Copilot Businessの新規契約は11月2日以降、従量課金が初めからオンになる。請求は席の数でなく使った量で毎月動き、止められるのは管理者が書く上限だけである。上限に達すると翌月1日まで使えず、表示も数時間遅れる。管理者は月の上限、一人ごとの上限、自動追加を設定で決める。
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Microsoft は 2026年9月16日、新しい Copilot Business の契約で、AI エージェントの料金を初めから「使った分だけ払う」形にすると発表した。対象は、11月2日以降に販売店を通して買う Microsoft 365 Copilot Business の契約である。AI エージェントの料金が席の数でなく使った分で決まるとき、毎月の費用を決めるのは誰か。毎月の費用がどこまで増えうるか、どの機能にかかるかは、管理者が設定に書く二つの値で決まる。月の上限と、料金を払う機能の範囲である。管理者が何も書かなければ、Microsoft の初期設定のまま、社員が使った量が費用を決める。

01Copilotの費用は、上限を書かなければ使われた量で決まる

11月2日から、Copilot Business の買い方が一つ変わる。販売店を通して新しく買う契約では、AI エージェントなどの料金が、初めから使った分だけ払う形になる。この払い方を従量課金と呼ぶ。料金は利用者の人数ではなく、使った量で決まる。

Microsoft は管理者向けの手順書を公開している。手順書によれば、管理者は月の支出の上限として「制限しない」を選ぶこともできる。新しいサービスを支払いの対象に自動で加える設定は、初めからオンになっている。

管理者が上限を書かず、自動の追加も切らないとする。その場合、毎月の請求額は、社員がどれだけ AI エージェントを使ったかで決まる。

図 1 既定の設定から請求までの流れ
上限を書かなけれ…11月2日に新規購入CSP経由従量課金が有効既定の設定新機能が自動で対象利用の量で請求上限を書かなければ11月2日に新規購入CSP経由従量課金が有効既定の設定新機能が自動で対象利用の量で請求
既定のままなら、請求を決めるのは利用の量になる。流れを止められるのは、管理者が書く上限と対象だけである。

私の答えは短い。請求が増え続けるのを止められるのは、管理者だけである。管理者は、月の上限と、料金を払う機能を設定に書いて、請求を止める。Copilot を入れる組織は、席の数を数える前に、二人の担当を決めておくとよい。上限を書く人と、毎月の使用量を読む人である。

02変わるのは、11月2日以降に販売店を通して買う新しい契約だけである

では、初期設定が変わるのはどの契約か。範囲は、Microsoft が販売店向けに出した発表に書かれている。

発表によれば、変わるのは、販売店を通して新しく買う Copilot Business である。Microsoft は、この販売店の仕組みを CSP と呼んでいる。Copilot Business だけの契約も、ほかの製品と組み合わせた契約も、変更の対象に入る。新しい契約では、従量課金が初めからオンになる。従量課金を払うには Azure の契約が別に要る。新しい契約には、Azure の契約も初めから付いてくる。

使った量を数える単位は、Copilot Credits と呼ばれる。社員が対象の機能を使うと、その分の Copilot Credits が使われる。発表は、従量課金の対象として三つの機能の名前を挙げた。

①

Copilot Cowork

Copilot Cowork は、利用者の代わりに仕事を進める機能である。使った分だけ Copilot Credits が減る。

②

Work IQ API

Work IQ API は、自社のアプリから Copilot の仕事の情報を呼び出す仕組みである。呼び出した回数に応じて料金がかかる。

③

GitHub Copilot Harness

Microsoft の発表は、従量課金の三つ目の対象としてこの機能を挙げた。私は、機能の中身を Microsoft の資料で確かめていない。

すでに結んだ契約にもこの変更が及ぶのか。発表には、及ぶとも及ばないとも書かれていない。既存の契約を持つ組織は、自社の管理画面で、設定がどうなっているかを見ておく必要がある。

03席の料金は購入の審査で決まるが、従量課金の請求は毎月動く

販売店を通して Copilot Business を新しく買う組織では、初期設定が変わる。そうした組織で、費用の決まり方はどこが変わるのか。

これまでの Copilot Business は、席の数で払う形が中心だった。席の料金は、利用者の人数に月額を掛けて決まる。組織は買う前に、社内の購入の審査で金額を確かめて承認する。承認した金額は、人数を変えない限り毎月同じである。

従量課金の請求は、決まり方が違う。請求額は、社員がその月に使った Copilot Credits の量で決まる。社員が AI エージェントを多く使った月は請求が増え、あまり使わなかった月は減る。購入の審査で承認した金額は、従量課金の請求を縛らない。

販売店の立場も書いておく。Microsoft は同じ発表で、販売店が Copilot Cowork の利用を広げれば報酬を出すと書いている。販売店がこの報酬でどう動くかは、私には分からない。事実として言えるのは、社員の利用が増えれば Microsoft の従量課金の収入が増え、Copilot Cowork の利用が増えれば販売店に報酬が入ることである。

