会ガイドラインに基づき、構造化された質問 25 問を作った。ガイドラインの図表は、LLM が使えるよう平易な文章の要約に書き換えた。各モデルには、工夫を加えない単純な質問文で尋ねた。前立腺がん診療の専門家パネルが、回答への同意の度合いをそれぞれ独立に評価した。評価には 2 ラウンドの修正デルファイ法を用い、合意の基準は事前に決めた。
結果:専門家 11 名が、ガイドラインに基づく 25 問を評価した。Delphi 法の 2 ラウンド後に、専門家が「同意する」で合意した回答の数は次のとおりである。Gemini 23/25(92%)、ChatGPT 20/25(80%)、Claude 14/25(56%)であった(P = 0.0033)。第 2 ラウンド後、Claude の回答のうち 3 問(12%)は、はっきり「同意しない」とされた。9 点満点で中央値 7 点以上は強い同意を表す。この基準を満たした回答は、Gemini 24/25(96%)、ChatGPT 22/25(88%)、Claude 14/25(56%)であった(P = 0.0002)。合意が難しかった質問は主に、複雑な症例、高度な画像検査、遺伝学的検査に関するものであった。データが限られた質問や、議論の分かれる話題でも合意は難しかった。
結論:図表を平易に書き換えた前立腺がんのガイドラインを与えると、先進的な LLM は日常的な場面で専門家の合意とよく一致しうる。ただし性能はモデルによって異なり、Claude は特に複雑な症例で同意率が低かった。この結果は、次の三点が重要であることを強調している。専門家による監督、継続的な検証、臨床医と AI システムの双方が読み解ける標準化されたガイドライン形式の三点である。 この論文は何について書かれているか: 診療ガイドラインは、医師が前立腺がんについて判断する助けになる。しかし、ガイドラインは長く複雑なことがある。Claude、Gemini、ChatGPT などの人工知能(AI)ツールは、ガイドラインの情報を読み解く助けになるかもしれない。ただし、実際に使う前に、ツールの回答を医療の専門家が確かめる必要がある。 どのような方法を用いたか: 前立腺がんの専門家が、欧州の前立腺がんガイドラインに基づいて 25 問を作った。3 種の AI ツールには、ガイドラインの原文を与えた。図表は、分かりやすく構造化した文章に変換した。専門家は質問ごとに回答を読み、同意できるかどうかを評価した。 結果はどうだったか: Gemini と ChatGPT は、Claude より専門家の意見と一致することが多かった。専門家による 2 ラウンドの評価の後、合意に達した回答は Gemini が 25 問中 23 問、ChatGPT が 25 問中 20 問、Claude が 25 問中 14 問であった。どのツールも、日常的な前立腺がんの質問では成績がよかった。複雑な場面では、日常的な質問より成績が低かった。たとえば、高度な画像検査、遺伝学的検査、臨床情報が不完全な場合、議論の分かれる話題などである。 この結果はなぜ重要か: この結果は、AI ツールが前立腺がんガイドラインの情報を読み解く助けになりうることを示唆する。これは特に、単純明快な場面に当てはまる。ただし、回答はいつも信頼できるわけではない。前立腺がんに詳しい医療従事者が確認すべきである。
掲載誌の IF 相当:2.7(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-11-05 時点の値、2026-11-06 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Borque-Fernando Á, Ledo Cepero MJ, Rodríguez-Fernández A, Espinós EL, Breijo SM, Gordoa TA, et al. Evaluation of large language models for clinical decision support in prostate cancer: a multidisciplinary Delphi study. J Comp Eff Res. 2026 Nov 4 [Epub ahead of print]. doi:10.57264/cer-2026-0081.確認の範囲:抄録のみ確認
脳腫瘍の治療・治験とAI
- Explainable volumetric deep learning from contrast-enhanced T1-weighted MRI for preoperative IDH prediction in adult-type diffuse gliomas: a two-center study抄録(全訳)
目的:成人型びまん性神経膠腫で、イソクエン酸脱水素酵素(IDH)変異の有無を術前に予測するモデルを評価する。モデルの入力には、造影 T1 強調 MRI(CE-T1WI)を用いる。あわせて、予測への影響が大きい潜在特徴が、どの表現型と関連するかを探索する。
