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Ethics · Regulation · Technology — 製薬実務の学習ノート
2026.11.02解説ビデオ·12:29·音声は合成音声

DeepSeekが自律エージェントを見せた日── 修正の遅れ、裁判所AIへの隠し指示、発電所の訴訟

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AIが自分から動くようになると、本当に足りなくなるのは何でしょうか。私は、賢さではないと考えています。今日の報道を並べると、AIが出すものを受け止める人と組織の力が足りないと、私には読めます。作る速さは上がりましたが、確かめる人も、払うお金も、動かす電気も、同じ速さでは増えていないように見えます。製薬の実務家にとっても遠い話ではなく、何ができるかだけを見て導入を決めれば、受け止める側が先に行き詰まるおそれがあります。

では、私たちはどこから手をつければよいのでしょうか。

目次
0:0012:29
CH 011:39

01DeepSeekの自律エージェント

出典 Pasquale Pillitteri / Global Times / Bloomberg.com / BusinessToday Malaysia

これまでは人が頼んでから機械が動きましたが、AIが人の指示を待たなくなれば、その順番が変わります。そのとき、働く人の役割はどう変わるのでしょうか。

①

公開したもの

DeepSeek Harnessチームが、オープンソースの試作版dsh-superagentを公開した。

②

複数の作業

Global Timesは、複数の作業を並行処理する「Super-agent」設計と報じた。

③

競う相手

Claude CodeやCodexへの対抗とされる。Bloombergの見出しは「Anthropicに対抗」。

中身を見せた試作品が大手に挑むようになると、この種の道具は一部の会社だけのものでなくなりそうです。

図 1 試作版の動き方
開発者の会話監視の対象修正の提案人の入力を減らす動く条件GitHubの作業試作版の用途開発者の会話監視の対象修正の提案人の入力を減らす動く条件GitHubの作業試作版の用途
開発者の会話を監視して修正を提案する。動くのは、求められたときか、ルールで許可されたときだけと説明された。

私が注目するのは、機械の賢さより、動いてよい範囲の決め方です。頼まれなくても案は出しますが、実行するには人の決めた範囲が要ると説明されています。つまり人の仕事は、頼むことから、許す範囲を決めることへ移っていくと私は見ます。

こうした道具が書くのは、いまのところ計算機の命令です。ただ、これは私の推測ですが、進め方そのものは文書の仕事にも移せるはずです。

誰でも手に入る道具は、会社の窓口を通らずに職場へ入ってくるおそれがあります。導入の審査は、買うときだけの仕事ではなくなるかもしれません。

製薬の職場であれば、AIに何を任せ、何を人に残すのかを決めた表が要ります。もっとも、この試作品の実力はまだ分かっていません。許す範囲を先に決めておくほうが、後の手戻りは少なくて済むと私は考えます。

範囲を決めて任せれば、AIはもっと働きます。そうなると次に問われるのは、その働きにいくら払うのかです。

CH 021:35

02使う量と課金の変化

出典 Business Insider / The Motley Fool / The Decoder

AIがよく働くほど、請求書の形も変わります。導入の費用を決まった額で考えてきた人にとっては、前提が揺らぐ話です。

表 1 利用と課金をめぐる報道
主体動き条件・出どころ
Anthropic社内のAI利用額が従業員報酬を上回る顧客向け価格で換算。IPO申請書類から
MicrosoftCopilotが定額から利用量に応じた課金へThe Motley Foolの記事
OpenAIChatGPT有料アカウントに端末・カード単位の上限The Decoderの報道

並んだ動きは、私には同じ向きに見えます。決まった額で使い放題という考え方が薄れ、使っただけ払う方向へ寄っているようです。よく使う人ほど売る側の負担が重くなるからだと、私は見ています。費用は、導入を決めた時ではなく、使うたびに生まれるものになっていきそうです。