04Microsoftは、従量課金を初めからオンにすれば設定の手間が減ると書いた

席の料金は買うときに決まるが、従量課金の請求は毎月動く。それでも Microsoft は、従量課金を初めからオンにすると決めた。Microsoft 自身は理由をどう説明しているのか。

販売店向けの発表で、Microsoft は利点を二つ挙げた。一つ目に、これまで何段階にも分かれていた支払いの設定が要らなくなる。二つ目に、顧客が早く使い始めれば、使う量も早く増える。

図 2 席の料金と従量の請求、決まる時点の違い
席の料金従量の請求人数×月額購入時に決まる使った量×単価毎月変わる上限の設定で決まる席の料金従量の請求人数×月額購入時に決まる使った量×単価毎月変わる上限の設定で決まる
席の料金は買うときに決まる。従量の請求は毎月動き、止められるのは上限の設定である。

図 2 の二つの段では、費用が決まる時期が違う。上の段の席の料金は、買うときに一度だけ決まる。下の段の従量課金の請求は、毎月の利用で決まる。下の段の請求を止める手段は、管理者が書いた上限しかない。

Microsoft で Copilot の部門を率いる Charles Lamanna は、IT 業界の情報サイト GeekWire の取材にこう答えた。「私のエージェントがあなたのアプリだけを使うなら、あなたの顧客は、人ではなくエージェントになる。そしてエージェントは、とても厳しい顧客だ。」

Lamanna は、ソフトウェアの値段の決め方が、人の席の数から使った量へ移ると見ている。Microsoft の狙いについて、私はこれ以上の推測をしない。発表と発言から分かるのは、Microsoft が使った量で払う形を広げたいと考えていることまでである。

05上限に達すると翌月1日まで止まり、使用量の表示は2〜4時間ごとにしか新しくならない

Microsoft の説明では、従量課金を初めからオンにしておけば、支払いを設定する手間が減る。では、管理者が書ける設定は、実際にどう働くのか。Microsoft の手順書から数える。

管理者は、月の上限について「制限しない」か「制限する」かを選ぶ。社員一人ごとの上限も書けるが、書くかどうかは管理者の自由である。上限に達した社員は、その月の残りの期間、AI エージェントとサービスを使えなくなる。社員がまた使えるようになるのは、Copilot Credits が元に戻る翌月の 1 日である。

使用量を見る画面にも遅れがある。概要の画面は 4 時間ごとに、使用量の詳しい画面は 2 時間ごとに新しくなる。管理者が画面で見る数字は、最大で数時間前の使用量である。

設定既定または初期の状態書いたときに起きること
月の上限『制限しない』も選べる上限で止まり、翌月1日に戻る
利用者ごとの上限任意(書かなくてよい)一人が予算を使い切るのを防ぐ
新しいサービスの自動追加有効切ると、新機能は管理者が選んでから加わる
使用量の表示2時間ごとに更新利用者・機能ごとに誰が使ったかが分かる

値段の手がかりも一つある。Microsoft は 2025 年 10 月、Copilot Studio という別の製品で、従量課金の単価を 1 メッセージ 0.01 ドルと発表した。Copilot Studio の 1 メッセージと、Copilot Business の Copilot Credits が同じ値段かどうかを、私は確かめられなかった。0.01 ドルという数字から、Copilot Business の請求額は計算できない。

06一人ごとの上限は任意で、新機能は自動で加わり、初期の上限額は発表に無い

上限に達すると AI エージェントが止まり、使用量の画面は最大で数時間遅れる。管理者が初期設定のまま使うと、組織の費用には何が起こりうるのか。手順書と発表から三つを取り出す。

一つ目に、社員一人ごとの上限は書かなくてもよい。Microsoft 自身は、一人が予算を使い切るのを防ぐため、一人ごとの上限を書くよう勧めている。管理者が月の上限だけを書き、一人ごとの上限を書かなければ、一人の社員の使い方で、組織全体の月の予算が尽きることがある。予算が尽きると、ほかの社員も月末まで AI エージェントを使えなくなる。

二つ目は、新しいサービスの自動の追加である。新しい AI エージェントやサービスを支払いの対象に自動で加える設定は、初めからオンになっている。管理者が切らなければ、組織の誰も選んでいない機能にも料金がかかりうる。Microsoft は、今後も AI エージェントとサービスを支払いの仕組みに加えていくと書いている。

三つ目に、初期設定の上限額が、発表には数字で書かれていない。販売店向けの発表は「あらかじめ設定された月の上限」に触れているが、金額は書いていない。解説サイトの Technspire も、発表の頁に金額が無いと指摘した。金額を書いた解説記事もあるが、私は Microsoft の資料でその金額を確かめられなかった。

図 3 11月2日までに管理者が書く設定
月の上限を書く一人ごとの上限自動追加を残すか読む人と頻度を決める2時間ごとに更新月の上限を書く一人ごとの上限自動追加を残すか読む人と頻度を決める2時間ごとに更新
上限、一人ごとの上限、自動追加の可否を書き、消費の画面を誰が読むかまで決めて手順が閉じる。

