AIと希少疾病 ── 基盤(総論) ── 2026-10-10
希少疾病の診断と創薬の基盤とAI
- A scoping review and comparison of the current state of non-generative artificial intelligence in the diagnostics and prognostics of rare diseases – focusing on paediatric populations抄録(全訳)
背景:希少疾患は患者数が少なく、病態も多様である。そのため、診断も予後予測も特に難しい。この問題は小児でさらに大きくなる。小児は希少疾患の影響を受ける割合が不釣り合いに高いからである。非生成型の人工知能(AI)は、臨床医を支援する強力な道具である。診断やリスク層別化、患者のサブグループ分けで、臨床医の助けになる。ただし、AIが希少疾患にどこまで応用されてきたかは、はっきりしていない。小児の希少疾患コホートについては特にそうである。
目的:本スコーピングレビューは、希少疾患の診断と予後予測を支援するためにAI技術がどう用いられてきたかを明らかにすることを目的とした。特に小児集団での利用に焦点を当てた。
方法:Embase、Medline、Web of Science、IEEE Xplore、Scopus の各データベースで原著論文を検索した。検索語は「(‘machine learning’ OR ‘artificial intelligence’) AND (‘rare’ OR ‘orphan’) AND (‘condition*’ OR ‘disease*’ OR ‘disorder*’)」である。
結果:組み入れ基準を満たした研究は136件だった。このうち28件(20.6%)が小児コホートを対象としていた。研究の種類はさまざまで、内訳は診断(n = 61、44.9%)、予後(n = 39、28.7%)、分類(n = 19、14.0%)、スクリーニング(n = 17、12.5%)であった。1研究あたりの参加者数は16人から300万人超まで幅があった。 最も多く使われたのは決定木系のモデル(n = 62、45.6%)だった。次いでニューラルネットワーク(n = 49、36.1%)、線形モデル(n = 46、33.9%)の順であった。小児コホートで最も多かったのはニューラルネットワーク(n = 11、39.2%)で、決定木系(n = 10、35.7%)と線形モデル(n = 10、35.7%)が続いた。 前処理の手順を記載した研究は少数にとどまった。記載された手順は次のとおりである。特徴量選択(n = 41、30.1%)、欠測データの処理(n = 36、19.1%)、データクリーニング(n = 44、32.4%)、データ不均衡への対処(n = 21、15.4%)、データ拡張(n = 23、16.9%)。外部検証を受けたモデルは27件(19.9%)だけであった。臨床医の関与を記載した研究は56件(41.2%)であった。臨床現場で日常的に使われるようになったモデルは一つもなかった。
結論:希少疾患の診断と予後予測を支援するAIツールの研究は、増えつつある。しかし、小児の希少疾患コホートでの利用はまだ少ない。モデル開発の方法や臨床医の関与がほとんど記載されておらず、外部検証も不足している。そのため、モデルは臨床現場にほとんど実装されていない。
掲載誌の IF 相当:3.4(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-10-09 時点の値、2026-10-10 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Taylor CS, Lai A, Kaski JP, Norrish G. A scoping review and comparison of the current state of non-generative artificial intelligence in the diagnostics and prognostics of rare diseases – focusing on paediatric populations. Orphanet J Rare Dis. 2026 Oct 8 [Epub ahead of print]. doi:10.1186/s13023-026-04619-5.確認の範囲:抄録のみ確認