作っている会社自身で、機械に使う額が人に払う額を超えたという話は、この変化のさらに先の姿に見えます。ただし、これは売値で計算した額で、実際の支出とは別のものです。

日常の仕事に入っている道具にも、同じ変化が及びつつあると報じられています。使う人が増えるほど請求額の見通しは立てにくくなり、一人あたりいくらで予算を組む方法は、通用しにくくなるかもしれません。

製薬の部門で予算を持つ人にとって、AIは備品ではなく、毎月変わる費用になっていくでしょう。どの業務にどれだけ使ったかを測れなければ、効果も説明できません。費用を見る仕組みは、導入と同時に作っておく必要があります。

費用は数字で見えます。では、AIが増やしているのに、数字では見えにくい負担とは何でしょうか。

CH 031:32

03修正が追いつかないバグ

出典 Startup Fortune / Forbes / The Times of India

見えにくい負担の一つは、直す人の時間です。欠陥を探し当てることと、それを直すことは、同じ速さでは進みません。

図 2 発見から修正まで
AIがバグを発見OpenAIなどの道具修正プログラムMicrosoftの10月分担当者の修正速さが追いつかない新しい修正手法Altman氏が必要と発言AIがバグを発見OpenAIなどの道具修正プログラムMicrosoftの10月分担当者の修正速さが追いつかない新しい修正手法Altman氏が必要と発言
AIツールがバグを見つける速さに、セキュリティ担当者の修正が追いつかないと、Startup Fortuneが伝えた。

機械は疲れずに探しますが、直すには人の判断が要り、ほかの仕組みを壊さないかの確認も要るはずです。そのため、発見が増えるほど、未処理の仕事がたまっていくという報道です。

警告と製品の動き
Elon Musk
立場
xAI Founder / Tesla CEO
内容
AIエージェントが暗号資産の次のセキュリティ脅威になりうると警告
Dell
立場
製品を出す側
内容
サイバーセキュリティ製品群にAI・ID管理・量子耐性を追加

不安を語る声と、守る製品を売る動きが、同時に出ています。守りが商品になるのは自然なことです。ただ、直す作業が滞るという問題は製品を買っても残るので、買えば安心という話にはなりません。

直す手段が配られても、それを当てるのは受け取る側です。配られた日に問題が消えるわけではなく、当てる時期を決めるのも、当てた後を確かめるのも、受け取る側の仕事として残ります。

製薬の会社では、記録を扱うシステムほど、更新の前に確かめる手順が多いはずです。発見が速くなれば、その手順が滞るおそれがあります。だから、直す順番を決める担当と基準を、問題が起きる前に定めておくことに意味があると私は考えます。

ここまでは、弱点を見つけて直す話でした。次に見るのは、機械の弱点を人がわざと狙う話です。

CH 041:41

04裁判所AIへの隠し指示

出典 Tom's Hardware / New York State Bar Association / The Business Journals / Yellow Scene Magazine

機械が読み手になると、文書の意味が変わります。人には見えない文字が、機械には命令として届くことがあるからです。

図 3 隠し指示の経路
弁護士の書面ブラジルの裁判所へ隠した指示表面的な審査を要求裁判所のAI弁護士に罰金Tom's Hardwareの報道弁護士の書面ブラジルの裁判所へ隠した指示表面的な審査を要求裁判所のAI弁護士に罰金Tom's Hardwareの報道
書面に隠した文字で、表面的な審査を求めた。裁判所のAIが隠し文字を見つけ、弁護士は罰金を受けた。

要点は、法律を扱う人が、読み手である機械を文書の細工で動かそうとしたことにあります。甘く見てもらおうとした相手は人ではなく仕組みで、それを見破ったのも機械でした。

