ChatGPT の画像生成の場面に広告が加わる。広告はラベル付きで分けて置かれる。答えに混ぜた広告は実験の参加者の多くが見抜けなかった。検証会社が試すのは広告の安全策で、答えへの影響を測る仕組みは公表されていない。業務では広告の出ない契約を選び、勧めは別の出典で確かめる。
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2026 年 10 月 5 日、OpenAI は ChatGPT の画像生成の場面に画像の広告を加え、10 月後半から米国で試すと発表した。OpenAI は同じ発表で、広告は ChatGPT の答えに影響しないと改めて述べた。ChatGPT の広告は答えに影響しないという OpenAI の約束を、使う側は外から確かめられるのか。使う側が確かめられるのは、広告の表示と自分の契約の種類だけである。答えが広告に左右されていないことは、いまのところ OpenAI の約束でしか示されていない。

01ChatGPT の広告で使う側が確かめられるのは、表示と契約の二つに限られる

OpenAI が 10 月 5 日に発表したのは、商品の使い方や体験を見せる画像の広告である。OpenAI は、広告にはラベルを付け、利用者が作る画像とは分けて置くと説明した。利用者はこのラベルを自分の目で確かめられる。

利用者が確かめられることは、もう一つある。OpenAI は 1 月に、広告を出すのは無料版と、低価格の有料版である Go 版だけで、Pro・Business・Enterprise の契約には出さないと示した。自分の契約がどれかは、利用者が自分で分かる。

一方で、広告が答えの中身を変えていないことを利用者が調べる方法は、公表されていない。OpenAI と組む検証会社が答えへの影響を調べるとも、発表には書かれていない。仕事で ChatGPT を使う人は、広告の出ない契約を選んでいるかをまず確かめる。広告の出る画面では、ラベルで広告と答えを見分けることになる。

02画像広告は生成した画像と分けて置かれ、ラベル付きで 10 月後半から試される

報道によると、新しい広告は、商品を使う場面や体験を画像で見せる形式である。利用者が買い物の候補を見つけ、決めるのを助けるものとして、OpenAI は位置付けている。最初に広告が出るのは、ChatGPT で画像を作る場面だ。

試す時期は 10 月後半で、場所は米国、相手は最初に選ばれた一部の広告主である。OpenAI は、広告にははっきりしたラベルを付け、利用者が作っている画像とは離して置くと説明した。ChatGPT を毎週使う人は、OpenAI の数字で 12 億人にのぼる。

図 1 画像の依頼から広告主への計測まで
利用者が画像を頼む無料版・Go 版画像を生成広告を横に置くラベル付き提携先が効果を計測広告主が出稿利用者が画像を頼む無料版・Go 版画像を生成広告を横に置くラベル付き提携先が効果を計測広告主が出稿
利用者の依頼と広告の効果の計測は一本の流れでつながる。答えへの影響が入らないことは、この流れの外にある OpenAI の約束で示されている。

OpenAI は広告の効果を測る提携先も広げた。顧客データをつなぐ Hightouch や LiveRamp、広告がどの購入につながったかを調べる AppsFlyer や Adjust などである。広告主は、ChatGPT に出した広告の成果をこれらの会社の道具で測れるようになる。

画像広告は、1 月に始まった広告とは置き場所が違う。1 月の広告は、会話の答えの下に出る形だった。今回の広告は、画像を作る画面の横に出る。二つを混ぜずに読むと、ChatGPT の中で広告が出る場所が一つ増えたことになる。

03広告が出るのは無料版と Go 版で、健康や心の健康の話題の横には出ない

広告が誰の画面に出るかは、OpenAI が 1 月に示した原則で決まっている。報道によると、原則の中身は次のとおりである。

見るところ無料版・Go 版Pro・Business・Enterprise
広告の表示出る(答えの下、試験中は画像を作る場面にも)出ない
健康・心の健康・政治の話題その話題の近くには出ない広告そのものが出ない
18 歳未満の利用者本人の申告か OpenAI の推定で、出さない広告そのものが出ない
会話の中身広告主に売らないと OpenAI は説明同じ

この原則に従えば、病気や薬について ChatGPT に尋ねている画面には広告が出ない。医療の情報を調べる人にとっては、広告と答えが並ぶ場面が一つ減ることになる。

ただし、この原則は 1 月の報道で確かめたもので、10 月の時点で変わっていないかを私は確かめていない。製薬会社など規制のある業種が ChatGPT に広告を出せるかも、手元の出典からは分からない。ここで言えるのは、利用者の側で広告が出ない話題が決められている、ということまでである。

