AIと神経難病・神経免疫疾患 ── 多発性硬化症 ── 2026-11-03
多発性硬化症の治療・治験とAI
- A Belgian study assessing relapsing multiple sclerosis activity through automated magnetic resonance imaging volumetry.抄録(全訳)
目的:ico brain ms は、市販の人工知能(AI)支援の磁気共鳴画像(MRI)容積測定ソフトウェアである。本研究は、臨床的にも画像上も安定している再発型多発性硬化症(RMS)の患者で、このソフトウェアが疾患活動性をどの程度検出するかを調べた。あわせて、放射線科医の評価に与える影響を推定した。
患者と方法:RMS 患者 111 例を後ろ向きに登録した。対象は、1 年間隔で 2 回続けて MRI を撮った患者である。この間に再発・進行・画像上の変化はなく、治療も変わっていなかった。MRI は放射線科医 4 名がそれぞれ独立に読影し、ico brain ms でも解析した。放射線科医は、ico brain ms の支援がない場合とある場合の両方で評価した。患者の状態は、病変と脳容積の変化をもとに分類した。
結果:ico brain ms を使うと、放射線科医が病変の活動性を検出した割合は 6.8% から 8.6% に増えた。ただし有意差はなかった(McNemar 検定 p = 0.215、順序回帰 p = 0.06、符号検定 p = 0.08)。放射線科医が脳容積減少の加速を検出した割合は、2.0% から 7.7% に増えた(いずれも p p)。ico brain ms は、参加者の 16.2% で新しい病変または有意に大きくなった病変を検出した。また、脳容積減少の加速を参加者の 6.3% で検出した。
結論:安定と判断された患者でも、症状に現れない疾患活動性がある。AI 支援の MRI 容積測定は、放射線科医がそれを見つける助けになる可能性がある。 この研究は何を調べたか: 多発性硬化症は脳と脊髄を侵す病気で、患者ごとの違いが大きい。目に見える症状も見えない症状も幅広く現れる。経過はほとんど予測できず、時間とともに進行することもある。臨床と画像の両面で、注意深く経過を追うことが勧められている。臨床症状がなくても、脳の MRI を定期的に撮れば、わずかな変化を捉えられることがある。この研究では、AI ツールの ico brain ms が放射線科医の読影を助けるかを調べた。対象は臨床的にも画像上も安定していた患者で、脳の経時的な変化を見つけられるかに注目した。放射線科医 4 名が、患者 111 例の 2 回分の MRI を比べた。比較は、AI ツールの追加情報がない場合とある場合の 2 回行った。 結果はどうだったか: ツールは、一部の患者で新規または拡大した病変と、脳容積減少の加速を示した。ツールの情報を受けて、放射線科医が新規または拡大した病変を見つける割合はわずかに上がった。脳容積減少の加速を検出する割合は有意に増えた。参加した放射線科医 4 名の判定の一致度も、ツールによって高まった。 結果は何を意味するか: 臨床的な悪化がない多発性硬化症患者でも、脳の変化は起こりうる。AI ツールは、放射線科医がその変化を見つける助けになる。本研究はこのことを示した。ただし、放射線科医による読影は引き続き必要であり、AI ツールだけで置き換えることはできない。
掲載誌の IF 相当:1.9(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-11-01 時点の値、2026-11-03 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:D’hooghe MB, Fockaert N, Glibert N, Elands S, Elosegi JA, Etxeberria Izal A, et al. A Belgian study assessing relapsing multiple sclerosis activity through automated magnetic resonance imaging volumetry. Neurodegenerative Disease Management. 2026 Nov 1 [Epub ahead of print]. doi:10.1080/17582024.2026.2752856.確認の範囲:抄録のみ確認