金額そのものより、制裁を受けたことに意味があると私は考えます。機械をだます行為がいたずらでは済まないと示されたからです。

①

弁護士会の指針

ニューヨーク州弁護士会の代議員会がAIの指針を承認した。法的判断を人間の手に残すことなどを目指す。

②

保険の請求

The Business Journalsは、AIが原因の保険請求がすでに発生していると報じた。

③

出版社の提訴

Boston Institute for Nonprofit Journalismと出版社59社がOpenAIとMicrosoftを提訴。

並んだ動きは、責任の所在を探す動きとして読めます。判断は人に残し、損害はお金の請求になり、記事を作る側は法廷に訴える。AIの問題は、技術の話から、誰が負うかという話へ移っているようです。

この手口が厄介なのは、相手の文書を機械に読ませるだけで成り立つ点です。隠れた文字も一緒に読み込まれるので、人の目で読み直しても気づけないかもしれません。

製薬の職場でも、論文や委託先の報告を機械に要約させる場面は増えているでしょう。外から来た文書の中身は情報として扱い、命令としては受け取らない。その設定と人の確認を、受け入れの手順に入れておく必要があります。

文書の問題には、手順で備えることができます。しかし、機械を動かす電気や部品の問題は、手順だけでは片づきません。

CH 051:39

05電力と部材と資金

出典 Open Magazine / The Korea Times / EnergyNow.com / Wowtale

AIは画面の中の話に見えますが、実際には土地と電気と部品を必要とする産業です。その事実が、いま表に出てきました。

表 2 足元をめぐる動き
分野主体動き
電力xAIミシシッピ州のガスタービンをめぐり、近隣住民が提訴
部材OpenAIAltman氏がRAM確保のため韓国でSamsung経営陣と会談
地域米バージニア州「データセンター通り」でAIへの反発
資金CohereシリーズEの初回クローズを発表。最大51億ドルを目指す

ここに私が見るのは、技術の競争が資源の取り合いへ広がるという変化です。経営者が部品の取引先を国外に訪ね、住民が発電の設備を訴え、巨額の資金を集める動きも出ています。賢さの差より、電気と部品を確保できるかどうかが開発の速さを決める場面は、増えていきそうです。

計算に使う部品が足りなければ、どれほど優れた設計でも動きません。不足の影響は、いずれ利用料や待ち時間として、使う側に届くかもしれません。

争点が環境の法律であることにも、意味があります。AIの是非を問わなくても、空気の問題として止められる可能性があるからです。技術の議論に勝っても、地域の同意が得られなければ先へ進めない場面が出てきます。

製薬の実務家が契約するのは画面の向こうのサービスですが、その安定は、遠い土地の住民の同意や部品の取引に左右されることがあります。長く使う業務を載せるなら、止まったときの代わりの手段を決めておくことが、調達の条件になってくるはずです。

外の条件はこのように動いています。それでは、製薬の業界そのものでは、今日何が動いたのでしょうか。

CH 061:35

06製薬の現場では

出典 Yahoo Tech / The Business Journals

製薬の人が目を留めやすいのは、医師と機械を比べた数字でしょう。差が大きいほど、もう任せられるのではないかと感じます。

表 3 模擬試験の比較
対象複雑な症例の結果条件
Microsoftの診断AI83%を特定研究での模擬試験
一般医正答率36%同じ研究

ただ、この差は倍を超えて見えますが、作られた試験の中での結果です。実際の診療には、目の前の患者さんと、結果に責任を負う人がいます。試験で勝つことと診療で使えることの間には、確かめるべき段階がいくつも残っています。製薬の人なら、条件の違う試験の数字をそのまま比べない習慣があるはずです。

①

収集と採用

AIと製薬産業の欄は241件を収集し、採用は0件。金額や資本移動を伴う報道はなかった。

②

除外の内訳

鮮度外124件、対象外53件、重複33件、低品質媒体20件、投資シグナルなし6件など。

③

導入前の権限

The Business Journalsの見出しは、Copilot導入前に見落としがちなデータへのアクセス権の問題。

同じ日に、製薬の投資の動きは静かでした。多くの報道を集めたものの、残すべき案件はなかったのです。自動の集計なので漏れはありえますが、派手な数字が出た日に、製薬でお金が動いたという報道はありません。話題の大きさと資金の動きは、分けて見る必要があります。

