AIとがん研究 ── 乳がん ── 2026-10-03
乳がんの治療・治験とAI
- A multimodal deep learning radiomics nomogram integrating clinicopathological features for predicting pathological complete response after neoadjuvant therapy in triple-negative breast cancer: a multicenter retrospective study抄録(全訳)
背景pCR を非侵襲的に正確に推定できれば、多職種での検討に役立つ可能性がある。しかし、MRI と超音波を組み合わせた根拠はまだ少ない。著者らは、臨床病理学的情報を組み込んだ深層学習ラジオミクス・ノモグラムを作り、外部検証を行った。また、あくまで仮定に基づく事後的な手術計画の場面で、補助としての価値の可能性を探索した。
方法:施設の倫理審査委員会の承認を得ており、同意の取得は免除された。本研究は後ろ向きの多施設診断精度研究である。対象は、生検で TNBC と確定し、NAT と手術を受けた 436 例である。内訳は、施設 1 の訓練コホート(n = 268)と内部検証コホート(n = 86)、外部検証用の協力施設 2・3 の過去症例(n = 82)である。pCR は ypT0/is ypN0 と定義した。治療前の画像は 4 種類を解析した。ダイナミック造影 MRI(DCE-MRI)、拡散強調画像(DWI)と見かけの拡散係数(ADC)マップ、T2 強調画像(T2WI)、B モード超音波である。腫瘍内部と、腫瘍周囲 5 mm のリング領域からラジオミクス特徴量を抽出し、LASSO で選んだ。DenseNet-121 で画像の種類ごとに深層特徴量を抽出し、マルチヘッド自己注意機構で融合した。年齢、腫瘍径、Ki-67、腫瘍浸潤リンパ球(TILs)、cT/N 病期、組織学的グレードを画像スコアと統合した。これをロジスティック回帰に入れ、ノモグラムを作った。パラメータと閾値は施設 1 での開発後に固定し、外部データには 1 回だけ適用した。モデルの出力は臨床では一切使っていない。特徴量の標準化と ComBat による施設間補正のパラメータも、訓練コホートで厳密に固定した。特徴量の標準化と ComBat によるハーモナイゼーションのパラメータは、訓練コホートで厳密に固定したうえで検証データに適用した。
結果:pCR は 436 例中 182 例(41.7%)で得られた。ノモグラムの受信者動作特性曲線下面積(AUC)は次のとおりである。訓練で 0.917(95% 信頼区間 0.881〜0.947)、内部検証で 0.883(同 0.814〜0.937)、外部検証で 0.856(同 0.773〜0.921)であった。外部検証の AUC は、臨床モデル(0.721)、ラジオミクスモデル(0.786)、深層学習モデル(0.819)を上回った。固定した閾値での外部検証の感度は 0.765、特異度は 0.813、正確度は 0.793 であった。較正は許容範囲であった(傾き 0.93、切片 −0.06、Brier スコア 0.16)。決定曲線解析では、閾値 0.20〜0.70 で正味の便益があった。複数の閾値で解析すると、特異度を重視した閾値(0.65)では陽性的中率が 0.85 であった。高特異度の閾値(0.65)では陽性的中率が 0.85 となり、pCR に達する確度が非常に高い一部の患者を見分けられる可能性がある。外部検証では、臨床モデルに比べて再分類が改善した(連続的純再分類改善度[NRI]0.34、P = 0.003;統合識別改善度[IDI]0.11、P = 0.008)。 結論そのなかで本ノモグラムは、NAT 後の pCR 予測で後ろ向きに良好な精度を示した。このモデルは、pCR 予測と術前の層別化を補助するものとして示しており、手術判断を直接支えるものではない。手術方針の決定を直接支えるものではない。実用化の前に、前向きの検証と臨床的な影響を調べる研究が必要である。
掲載誌の IF 相当:2.7(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-10-02 時点の値、2026-10-03 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Qi C. A multimodal deep learning radiomics nomogram integrating clinicopathological features for predicting pathological complete response after neoadjuvant therapy in triple-negative breast cancer: a multicenter retrospective study. Front Oncol. 2026 Oct 2;16:1893983. doi:10.3389/fonc.2026.1893983.確認の範囲:抄録のみ確認