図 3 の手順は、どれも管理者の仕事である。組織が Microsoft 365 を使うための管理の単位を、テナントと呼ぶ。上限の金額は、販売店の資料に書かれた数字で判断しない。自社のテナントに入っている値を、管理者が自分の目で確かめる。使用量の画面は 2 時間ごとに新しくなるので、誰がどのくらいの間隔で読むかも決めておく。

07Microsoftは勧める上限を変えうると書いており、費用の上限は今後も見直しが要る

費用の上限を決める仕事は、Copilot を入れた組織の管理者に残る。その上限は Microsoft の設定と値段を前提に決まる。では Microsoft の設定と値段は、この先どう変わりうるのか。

Microsoft は手順書で、使われ方を見ながら、勧める上限と方針を改めていくと書いている。AI エージェントとサービスを今後も支払いの仕組みに加えるとも書いている。Microsoft が勧める値や対象を改めれば、管理者が 11 月に書いた設定は、書いたときと同じ意味を持たなくなる。新しい AI エージェントが加われば、同じ上限の中で、それぞれの機能に回せる量も変わる。

①

既定の上限額

販売店向けの発表は「あらかじめ設定された月の上限」に触れるが、金額を数字で示していない。

②

既存の契約

Microsoft の発表は新しい購入だけを扱い、すでに結んだ契約に変更が及ぶかは書いていない。

③

推奨の変更

Microsoft は、勧める上限と方針が時とともに変わりうると書いている。

Lamanna の見方が当たれば、値段の決め方の変化は Copilot の外にも広がる。AI エージェントが使うほかの会社のアプリも、使った量で値段が決まるようになるかもしれない。ただし、そう予測した数字は Microsoft の資料には無い。私が読んだ資料からは、どの製品がいつ変わるのかは分からない。

確かに言えることが一つある。従量課金では、費用の上限は一度決めれば終わりにならない。Microsoft が勧める値を変えるたびに、また新しい AI エージェントを加えるたびに、管理者は自社の設定を読み直すことになる。

Key Points ── 持ち帰る 3 つ
  1. Microsoft は利用者ごとの上限を任意としつつ、一人が予算を使い切るのを防ぐため設定を勧めている。書かなければ、一人の使い方で月の予算が尽きうる。
  2. 新しいサービスを支出の対象に自動で加える設定は、初めからオンになっている。管理者が切らなければ、誰も選んでいない AI エージェントに費用が付きうる。
  3. 販売店向けの発表は、初期設定の上限額を数字で示していない。費用の上限は、販売店の資料の数字で判断せず、自社のテナントに入っている値で確かめる。
結語

AI エージェントの料金が使った分で決まるとき、毎月の費用の上限と範囲を決めるのは、管理者が書く上限と、費用を払う機能の範囲である。管理者が何も書かなければ、Microsoft の初期設定のまま、社員が使った量が費用を決める。

11月2日の変更として発表されたのは、料金の金額ではなく、従量課金の初期設定である。変わるのは、費用の上限を決める責任の置き場所である。席の料金なら、購入の審査で一度承認すれば済んだ。従量課金では、上限を書く人と使用量を読む人を組織の中で決めておく。そして Microsoft が設定を変えるたびに、二人が設定を読み直す。

出典·参考文献
  1. Microsoft Learn(Partner Center announcements). Usage-based billing is default on for new Microsoft 365 Copilot Business licenses starting November 2, 2026. 2026-09-16.(初期設定の変更の日付と範囲、対象の三機能、販売店への利点と報酬、あらかじめ設定された月の上限への言及)
  2. Microsoft Learn. Usage-Based Billing and Cost Management for Copilot Credits.(Copilot Credits の定義、新しいサービスの自動追加が初めから有効であること、今後もサービスを加えること)
  3. Microsoft Learn. Managing AI experiences enabled by usage-based billing.(月の上限の選択肢、利用者ごとの上限、上限到達時の停止と翌月 1 日の再開、画面の更新間隔、推奨の変更)
  4. GeekWire. 'Agents are very harsh customers': Microsoft exec warns many apps will lose pricing leverage. 2026-09-30.(Charles Lamanna の発言と、値段の決め方が使った量へ移るという見方)
  5. Microsoft Copilot Blog. Scale your agent rollout with confidence: Introducing Copilot Credit Pre-Purchase Plan. 2025-10-27.(Copilot Studio の従量課金で 1 メッセージ 0.01 ドル)
  6. Technspire. Copilot Credits go default-on: your 2 November checklist. 2026-09-30.(販売店向けの発表の頁に初期設定の上限額が載っていないこと)
  7. Topedia Blog. New Microsoft 365 Copilot Business subscriptions from CSP Partners will come with PAYG preconfigured. 2026-09-30.(初期設定の変更の報道と、対象として挙げられた Copilot Cowork、Work IQ API、GitHub Copilot Harness)