だから、今日の段階で製薬の判断を急いで変える理由は、私には見当たりません。先にできるのは、社内の文書を誰が見られるのかを確かめることです。詳しい中身は見出ししか読めていませんが、機械に広く読ませるなら、導入の前に押さえておきたい点です。この作業は、導入するかどうかにかかわらず役に立ちます。

判断を急がないのであれば、次に問うべきは、判断の材料そのものがどれほど確かなのかという点です。

CH 071:31

07見出しだけの報道

出典 Fortune / New York Post / The Times of India / Startup Fortune

大きな話題ほど、確かめられないまま広まりがちです。今日の報道にも、見出しだけで中身を確かめられないものが混じっています。見出しは目を引くように作られるので、中身より先に印象だけが残りやすいのです。

表 4 確認の状況
報道媒体確認の状況
Anthropicの評価額2兆ドル規模Fortune見出しのみの情報で、詳細は未確認
AI大手の約100万ドルの寄付New York Post見出しの帰属は要確認
Nadella氏の発言The Times of India見出しが途切れ、内容は未確認
109Mパラメータの小型モデルStartup FortuneLeCun氏との関係は不明

複数の見出しは単一ソースか詳細不明で、数値や評価額は裏取りが必要

桁の大きな金額や有名な人の名前は、記憶に残ります。しかし、ここに並ぶのは、中身まで追えていないものです。途中で切れた見出しもあれば、誰の話か分からないものもあります。知らないことを知らないまま示すのが、この画面の役割です。見出しだけで判断すると、話の中身まで読み違えるおそれがあります。

一つの媒体の報道が悪いわけではありません。ただ、別々の取材で同じことが確かめられるまでは、報道があったという事実にとどまります。社内で話すときには、この違いが効いてきます。「報じられた」と「分かった」は、別の言葉だからです。

製薬の実務家は、資材の審査で、この作業を日々行っています。主張の根拠をたどり、原典にあたり、言えることと言えないことを分ける。AIの報道にも同じ目を向ければ、社内の説明資料に未確認の数字を載せずに済みます。

確かめる力は、製薬の仕事がすでに持っているものです。今日の話全体にも、その力は使えます。

まとめ0:29

DeepSeekの試作版の実性能と、Anthropicの上場条件の続報に注目します。

全文
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導入

AIが自分から動くようになると、本当に足りなくなるのは何でしょうか。私は、賢さではないと考えています。今日の報道を並べると、AIが出すものを受け止める人と組織の力が足りないと、私には読めます。作る速さは上がりましたが、確かめる人も、払うお金も、動かす電気も、同じ速さでは増えていないように見えます。製薬の実務家にとっても遠い話ではなく、何ができるかだけを見て導入を決めれば、受け止める側が先に行き詰まるおそれがあります。

では、私たちはどこから手をつければよいのでしょうか。

CH 01 DeepSeekの自律エージェント

これまでは人が頼んでから機械が動きましたが、AIが人の指示を待たなくなれば、その順番が変わります。そのとき、働く人の役割はどう変わるのでしょうか。中身を見せた試作品が大手に挑むようになると、この種の道具は一部の会社だけのものでなくなりそうです。私が注目するのは、機械の賢さより、動いてよい範囲の決め方です。頼まれなくても案は出しますが、実行するには人の決めた範囲が要ると説明されています。

つまり人の仕事は、頼むことから、許す範囲を決めることへ移っていくと私は見ます。こうした道具が書くのは、いまのところ計算機の命令です。ただ、これは私の推測ですが、進め方そのものは文書の仕事にも移せるはずです。誰でも手に入る道具は、会社の窓口を通らずに職場へ入ってくるおそれがあります。導入の審査は、買うときだけの仕事ではなくなるかもしれません。