方法:後ろ向き研究で、患者 462 例を対象とした。施設 1 から学習コホート(n = 259)と内部テストコホート(n = 65)を得た。施設 2 からは外部検証コホート(n = 138)を得た。入力とアーキテクチャの組み合わせ 5 通りと、分類器 6 種を評価した。比較対象は、解釈しやすいロジスティック回帰のベンチマークである。このベンチマークは、年齢と VASARI(Visually Accessible Rembrandt Images)所見を組み合わせたものである。各アーキテクチャについて、外部検証での曲線下面積(AUC)の観測値が最も高い分類器を選び、その結果を報告した。性能は、識別能、較正、決定曲線で評価した。さらに、深層特徴を固定したまま下流の分類器を 100 回再学習させて評価した。影響の大きい潜在特徴と、臨床・画像の表現型との関係も調べた。これには Shapley 加法的説明(SHAP)と、表現型との関連解析を用いた。
結果:関心領域(ROI)に限定した 3 次元 vision Transformer(3D ViT)とサポートベクターマシン(SVM)の組み合わせは、外部検証で次の成績を示した。成績は、AUC 0.929(95% 信頼区間 0.885〜0.973)、正解率 0.848、感度 0.838、特異度 0.857、Brier スコア 0.106 であった。年齢と VASARI のベンチマークでは、外部検証の AUC は 0.782 であった。下流の再学習 100 回で、ROI 限定モデルの外部 AUC の平均は 0.930 であった。学習の AUC から外部検証の AUC を引いた差の平均も、このモデルが最も小さかった(0.019)。SHAP の重要度上位 10 特徴は、どのコホートでも同じであった。ただし順位はコホートごとに異なった。Feature_546 は、年齢(r = 0.461)、術後の Ki-67(r = 0.562)、造影増強の性状(r = 0.678)と相関した(補正後 P はいずれも < 0.001)。
結論:CE-T1WI の ROI に限って 3 次元で学習させ、IDH 変異の有無を判別した。使ったのは日常診療で撮る MRI の 1 シーケンスだけで、別の施設のデータでも有望な判別能を示した。影響の大きい潜在特徴は、術後の Ki-67 や、目で見て分かる画像上の表現型と関連していた。SHAP による寄与の評価と、これらの探索的な関連は、互いに補い合う視点を与える。どちらも、術前の IDH 評価でモデルがどう振る舞うかを理解する手がかりになる。
掲載誌の IF 相当:3.4(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-11-05 時点の値、2026-11-06 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Zheng C, Zhang Q, Li D, Wang H, Yang J, Lv F, et al. Explainable volumetric deep learning from contrast-enhanced T1-weighted MRI for preoperative IDH prediction in adult-type diffuse gliomas: a two-center study. Front Neurol. 2026 Nov 4;17:1966591. doi:10.3389/fneur.2026.1966591.確認の範囲:抄録のみ確認 - Construction of a Predictive Model for Cerebrospinal Fluid Leakage After Endoscopic Transsphenoidal Pituitary Tumor Surgery Based on Machine Learning Algorithm.抄録(全訳)
目的:機械学習(ML)で術後の脳脊髄液(CSF)漏を予測するモデルを作る。対象の手術は、内視鏡下経蝶形骨洞下垂体腺腫摘出術(TSPA)である。
方法:5 病院の患者 420 例(2021 年 1 月〜2022 年 12 月)を学習コホートとした。別の 1 病院の 140 例を検証コホートとした。学習コホートの内訳は、CSF 漏あり 60 例、なし 360 例である。リスク因子を解析した。決定木、ロジスティック回帰、SMOTE(合成少数派オーバーサンプリング法)に基づく各モデルを作った。そのうえで、各モデルの診断上の有用性を比べた。
