AIとがん研究 ── 膀胱がん ── 2026-10-31
膀胱がんの治療・治験とAI
- Deep learning-based multiomics integration identifies AI-defined tissue regions associated with cancer-associated fibroblast enrichment and chemoresistance in muscle-invasive bladder cancer抄録(全訳)
筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)は、白金製剤を使う化学療法に耐性を生じることが多い。しかし、治療に関連する腫瘍微小環境の特徴を調べる手段はまだ限られている。
本研究では、人工知能(AI)を用いた枠組みを開発した。この枠組みは、病理画像、マルチオミクスデータ、単一細胞 RNA シーケンス、ex vivo 薬剤感受性試験を統合したものである。
The Cancer Genome Atlas(TCGA)のヘマトキシリン・エオジン染色全スライド画像で、畳み込みニューラルネットワークのモデルを 3 つ学習させた。各モデルは腫瘍、壊死、リンパ球に富む領域を分類する。性能は独立した組織マイクロアレイコホートで評価した。
3 つの分類器すべてで陰性だったパッチは、AI 定義の「Other」領域とした。この残余カテゴリーは、がん関連線維芽細胞(CAF)を分類するよう学習させたものではない。
単変量解析では、Other% が高いと全生存期間が短いという関連がみられた。ただし TCGA では、多変量で調整すると、この関連は有意ではなかった。マルチオミクス解析と組織起源解析では、Other% と間質成分の量に関連がみられた。
8 つの単一細胞 RNA シーケンスデータセットに Scissor 解析を行った。その結果、Other に関連する Scissor+ 細胞が、上皮と線維芽細胞の両区画にわたって同定された。また、ACTA2 の発現と細胞外マトリックス再構築に関わる経路の濃縮もみられた。
MIBC の 48 検体をハイドロゲル包埋組織培養薬剤感受性試験で評価した。その結果、Other% はゲムシタビン・シスプラチン耐性群で高かった。さらに多重免疫蛍光染色で、AI 定義の Other 領域に α 平滑筋アクチンのシグナルが濃縮していることが分かった。
エルダフィチニブは、一部の検体で ex vivo において活性を示した。ただし、FGFR 異常の有無に関するデータは得られておらず、臨床での有効性は評価していない。
これらの結果は、AI 定義の Other 領域、CAF に関連する間質の特徴、化学療法耐性の三者の関連を支持する。一方、臨床で使うには前向きの検証が必要である。
掲載誌の IF 相当:3.7(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-10-29 時点の値、2026-10-31 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Hu C, Wang F, Zhang Q, Xu H, Huang J, Xiong X, et al. Deep learning-based multiomics integration identifies AI-defined tissue regions associated with cancer-associated fibroblast enrichment and chemoresistance in muscle-invasive bladder cancer. Funct Integr Genomics. 2026 Oct 29;26(1):308. doi:10.1007/s10142-026-02086-6. PMID: 42955415.確認の範囲:抄録のみ確認