製薬の職場であれば、AIに何を任せ、何を人に残すのかを決めた表が要ります。もっとも、この試作品の実力はまだ分かっていません。許す範囲を先に決めておくほうが、後の手戻りは少なくて済むと私は考えます。範囲を決めて任せれば、AIはもっと働きます。そうなると次に問われるのは、その働きにいくら払うのかです。

CH 02 使う量と課金の変化

AIがよく働くほど、請求書の形も変わります。導入の費用を決まった額で考えてきた人にとっては、前提が揺らぐ話です。並んだ動きは、私には同じ向きに見えます。決まった額で使い放題という考え方が薄れ、使っただけ払う方向へ寄っているようです。よく使う人ほど売る側の負担が重くなるからだと、私は見ています。費用は、導入を決めた時ではなく、使うたびに生まれるものになっていきそうです。

作っている会社自身で、機械に使う額が人に払う額を超えたという話は、この変化のさらに先の姿に見えます。ただし、これは売値で計算した額で、実際の支出とは別のものです。日常の仕事に入っている道具にも、同じ変化が及びつつあると報じられています。使う人が増えるほど請求額の見通しは立てにくくなり、一人あたりいくらで予算を組む方法は、通用しにくくなるかもしれません。

製薬の部門で予算を持つ人にとって、AIは備品ではなく、毎月変わる費用になっていくでしょう。どの業務にどれだけ使ったかを測れなければ、効果も説明できません。費用を見る仕組みは、導入と同時に作っておく必要があります。費用は数字で見えます。では、AIが増やしているのに、数字では見えにくい負担とは何でしょうか。

CH 03 修正が追いつかないバグ

見えにくい負担の一つは、直す人の時間です。欠陥を探し当てることと、それを直すことは、同じ速さでは進みません。機械は疲れずに探しますが、直すには人の判断が要り、ほかの仕組みを壊さないかの確認も要るはずです。そのため、発見が増えるほど、未処理の仕事がたまっていくという報道です。不安を語る声と、守る製品を売る動きが、同時に出ています。守りが商品になるのは自然なことです。

ただ、直す作業が滞るという問題は製品を買っても残るので、買えば安心という話にはなりません。直す手段が配られても、それを当てるのは受け取る側です。配られた日に問題が消えるわけではなく、当てる時期を決めるのも、当てた後を確かめるのも、受け取る側の仕事として残ります。製薬の会社では、記録を扱うシステムほど、更新の前に確かめる手順が多いはずです。

発見が速くなれば、その手順が滞るおそれがあります。だから、直す順番を決める担当と基準を、問題が起きる前に定めておくことに意味があると私は考えます。ここまでは、弱点を見つけて直す話でした。次に見るのは、機械の弱点を人がわざと狙う話です。

CH 04 裁判所AIへの隠し指示

機械が読み手になると、文書の意味が変わります。人には見えない文字が、機械には命令として届くことがあるからです。要点は、法律を扱う人が、読み手である機械を文書の細工で動かそうとしたことにあります。甘く見てもらおうとした相手は人ではなく仕組みで、それを見破ったのも機械でした。金額そのものより、制裁を受けたことに意味があると私は考えます。機械をだます行為がいたずらでは済まないと示されたからです。

並んだ動きは、責任の所在を探す動きとして読めます。判断は人に残し、損害はお金の請求になり、記事を作る側は法廷に訴える。AIの問題は、技術の話から、誰が負うかという話へ移っているようです。この手口が厄介なのは、相手の文書を機械に読ませるだけで成り立つ点です。隠れた文字も一緒に読み込まれるので、人の目で読み直しても気づけないかもしれません。製薬の職場でも、論文や委託先の報告を機械に要約させる場面は増えているでしょう。

