AIと希少疾病 ── 基盤(総論) ── 2026-10-03
希少疾病の診断と創薬の基盤とAI
- HRCT-based radiomic models for SSc-ILD detection: a comparison of radiomic-only, clinical-only, and combined approaches—an exploratory study抄録(全訳)
背景・目的 全身性強皮症(SSc)では、間質性肺疾患(ILD)が経過を左右する重要な因子である。高分解能 CT(HRCT)の定量的ラジオミクスは、ILD の検出に役立つ。特に、呼吸機能検査を行えない場合に有用である。本研究では、SSc の ILD を検出する機械学習(ML)モデルを 3 種類作り、性能を比べた。使う情報はラジオミクスのみ、臨床情報のみ、ラジオミクスと臨床情報の併用の 3 通りである。
方法:単施設の後ろ向き研究で、SSc 患者 67 例(ILD 陽性 38 例、ILD 陰性 29 例)を対象とした。全肺をセグメンテーションし、HRCT からラジオミクス特徴量を計 852 個抽出した。特徴量選択の後、ロジスティック回帰(LR)モデルの性能を評価した。モデルはラジオミクスのみ、臨床情報のみ、ラジオミクス+臨床情報の 3 種類である。評価には 5 分割交差検証を用いた。out-of-fold(OOF)確率から、曲線下面積(AUC)、正解率、F1 スコアを算出した。閾値は Youden 指数で決めた。キャリブレーションと決定曲線分析(DCA)も行った。2 モデル間の AUC の差は DeLong 法で検定した。
結果:ラジオミクスのみのモデルは、OOF AUC 0.819、正解率 0.821、F1 スコア 0.838 であった。OOF AUC は、臨床情報のみのモデルで 0.760、併用モデルで 0.825 であった。DeLong 検定では、モデル間の AUC に有意差はなかった(いずれも P > 0.05)。決定曲線分析では、閾値確率が低〜中程度の範囲で、どの戦略も正味の便益が正であった。各戦略の曲線はおおむね重なっていた。
結論:HRCT のラジオミクス特徴量は、SSc の ILD 検出で良好な識別能を示した。性能は臨床変数のみの場合より数値上は高かった。ただし、DeLong 検定ではこの差は有意ではなかった。ラジオミクスモデルに臨床変数を加えると、感度はわずかに上がった。一方、AUC の有意な改善はなかった。HRCT のラジオミクスは、ILD 検出に有用な画像バイオマーカーとなりうる。今回のコホートでは呼吸機能のデータが得られなかった。それでも今回の結果から、HRCT 由来のラジオミクスで補完的な診断情報が得られる可能性が示唆される。
掲載誌の IF 相当:1.2(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-10-02 時点の値、2026-10-03 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Say A, Doğru A, Çakmakçı Sözen M, Kayan M, Uğurlu Z, Gür Hatip F, et al. HRCT-based radiomic models for SSc-ILD detection: a comparison of radiomic-only, clinical-only, and combined approaches—an exploratory study. Egypt J Radiol Nucl Med. 2026 Oct 1;57(1):209. doi:10.1186/s43055-026-01858-1.確認の範囲:抄録のみ確認