AIと神経難病・神経免疫疾患 ── 多発性硬化症 ── 2026-10-11
多発性硬化症の治療・治験とAI
- MedSegNet-AXU: advanced segmentation and graph-based classification of multiple sclerosis lesions from 3D magnetic resonance imaging via radiomics and clinical data fusion抄録(全訳)
多発性硬化症(MS)は慢性の神経疾患である。中枢神経系に脱髄病変ができ、神経インパルスが伝わりにくくなる。その結果、運動・感覚・視覚の機能が変化する。治療を効果的に行い、病気の進行を防ぐには、早期診断が欠かせない。MS 病変の正確なセグメンテーション(領域分割)も同様に欠かせない。
本研究では、MS 病変をセグメンテーションする新しい枠組み MedSegNet-AXU を作った。このモデルは U-Net を骨格とする。そこに畳み込みブロック注意モジュール(CBAM)と拡張 Atrous 空間ピラミッドプーリング(ASPP)を組み込んだ。これにより、チャネル方向と空間方向の注意機構を両方とも有効に使い、セグメンテーションの精度を高めている。
多発性硬化症脳 MRI データセット(BMDMS)で評価した。Dice スコアは 98.58%、特異度は 98.71% であった。MedSegNet-AXU は、Brain Tumor Segmentation(BRATS)2019、2020、2021 の各データセットでも評価した。モダリティと腫瘍領域のいずれでも、平均 Dice スコアは 92〜96%、Jaccard 指数は 85〜91% であった。
セグメンテーションした MS 病変から、ラジオミクス特徴量を 21 個抽出した。対象は感覚系・運動系・視覚系である。これらの特徴量を臨床メタデータと統合した。カイ二乗による特徴量選択で上位 20 個を選んだ。これを従来の機械学習モデルとグラフベースのモデルで分類した。GraphSAGE はほかのモデルを有意に上回った。テストでの正解率は、感覚系 86.21%、運動系 96.55%、視覚系 75.86% であった。GraphSAGE モデルの信頼性は、2 つの方法で検証した。異常エッジを用いた閾値解析(Threshold Analysis with Anomaly Edges)と、相関範囲クラスタリング(Correlation Range Clustering)である。
この手法では MRI 画像と臨床データを組み合わせる。MS 病変を総合的に解析できるツールとなり、正確な診断と個別化した治療戦略に役立つ。
掲載誌の IF 相当:5.5(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-10-10 時点の値、2026-10-11 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Karim W, Zaman SB, Sutradhar D, Debnath RK, Azam S, Yeo KC, et al. MedSegNet-AXU: advanced segmentation and graph-based classification of multiple sclerosis lesions from 3D magnetic resonance imaging via radiomics and clinical data fusion. Complex Intell Syst. 2026 Oct 8 [Epub ahead of print]. doi:10.1007/s40747-026-02535-6.確認の範囲:抄録のみ確認