外から来た文書の中身は情報として扱い、命令としては受け取らない。その設定と人の確認を、受け入れの手順に入れておく必要があります。文書の問題には、手順で備えることができます。しかし、機械を動かす電気や部品の問題は、手順だけでは片づきません。

CH 05 電力と部材と資金

AIは画面の中の話に見えますが、実際には土地と電気と部品を必要とする産業です。その事実が、いま表に出てきました。ここに私が見るのは、技術の競争が資源の取り合いへ広がるという変化です。経営者が部品の取引先を国外に訪ね、住民が発電の設備を訴え、巨額の資金を集める動きも出ています。賢さの差より、電気と部品を確保できるかどうかが開発の速さを決める場面は、増えていきそうです。

計算に使う部品が足りなければ、どれほど優れた設計でも動きません。不足の影響は、いずれ利用料や待ち時間として、使う側に届くかもしれません。争点が環境の法律であることにも、意味があります。AIの是非を問わなくても、空気の問題として止められる可能性があるからです。技術の議論に勝っても、地域の同意が得られなければ先へ進めない場面が出てきます。製薬の実務家が契約するのは画面の向こうのサービスですが、その安定は、遠い土地の住民の同意や部品の取引に左右されることがあります。

長く使う業務を載せるなら、止まったときの代わりの手段を決めておくことが、調達の条件になってくるはずです。外の条件はこのように動いています。それでは、製薬の業界そのものでは、今日何が動いたのでしょうか。

CH 06 製薬の現場では

製薬の人が目を留めやすいのは、医師と機械を比べた数字でしょう。差が大きいほど、もう任せられるのではないかと感じます。ただ、この差は倍を超えて見えますが、作られた試験の中での結果です。実際の診療には、目の前の患者さんと、結果に責任を負う人がいます。試験で勝つことと診療で使えることの間には、確かめるべき段階がいくつも残っています。製薬の人なら、条件の違う試験の数字をそのまま比べない習慣があるはずです。

同じ日に、製薬の投資の動きは静かでした。多くの報道を集めたものの、残すべき案件はなかったのです。自動の集計なので漏れはありえますが、派手な数字が出た日に、製薬でお金が動いたという報道はありません。話題の大きさと資金の動きは、分けて見る必要があります。だから、今日の段階で製薬の判断を急いで変える理由は、私には見当たりません。先にできるのは、社内の文書を誰が見られるのかを確かめることです。

詳しい中身は見出ししか読めていませんが、機械に広く読ませるなら、導入の前に押さえておきたい点です。この作業は、導入するかどうかにかかわらず役に立ちます。判断を急がないのであれば、次に問うべきは、判断の材料そのものがどれほど確かなのかという点です。

CH 07 見出しだけの報道

大きな話題ほど、確かめられないまま広まりがちです。今日の報道にも、見出しだけで中身を確かめられないものが混じっています。見出しは目を引くように作られるので、中身より先に印象だけが残りやすいのです。桁の大きな金額や有名な人の名前は、記憶に残ります。しかし、ここに並ぶのは、中身まで追えていないものです。途中で切れた見出しもあれば、誰の話か分からないものもあります。

知らないことを知らないまま示すのが、この画面の役割です。見出しだけで判断すると、話の中身まで読み違えるおそれがあります。一つの媒体の報道が悪いわけではありません。ただ、別々の取材で同じことが確かめられるまでは、報道があったという事実にとどまります。社内で話すときには、この違いが効いてきます。「報じられた」と「分かった」は、別の言葉だからです。

製薬の実務家は、資材の審査で、この作業を日々行っています。主張の根拠をたどり、原典にあたり、言えることと言えないことを分ける。AIの報道にも同じ目を向ければ、社内の説明資料に未確認の数字を載せずに済みます。確かめる力は、製薬の仕事がすでに持っているものです。

