AIとがん研究 ── 前立腺がん ── 2026-10-12
前立腺がんの治療・治験とAI
- MRI-derived radiomics for prostate cancer active surveillance: a systematic review.抄録(全訳)
目的:前立腺がんで監視療法(AS)を受けている、または AS の対象となる男性を対象とした。そうした男性の転帰を予測する、MRI 由来のラジオミクスと人工知能(AI)のモデルを系統的にレビューした。あわせて、報告されたエンドポイントで定量的な統合が可能かを検討した。
方法:PRISMA 2020 に従い、PubMed、Scopus、Embase、Web of Science を検索した(2000年〜2026年9月)。2名のレビュアーが、それぞれ独立にスクリーニングとデータ抽出を行った。バイアスのリスクは QUADAS-2 と PROBAST、方法論的な質は METRICS で評価した。サブグループは3つ定義した。診断時の AS 対象者の選択、ベースラインでの臨床的に有意ながんの検出、経過観察中の進行である。独立したコホートが4つ以上あるサブグループでは、統合を事前に規定した。エンドポイントの同等性も評価した。
結果:12の独立したコホートに由来する17件の研究を対象とした。7件の論文は、2つのコホートに由来していた。重複を整理した後、独立したコホート単位の推定値が12件残った(n = 2703)。進行を扱った論文は9件(独立コホート4つ)で、AUC は0.70〜0.95であった。ただし進行は、互いに同等でない5通りの方法で定義されていた。グレードグループが少しでも上がることを進行とするものから、生検コア数を組み合わせた複合基準まであった。そのため、定量的な統合はできなかった。バイアスのリスクは、17件中16件で高いか不明であった。METRICS スコアの中央値は32.3%(範囲18.9〜52.3%)であった。進行について、外部検証や較正を報告した研究はなかった。
結論:進行のエンドポイントはばらばらで、臨床的な意味が限られるものもいくつかあった。臨床での利用を検討する前に、優先すべきことがある。まず、AS のコアアウトカムセット(共通して測る評価項目の組)を定めることである。少なくとも ISUP グレードグループ3以上、および/または明確な画像上の進行を含む、AS の中核アウトカムセットが必要である。そのうえで多施設の外部検証を行い、PRECISE v2(Prostate Cancer Radiological Estimation of Change in Sequential Evaluation)スコアと直接比較することが、臨床使用を検討する前の優先事項である。
掲載誌の IF 相当:3.6(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-10-11 時点の値、2026-10-12 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Kyle ET, Sweeney KJ, McCabe DH, O’Sullivan NJ, Corr A, Sheehy N, et al. MRI-derived radiomics for prostate cancer active surveillance: a systematic review. European Journal of Radiology. 2026 Dec;205:113291. doi:10.1016/j.ejrad.2026.113291.確認の範囲:抄録のみ確認 - HistoEncoder: A digital pathology foundation model for prostate cancer.抄録(全訳)
基盤モデルは、膨大なデータで学習して画像の複雑なパターンをとらえる。学習を終えた基盤モデルは、少ない計算資源で多様な下流タスクに使える。著者らは、前立腺組織のタイル画像 4,800 万枚で事前学習を行い、前立腺がんのデジタル病理向け基盤モデル HistoEncoder を作った。HistoEncoder は組織学的特徴を自動で抽出する。抽出した特徴は、グリソンパターンを高い精度で予測できる。性能は、はるかに大きな汎がん基盤モデルと同等である。それでいて、効率は大幅に高い。少量のデータと計算資源でモデルを微調整し、HistoEncoder の臨床での使い方を二つ示す。第一に、HistoEncoder を使うと、大規模データセットに高い精度で自動的にアノテーション(注釈付け)を付けられる。第二に、HistoEncoder から得た組織像のクラスターは、内部交差検証において、グリソン分類と同程度の予後情報を含んでいた。これは内部交差検証での結果である。HistoEncoder のような軽量の基盤モデルを使えば、各機関は大規模なデータセットや重い計算がなくても、有効な臨床ソフトウェアを作れる。
掲載誌の IF 相当:3.3(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-10-11 時点の値、2026-10-12 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Pohjonen J, Batouche O, Kantola J, Rannikko A, Sandeman K, Erickson A, et al. HistoEncoder: A digital pathology foundation model for prostate cancer. Journal of Pathology Informatics. 2026 Nov;23:100715. doi:10.1016/j.jpi.2026.100715.確認の範囲:抄録のみ確認