AIとがん研究 ── 脳腫瘍 ── 2026-11-01
脳腫瘍の治療・治験とAI
- Performance of intraoperative AI-assisted Label-Free Stimulated Raman Histology in Recurrent Brain Tumors抄録(全訳)
背景:治療で組織が変化するため、再発中枢神経系(CNS)腫瘍の術中診断は難しくなる。そこで、誘導ラマン組織イメージング(SRH)と畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を組み合わせ、腫瘍の迅速な検出と分類を評価した。
方法:二施設の観察研究である。対象は、CNS 腫瘍の再発が疑われて切除または定位生検を受けた患者である。その新鮮組織を、ファイバーレーザー方式の SRH で撮像した。CNN1 は腫瘍か非腫瘍かの二値予測を行い、CNN2 は組織型を分類した。CNN1 は、盲検下の神経病理医による SRH のコンセンサスを基準に評価した。CNN2 は、最終的な統合病理組織診断と比べて評価した。
結果:CNN1 の腫瘍検出の曲線下面積(AUC)は 0.975(95% 信頼区間 0.95〜1.00)であった。このコホートから探索的に求めた腫瘍確率の閾値(59 以上)を用いると、特異度は 70.7% から 92.0% に上がった。このとき感度は 95.2% を維持し、放射線壊死の検体の 71.4% を識別した。 治療サブグループ解析の対象は 212 枚である。CNN1 の正解率に既治療群間で有意差はなかった(全体 90.1%、P = 0.080)。CNN2 の正解率は、手術のみの後では 61.8% だったが、手術・放射線治療・薬物治療の後では 39.0% に下がった(χ² = 6.04、P = 0.049)。集学的治療は、CNN2 の正しい予測のオッズ低下と独立に関連した。調整オッズ比は 0.10(95% 信頼区間 0.02〜0.39、P = 0.001)と 0.04(95% 信頼区間 0.01〜0.20、P < 0.001)であった。 120/382 枚(31.5%)は、診断に十分な品質ではなかった。品質管理の閾値を適用していれば、84/120 枚(70.0%)は除外されていた。
結論:画質が十分であれば、CNN1 は治療サブグループのいずれでも、腫瘍と非腫瘍の高い判別能を保った。一方、CNN2 の腫瘍型分類の性能は、治療強度が上がるほど低下した。再発腫瘍で SRH による信頼できる診断を行うには、検証済みの画質管理策が必要である。再発疾患に合わせたモデルの調整も必要である。
掲載誌の IF 相当:1.2(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-10-31 時点の値、2026-11-01 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Fürtjes G, Al Shughri A, Stehle T, Reinecke D, Meißner AK, Jung N, et al. Performance of intraoperative AI-assisted Label-Free Stimulated Raman Histology in Recurrent Brain Tumors. Neuro-Oncology Advances. 2026 Oct 29 [Epub ahead of print]. doi:10.1093/noajnl/vdag267.確認の範囲:抄録のみ確認 - Differentiating True Progression from Pseudoprogression in Glioblastomas: Dynamic Contrast Enhanced-MRI Habitat Analysis with Parsimonious Pharmacokinetic Model抄録(全訳)
背景:膠芽腫(GBM)では、真の進行(TP)と偽進行(PsP)の区別がまだ難しい。どちらも治療後の MRI で、判定の難しい造影病変として現れることが多いためである。ただし、ダイナミック造影(DCE)MRI にクラスタリングや機械学習などの解析手法を組み合わせる方法は、TP と PsP の区別に有望である。
方法:TP 53 例、PsP 29 例の計 82 例の DCE-MRI データを、5 つの薬物動態モデルで定量解析した。続いて、ボクセルごとに最も適合するモデルを、最節約的な選択法で決めた。次に、K-means++ によるクラスタリングで、ピクセルを低・中・高強度の領域に分類した。腫瘍は自動 nnU-Net アルゴリズムで造影域、非造影域、浮腫域に分割し、これらの領域からクラスターを抽出した。 分類器の入力変数には、クラスタリング解析で得た有意な特徴量、DCE-MRI パラメータの記述統計量(平均、中央値、歪度)、腫瘍体積を用いた。最後に、5 種類の機械学習分類器で TP と PsP を鑑別した。
結果:DCE-MRI データの単変量クラスタリング解析で、Ktrans、Ve、Vp、τi と腫瘍体積が、TP と PsP の区別に有意なパラメータと分かった。多変量クラスタリングでは、高 Ktrans と高 Ve の組み合わせが重要な鑑別変数と分かった。これらのパラメータで試した機械学習分類器のうち、診断性能が最も高かったのはランダムフォレストである。正解率は 83%、曲線下面積(AUC)は 0.85 であった。
掲載誌の IF 相当:1.2(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-10-31 時点の値、2026-11-01 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Basak S, Bera S, Misra SN, Rajan A, Poptani H, Chawla S, et al. Differentiating True Progression from Pseudoprogression in Glioblastomas: Dynamic Contrast Enhanced-MRI Habitat Analysis with Parsimonious Pharmacokinetic Model. Neuro-Oncology Advances. 2026 Oct 29 [Epub ahead of print]. doi:10.1093/noajnl/vdag254.確認の範囲:抄録のみ確認