今日の話全体にも、その力は使えます。

まとめ

AIが広がるほど足りなくなるのは、賢さではなく受け止める力だと、今日の報道からは読めました。許す範囲を決め、費用を測り、直す順番を定め、外の文書を疑い、根拠をたどる。どれも、今ある組織で始められることです。

明日私が見たいのは、話題の道具が約束どおりに働くかどうかです。受け止める側の準備は、その答えで変わります。

出典
  1. CH 01Pasquale Pillitteri「DeepSeek releases the open source prototype of its Super-agent」 pasqualepillitteri.it
  2. CH 01Global Times「DeepSeek unveils ‘Super-agent’ design to handle multiple tasks in parallel and improve efficiency」 globaltimes.cn
  3. CH 01Bloomberg.com「DeepSeek Drops Enhanced Coding Agent With Aim to Rival Anthropic」 bloomberg.com
  4. CH 01BusinessToday Malaysia「DeepSeek Expands AI Agent Ambitions With New Coding Prototype」 businesstoday.com.my
  5. CH 02Business Insider「Anthropic's internal AI use is now worth more than employee pay, at the prices it charges customers」 businessinsider.com
  6. CH 02The Motley Fool「1 Reason to Buy Microsoft Stock for 10 Years」 fool.com
  7. CH 02The Decoder「OpenAI is steering ChatGPT users toward more paid usage」 the-decoder.com
  8. CH 03Startup Fortune「AI agents are finding more software bugs than Silicon Valley can patch」 startupfortune.com
  9. CH 03Forbes「Elon Musk Issues Serious Hack Warning Amid Bitcoin And Crypto Price Crash Fear」 forbes.com
  10. CH 03The Times of India「Dell expands cybersecurity portfolio with new AI, identity and quantum-resilience capabilities」 timesofindia.indiatimes.com
  11. CH 04Tom's Hardware「Brazilian lawyers busted for attempting to manipulate court's AI with prompt injection hidden in filing — court's AI flags hidden text that demanded superficial legal scrutiny, lawyers fined $16,000」 tomshardware.com
  12. CH 04New York State Bar Association「NYSBA Releases In-Depth Guidelines To Advise Attorneys on Ethical Use of AI」 nysba.org
  13. CH 04The Business Journals「AI is already creating insurance claims. Is your business covered?」 bizjournals.com
  14. CH 04Yellow Scene Magazine「The Entire Journalism Industry Is On A Collision Course With AI」 yellowscene.com
  15. CH 05Open Magazine「EXPLAINED | Why Are Neighbours Taking Elon Musk’s AI Power Plant to Court?」 openthemagazine.com
  16. CH 05The Korea Times「OpenAI CEO's Codex keyboard gift to Samsung presidents draws attention」 koreatimes.co.kr
  17. CH 05EnergyNow.com「AI Backlash Hits Home in Virginia’s ‘Data Center Alley’」 energynow.com
  18. CH 05Wowtale「Sovereign AI Firm Cohere Announces Series E Initial Close, Targeting Up to $5.1B」 en.wowtale.net
  19. CH 06Yahoo Tech「Microsoft AI beats doctors in simulated diagnosis test」 tech.yahoo.com
  20. CH 06The Business Journals「Before you roll out Copilot: The data access problem most companies miss」 bizjournals.com
  21. CH 07Fortune「Anthropic’s $2T IPO could create millionaires—but it’s asking candidates what they’d do if stock hit zero」 fortune.com
  22. CH 07New York Post「AI giant donates nearly $1M to California Dems just days before election」 nypost.com
  23. CH 07The Times of India「Microsoft CEO Satya Nadella says that when Dario Amodei, Ilya Sutskever, Sam Altman, Greg Brockman and El」 timesofindia.indiatimes.com
  24. CH 07Startup Fortune「Yann LeCun's tiny 109M model aligns with vision better than 72B LLMs」 startupfortune.com

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この動画について

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総字数
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平均文長
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最長文
64
章
7
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