結果:以下の項目で有意差がみられた(P < 0.05)。腫瘍径、腫瘍の硬さ、手術時間、術中の鞍隔膜の破綻、再手術、術中 CSF 漏のグレードである。ロジスティック回帰で特定したリスク因子は、腫瘍の硬さ、再手術、術中 CSF 漏のグレード、鞍隔膜の破綻であった。学習コホートでは、どのモデルも AUC が高かった。各モデルの値は、ロジスティック回帰 0.792、決定木 0.835、SMOTE 0.839 であった。DeLong 検定では、決定木と SMOTE がロジスティック回帰を上回った。感度と特異度は、いずれも SMOTE が最も高かった。検証コホートの AUC は、ロジスティック回帰 0.775、決定木 0.809、SMOTE 0.831 で、SMOTE が優れていた。較正曲線では、予測値と実測値がよく一致した。
結論:内視鏡下 TSPA 後の CSF 漏を予測するモデルを、決定木、SMOTE、ロジスティック回帰の 3 手法で作った。各モデルの性能は、AUC、特異度、感度で評価した。複数のアルゴリズムを比べることで、単一アルゴリズムによる偏りを減らした。性能が最もよかったのは SMOTE である。
掲載誌の IF 相当:0.1(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-10-29 時点の値、2026-10-31 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Shao S, Ye C, Du Y, Liu T, Wu Y, Chen M, et al. Construction of a Predictive Model for Cerebrospinal Fluid Leakage After Endoscopic Transsphenoidal Pituitary Tumor Surgery Based on Machine Learning Algorithm. J Neurol Surg B Skull Base. 2026 Jan 6;87(06):669-77. doi:10.1055/a-2775-5314.確認の範囲:抄録のみ確認
卵巣がんの治療・治験とAI
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子宮体がんの治療・治験とAI
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胃がんの治療・治験とAI
- Preoperative human epidermal growth factor receptor 2 assessment in gastric cancer using radiomics and machine learning: A diagnostic meta-analysis抄録(全訳)
背景・目的:ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)は、胃がん(GC)の重要なバイオマーカーである。組織学的評価には、組織採取と空間的な不均一性による限界がありうる。本研究は、術前にHER2の状態を分類するラジオミクスモデルを評価した。
方法:PubMed、Cochrane Library、Embase、Web of Scienceを、各データベースの開始時から2024年11月7日まで検索した。検索は2026年8月10日まで更新した。重複は、Study_ID–Report_ID–Cohort_IDの索引で特定した。受信者動作特性曲線下面積(AUROC、C統計量)は、ランダム効果モデルを用いてロジット尺度で統合した。患者単位の診断精度は、二変量ランダム効果モデルで統合した。患者単位の診断精度は、2 × 2表が直接報告されたか整数で一意に再構成できた場合に限り、二変量ランダム効果モデルで統合した。研究の質と報告の評価には、RQS(ラジオミクス品質スコア)、PROBAST+AI(予測モデルのバイアスリスク評価ツール)、TRIPOD+AI(予測モデルの報告ガイドライン)を用いた。
結果:適格な報告は23件だった。内訳は、独立した研究20件と、対象が重複する関連報告3件である。モデル構築の対象は6,734例で、うちHER2陽性腫瘍は1,484例だった。統合AUROCは、訓練コホートで0.812(95% 信頼区間 0.763〜0.853、I² = 78.9%)だった。検証コホートでは0.821(95% 信頼区間 0.772〜0.861、I² = 46.3%)だった。検証コホートの造影CT(CECT)モデルでは、AUROCは0.824(95% 信頼区間 0.772〜0.866、I² = 55.5%)だった。診断精度のメタアナリシスでは、訓練コホート5件の統合感度は0.718、統合特異度は0.764だった。検証コホート4件では、統合感度0.714、統合特異度0.827だった。
結論:ラジオミクスモデルにより、術前にHER2の状態を判別できた。CECTはエビデンスの基盤が最も大きく、組織学的検査を補う研究用の手段になりうる。PET/CT、二重エネルギーCT(DECT)、深層学習は、さらに前向きの多施設検証が必要である。その際は、画像撮影法を標準化する必要がある。また、較正、決定曲線、臨床的有用性を漏れなく報告する必要がある。
