AIとがん研究 ── がん一般 ── 2026-10-11
がん一般の分子生物学の進展とAI
- A grayscale ultrasound-based two-stage deep learning framework for automatic segmentation and benign-malignant differentiation of subpleural pulmonary lesions抄録(全訳)
背景:肺がんは、世界で最も死亡率の高いがんの一つである。胸膜下の悪性病変と良性の感染性病変は、グレースケール超音波では正確に見分けるのがまだ難しい。判定が検査者の主観に左右されるためである。そこで、二段階の深層学習フレームワークを開発し、検証した。一段階目で病変の領域を自動で抽出(セグメンテーション)し、二段階目で良悪性を分類する。
方法:後ろ向き研究である。対象は胸膜下肺病変(SPL)の患者とした。施設 1 からは、2023 年 1 月〜2024 年 12 月の受診者を集めた。施設 2 と施設 3 からは 2024 年 6 月〜12 月に患者を集め、それぞれ外部テストセット 1、2 とした。病変のセグメンテーションには、nnU-Net、U-Net、DeepLabv3+ を用いた。良悪性の分類には、DenseNet121/201、EfficientNet-B0/B1/B2/B3/B4/B5、ResNet18/50/101、Inception-V3、VGG19 を用いた。モデルの性能は、ダイス類似係数(Dice)や受信者動作特性曲線下面積(AUC)などで評価した。読影には、経験の異なる放射線科医 6 人(若手 3 人、熟練 3 人)が参加した。AI 支援なしの読影と AI 支援ありの読影で、診断能を比べた。読影医 3 人分をまとめた差は、症例単位のクラスター・ブートストラップ法で推定し、ボンフェローニ補正を行った。多重性はボンフェローニ法で補正した。
結果:対象は 1059 人で、年齢は 61.32 ± 13.82 歳、男性は 726 人であった。セグメンテーションでは、nnU-Net の成績が最も良かった。Dice は、調整・検証セット(n = 257)で 0.920 であった。外部テストセット 1(n = 108)では 0.913、外部テストセット 2(n = 94)では 0.915 であった。分類では 13 種の候補構造を比べた。内部の調整・検証セットで最も成績が良かった DenseNet121 を、最終モデルに選んだ。続いて、2 つの外部コホートで評価した。AUC は外部テストセット 1 で 0.889(95% 信頼区間 0.827〜0.951)であった。外部テストセット 2 では 0.865(95% 信頼区間 0.790〜0.940)であった。若手放射線科医では、AI 支援ありの読影で全体の診断精度が有意に高かった。この結果は、2 つの外部テストコホートのどちらでも認められた(ボンフェローニ補正後 P はいずれも < 0.001)。熟練放射線科医でも精度は向上したが、多重性を補正すると統計的に有意ではなかった。 結論このモデルは、補助診断ツールとなる可能性がある。 試験登録
掲載誌の IF 相当:3.8(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-10-02 時点の値、2026-10-03 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Ma Q, Liang T, Yi J, Bai H, Li Y, Shen M, et al. A grayscale ultrasound-based two-stage deep learning framework for automatic segmentation and benign-malignant differentiation of subpleural pulmonary lesions. BMC Med Imaging. 2026 Oct 9 [Epub ahead of print]. doi:10.1186/s12880-026-02887-y.確認の範囲:抄録のみ確認 - An ensemble framework for robust drug response prediction and large-scale sensitivity profiling across cancers抄録(全訳)
がんが治療にどう応答するかを予測するのは、まだ難しい。腫瘍は多様であるうえ、計算モデルは学習していない薬剤や検体では成績が落ちやすいためである。本研究で、深層学習モデルの精度は条件によって変わることが分かった。精度を左右したのは、分子データの入力、薬剤の記述方法、モデルの設計、評価の条件である。精度が最も大きく落ちたのは、学習時に含まれない薬剤や、別のデータセットで試験した場合であった。そこで、メタ学習フレームワーク Drug Response Integration and Voting Ensemble(DRIVE)を開発した。ホールドアウトデータに対する予測を使って、複数のモデルを組み合わせる手法である。9 モデルのアンサンブルでは、個々のモデルや他のアンサンブル手法と比べ、予測精度が向上した。薬剤の順位付けと安定性も向上した。このフレームワークは、再現可能な Nextflow ワークフローとして実装した。これを用いて、薬剤応答の実測値と予測値をまとめたリソースを作った。対象は、がん細胞株、患者由来検体、化合物ライブラリである。大腸がんでは、このフレームワークで治療法の候補を見つけた。これらの抗腫瘍活性は、細胞モデルと動物モデルで確認された。この手法は、治療法探索のための拡張性のある方策となる。
本研究では、薬剤応答モデルのベンチマークを行った。そのうえで、大規模ながん薬剤感受性予測のためのメタ学習アンサンブル DRIVE を開発した。DRIVE は頑健性を高める。また、大腸がんで抗腫瘍活性が検証された化合物を優先的に選び出した。
掲載誌の IF 相当:6.6(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-10-10 時点の値、2026-10-11 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Feng Y, Zhou S, Luo S, Feng B, Wu H, Zeng Y, et al. An ensemble framework for robust drug response prediction and large-scale sensitivity profiling across cancers. Commun Biol. 2026 Oct 8 [Epub ahead of print]. doi:10.1038/s42003-026-11124-9.確認の範囲:抄録のみ確認