AIと希少疾病 ── 基盤(総論) ── 2026-10-21
希少疾病の診断と創薬の基盤とAI
- Predictive Performance of pyDarwin-Selected Versus Expert-Developed Paediatric Tobramycin Population Pharmacokinetic Models for Model-Informed Precision Dosing.抄録(全訳)
PyDarwinは、機械学習とNONMEMを組み合わせてモデル選択を自動化する、オープンソースのPythonパッケージである。ただし、モデルに基づく個別化投与(MIPD)での有用性はまだ検証されていない。本研究は、pyDarwinをMIPDのための母集団薬物動態(PopPK)モデル構築に適用し、専門家開発モデルと比較して評価することを目的とした。代表例は小児のトブラマイシンとした。
モデル構築データは、嚢胞性線維症(CF)の小児63例から得られた血漿中濃度450点であった。一方のグループは、段階的な共変量選択によって手作業でモデルを構築した。もう一方は、あらかじめ定めた27次元のモデル空間にpyDarwinを適用した。その際の適応度関数には、24時間血中濃度曲線下面積(AUC24h)に基づくペナルティを組み込んだ。外部検証には、小児144例からの血漿中濃度1011点を用いた。治療薬物モニタリング(TDM)データ全体での評価に加え、臨床で重要なMIPDシナリオ(事前投与設計[AP]、ベイズ1、ベイズ2)でも評価した。
両モデルとも、クリアランスの共変量として体重に基づくスケーリング、成熟関数、推定糸球体濾過率を組み込み、クリアランスの推定値は両者で同程度であった。pyDarwinが選択したモデルは、アロメトリックスケーリングの指数を固定した2コンパートメントモデルであった。一方、手作業モデルは指数を推定した1コンパートメントモデルであった。定常状態のAUC24hに対する目標達成確率は、両モデルで同程度であった。
TDMデータ全体による外部検証では、CF患者に対する予測性能でpyDarwin選択モデルが手作業モデルを上回った。予測ベースの平均予測誤差(MPE)は-14.6%対-41.6%、平均絶対予測誤差(MAPE)は34.0%対54.4%であった。MIPDシナリオでは、APの設定でpyDarwin選択モデルが優れた成績を示した。ベイズ更新を重ねると、両モデルの差は小さくなった。以上の結果から、pyDarwinによるPopPKモデルの自動選択は、MIPDのための信頼性が高く効率的な手法として支持された。
掲載誌の IF 相当:3.7(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-10-20 時点の値、2026-10-21 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Wang J, Harwood K, Yang W, Lei A, Lai T, Nieforth K, et al. Predictive Performance of pyDarwin-Selected Versus Expert-Developed Paediatric Tobramycin Population Pharmacokinetic Models for Model-Informed Precision Dosing. AAPS J. 2026 Oct 19;28(6):171. doi:10.1208/s12248-026-01321-z.確認の範囲:抄録のみ確認