掲載誌の IF 相当:2.3(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-11-05 時点の値、2026-11-06 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Ma H, Tang JW, Tang SZ, Zhu FZ, Yin JX, Zou SY, et al. Preoperative human epidermal growth factor receptor 2 assessment in gastric cancer using radiomics and machine learning: A diagnostic meta-analysis. World J Gastrointest Oncol. 2026 Nov 4 [Epub ahead of print]. doi:10.4251/wjgo.127294.確認の範囲:抄録のみ確認
肝臓がんの治療・治験とAI
- Decoding tumor heterogeneity using MRI for predicting response to immune checkpoint inhibitors in hepatocellular carcinoma: a multicenter study.抄録(全訳)
目的:肝細胞がん(HCC)では、腫瘍の不均一性のため、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)への奏効を正確に予測しにくい。そこで著者らは、日常診療で撮る同位相(IP)と逆位相(OP)のMRI画像を用いて、ハビタットモデルを作った。IPとOPの画像からは、構造と脂質についての情報が得られ、両者は互いを補い合う。このモデルで、HCCのICI治療への奏効を予測することを目指した。
方法:6施設と公開データベースから、HCC患者883例を対象とした。5施設のデータで、部分奏効(PR)を予測するモデルを作った。モデルは、ハビタット、ラジオミクス、腫瘍周囲、臨床、統合の5種類である。予測スコアによる生存の差は、Kaplan-Meier法で評価した。ハビタットモデルの解釈可能性は、Shapley加法説明(SHAP)で評価した。あわせて、公開データベースと外部の1施設で、マルチオミクス解析と病理学的解析も行った。これらの解析には、公開データベースと外部の1施設のデータを用いた。
結果:単独のモデルのなかでは、ハビタットモデルの曲線下面積(AUC)が数値上高かった。AUCは、訓練セットで0.923だった。2つの外部検証セットでは、それぞれ0.918と0.897だった。統合モデルも良好な性能を示し、AUCはそれぞれ0.959、0.965、0.955だった。較正曲線は、全体としてよく一致していた。決定曲線解析では、ハビタットモデルと統合モデルに臨床的な正味の利益がある可能性が示唆された。ハビタットスコアの高い患者では、無増悪生存期間と全生存期間が有意に長かった(いずれもP < 0.05)。探索的な生物学的解析では、ハビタットスコアが高い群は免疫活性の亢進と関連していた。ハビタットスコアの高い群は、免疫活性の亢進と関連していた。この群は、脂肪酸関連経路の発現低下や、腫瘍と炎症の空間的距離の短さとも関連していた。
結論:IPとOPのMRIに基づくハビタットモデルは、ICI治療を受けるHCC患者で治療反応の予測に役立つ可能性を示した。予後の層別化にも役立つ可能性がある。
掲載誌の IF 相当:4.8(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-11-05 時点の値、2026-11-06 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Fu X, Guo Y, Gong B, Chen X, Wang N, Hu H, et al. Decoding tumor heterogeneity using MRI for predicting response to immune checkpoint inhibitors in hepatocellular carcinoma: a multicenter study. Radiol med. 2026 Nov 4 [Epub ahead of print]. doi:10.1007/s11547-026-02303-z.確認の範囲:抄録のみ確認
腎臓がんの治療・治験とAI
- Evaluation of large language models for clinical decision support in renal cell carcinoma: a multidisciplinary Delphi study.抄録(全訳)
目的:大規模言語モデル(LLM)は、診療ガイドラインの情報を読み解く助けになる可能性がある。しかし、腎細胞がん(RCC)での性能はまだ十分に分かっていない。
目的:RCCのガイドラインに基づく質問への、Claude、Gemini、ChatGPTの回答と多職種の専門家パネルとの一致度を評価した。本研究は、その回答と多職種の専門家パネルの評価がどの程度一致するかを調べた。 対象と方法:多職種の腫瘍ボードが、2025年の欧州泌尿器科学会のRCCガイドラインに基づいて、臨床的な質問を25問作った。ガイドラインの図表は、構造化した平易な文章の要約に変換し、各モデルに与えた。各LLMは、直接プロンプトで1問につき1つの回答を生成した。11人の多職種専門家パネルが、2ラウンドの修正デルファイ法で回答を評価した。評価には9段階のスケールと、事前に定めたコンセンサス基準を用いた。
結果:同意のコンセンサスに達した回答は、Geminiで24/25(96%)、ClaudeとChatGPTでいずれも23/25(92%)だった。不同意のコンセンサスに達した回答はなかった。スコアの中央値が7以上だった回答の割合は、Geminiで25/25(100%)、Claudeで24/25(96%)、ChatGPTで23/25(92%)だった。モデル間に統計的に有意な差は検出されなかった。モデル間に、全体でも2モデルずつの比較でも、統計学的に有意な差は認めなかった。さらに討議が必要だった回答やコンセンサスに達しなかった回答は、主に臨床的に不確実な場面や個別化が必要な場面に関するものだった。それらは主に、臨床的に不確実な場面や、個別の判断が必要な場面に関するものだった。パネリストは、事実の誤り、選択肢の抜け、臨床的なニュアンスの不足をときおり指摘した。
結論:ガイドラインから作った構造化資料を与えると、選んだLLMの回答は多職種専門家のコンセンサスと一致することが多かった。この結果は、LLMがガイドラインの解釈に役立つ可能性を支持する。ただし、LLMが独自に臨床推論できることや、実臨床での意思決定の性能を示すものではない。特に複雑な場面では、専門家による監督が引き続き欠かせない。 この論文は何についてか? 診療ガイドラインは、医師が腎細胞がんについて判断する助けになる。腎細胞がんは、腎臓がんのなかで最も多い型である。ただし、ガイドラインは長く複雑なことがある。Claude、Gemini、ChatGPTのような人工知能ツールは、この情報を読み解く助けになるかもしれない。しかし、その回答は、実際に使う前に医療の専門家が確認する必要がある。 どのような方法を用いたか? 専門医が、欧州泌尿器科学会の腎臓がんガイドラインに基づいて25問を作った。ガイドラインの原文を3つの人工知能ツールに与えた。図表は、分かりやすく構造化した文章に変換した。その後、11人の専門医からなるパネルが回答を検討した。パネルは、回答に同意するかどうかを2ラウンドで評価した。 結果はどうだったか? 専門家パネルは、Geminiの回答の96%に同意した。専門家パネルは、Geminiの回答の96%、ClaudeとChatGPTの回答のそれぞれ92%に同意した。3つのツールの間に、全体としてはっきりした差はなかった。難しさが目立ったのは、複雑な場面だった。例えば、転移した腎臓がんで、すぐには治療せずに注意深く経過をみる場合である。頻度の低い型の腎臓がんで見込まれる転帰も、その一つだった。手術で切除せずに腫瘍を破壊する治療の選択や、腎生検の代わりになりうる画像検査の検討も含まれた。専門家は、一部に誤った情報、選択肢の抜け、詳しさの不足があることも指摘した。 この結果はなぜ重要か? これらのツールは、腎臓がんのガイドライン情報を読み解く助けになる可能性がある。ただし、試験では、ガイドラインから用意した情報を与えて評価した。独自に臨床判断を下せることは示されていない。そのため、回答は腎臓がんの専門知識をもつ医療者が確認すべきである。
掲載誌の IF 相当:2.7(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-11-05 時点の値、2026-11-06 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Montes SFP, García IO, Martín RB, Agustín Ferrández MJ, Arrea FA, Esteban EC, et al. Evaluation of large language models for clinical decision support in renal cell carcinoma: a multidisciplinary Delphi study. J Comp Eff Res. 2026 Nov 4 [Epub ahead of print]. doi:10.57264/cer-2026-0082.確認の範囲:抄録のみ確認
膀胱がんの治療・治験とAI
- Evaluation of large language models for guideline-based clinical questions in muscle-invasive and non-muscle-invasive bladder cancer and upper tract urothelial carcinoma: a multidisciplinary Delphi study.抄録(全訳)
目的:3種類の大規模言語モデル、Claude、Gemini、ChatGPTの回答に、専門家パネルがどの程度同意するかを評価する。2025年の欧州泌尿器科学会(EAU)ガイドラインを、Claude 3.5 Haiku、Gemini 2.5 Flash、GPT-4.1-miniに与えた。対象の疾患は、筋層非浸潤性膀胱がん(NMIBC)、筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)、上部尿路上皮がん(UTUC)である。 対象と方法:2025年の欧州泌尿器科学会(EAU)ガイドラインを、Claude 3.5 Haiku、Gemini 2.5 Flash、GPT-4.1-miniに与えた。図表は平易な文章に変換した。各モデルは、疾患ごとに25問に回答した。7〜10人の専門家からなるパネルが、回答を9段階で評価した。評価は、2ラウンドの修正デルファイ法で行った。評価項目は、同意のコンセンサスと、専門家パネルのスコア中央値7以上とした。
結果:同意のコンセンサスに達した回答の割合を、Claude、Gemini、ChatGPTの順に示す。NMIBCでは88%、100%、96%だった(P = 0.097)。MIBCでは92%、100%、96%だった(P = 0.223)。UTUCでは56%、100%、96%だった(pこの傾向は、特にGeminiとChatGPTで目立った。この結果は、これらのモデルがガイドラインの解釈に役立つ可能性を支持する。臨床的な有用性と安全性を確かめるには、さらに検証が必要である。 この論文は何についてか? 診療ガイドラインは、医療者が膀胱がんと上部尿路のがんについて判断する助けになる。ただし、ガイドラインは長く複雑なことがある。Claude、Gemini、ChatGPTのような人工知能ツールは、ガイドラインの情報を読み解く助けになるかもしれない。しかし、その回答は、臨床で使う前に専門家が確認する必要がある。 どのような方法を用いたか? 専門医が、3つの臨床領域のそれぞれについて25問を作った。領域は、筋層非浸潤性膀胱がん、筋層浸潤性膀胱がん、上部尿路上皮がんである。2025年の欧州泌尿器科学会ガイドラインを3つのツールに与えた。図表は、分かりやすい文章に変換した。各ツールは75問に回答した。7〜10人の専門医からなるパネルが、2ラウンドで回答を検討した。 結果はどうだったか? 75問全体で専門家が同意した回答は、Claudeが59件、Geminiが75件、ChatGPTが72件だった。差が最も大きかったのは、上部尿路上皮がんである。この領域で専門家が同意した回答は、Claudeで25件中14件、Geminiで25件中25件、ChatGPTで25件中24件だった。専門家のコメントでは、Claudeの一部の回答に限界があると指摘された。網羅性が十分でないことや、焦点が定まっていないことである。 この結果はなぜ重要か? これらのツールは、与えられたガイドライン情報を、専門医の意見と一致する形で読み解けることが多い。ただし、この研究は、実際の臨床での安全性や有用性を評価していない。そのため、回答は医療者が確認すべきである。複雑な場面では特にそうである。
掲載誌の IF 相当:2.7(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-11-05 時点の値、2026-11-06 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Guerrero-Ramos F, Fernández Gómez JM, Aparicio TF, López-Beltrán A, Rueda ÓB, González LL, et al. Evaluation of large language models for guideline-based clinical questions in muscle-invasive and non-muscle-invasive bladder cancer and upper tract urothelial carcinoma: a multidisciplinary Delphi study. J Comp Eff Res. 2026 Nov 4 [Epub ahead of print]. doi:10.57264/cer-2026-0079.確認の範囲:抄録のみ確認
希少癌
腺様嚢胞癌の治療・治験とAI
この号では、新しい該当論文はありませんでした。