04答えに混ぜたラベルの無い広告を、実験の参加者の多くは見分けられなかった

健康の話題では広告が外される。それ以外の話題では、利用者は答えと広告を自分で見分けられるのか。ミシガン大学の Tang らは、この点を実験で調べた。

Tang らは、答えの中に個人向けの商品広告を混ぜるチャットボットを自分たちで作った。そして 179 人の参加者を組に分け、広告入りの答えと広告なしの答えを使ってもらった。参加者の多くは、答えの中の広告に気づかなかった。しかも参加者は、広告が隠れている答えのほうをむしろ好んだ。

この実験は、研究者が作ったチャットボットで行われた。ChatGPT の広告を調べたものではない。それでもこの実験は、答えの文に混ぜた広告を参加者が見抜きにくかったことをはっきり示した。ラベルを付ければ見分けやすくなるかまでは、この実験は調べていない。答えの文そのものから広告を見抜くのが難しい以上、広告と答えを分ける手がかりとして利用者に残るのはラベルである。

シドニー大学の Ciriello と Backholer は、チャットボットの広告には別の重みもあると論じている。二人によると、人は助言や心の支えを求めて、私的な使い方でチャットボットに相談する。人が助けを求めて何かを決める場面に広告が出ると、広告は人を動かしやすくなる。二人はそう指摘している。

05検索広告では FTC が 2002 年と 2013 年に、広告と結果の区別を表示で求めた

答えと広告を人が見分けにくいという問題は、検索エンジンの広告でも起きてきた。米国で広告の公正さを監督する連邦取引委員会、つまり FTC は、この問題に表示の規則で応えてきた。

①

2002 年

FTC が検索エンジンに、広告と自然な検索結果を区別するよう文書で求めた。

②

2013 年

一般の検索 7 社と専門の検索 17 社に、網掛け・枠線・ラベルでの区別を改めて求めた。

③

2015 年

ネイティブ広告の指針で、「Ad」「Paid Advertisement」など、広告と分かる語を勧めた。

2013 年の文書を伝えた法律事務所 Crowell & Moring によると、FTC はラベルに三つの条件を付けた。広告だとはっきり分かる言葉を使うこと、気づける大きさにすること、広告のすぐ近くに置くことである。2015 年の指針は、「Promoted」という語はあいまいで、利用者を誤らせうるとも書いている。

図 2 「答えに影響しない」を確かめる四つの手段
答えに影響しない広告のラベル利用者が見る契約の種類会社が選ぶ置き場所の試験広告主のため答えの監査公表なし答えに影響しない広告のラベル利用者が見る契約の種類会社が選ぶ置き場所の試験広告主のため答えの監査公表なし
利用者と会社が使える手段は表示と契約で、外部の試験は広告主のためにある。答えへの影響を調べる手段は公表されていない。

FTC の規則が、そのまま ChatGPT に当てはまると言うつもりはない。ここで確かめたいのは、検索広告で 2002 年から積み上がってきたのが、表示についての規則だったという事実である。ここで挙げた FTC の文書にも、検索結果の中身を外部の人が調べる仕組みは書かれていない。

06画面ではラベルを見て、仕事では契約を選び、答えの独立は約束として扱う

検索広告でも、利用者を守る手段は表示に置かれてきた。ChatGPT を使う人に残る判断も、表示と契約から始まる。

①

画面ではラベルを見る

無料版と Go 版を使うときは、答えの下や画像の横の枠に「広告」の表示があるかを見る。

②

仕事では契約を選ぶ

業務は、広告の出ない Business や Enterprise の画面で行う。

③

勧めは別の出典で

答えが特定の商品を勧めたら、広告の影響が無いと決めつけず、別の出典で確かめる。

無料版や Go 版で調べものをするとき、利用者は広告とラベルを見分ける役を自分で負う。Tang らの実験では、ラベルの無い広告を参加者の多くが見抜けなかった。FTC が検索広告に求めてきたのも、はっきり分かる語での表示である。画面の枠にラベルがあるかを見る習慣が、利用者にできる最初の手当てになる。

仕事で使う画面からは、広告そのものを外せる。OpenAI の原則では、Pro・Business・Enterprise の契約には広告が出ない。会社の業務で ChatGPT を使うなら、どの契約で使っているかを情報システムの担当者に確かめておく。ラベルを見分ける手間より、広告の出ない画面で働くほうが確かである。

三つ目は、答えが商品を勧めてきたときの扱いだ。広告が答えに影響しないとする根拠は、いまのところ OpenAI の説明だけである。外部の誰かが答えを調べて確かめた結果は、公表されていない。答えが特定の商品やサービスを勧めたら、別の出典でも同じことが言えるかを確かめる。

図 3 仕事で ChatGPT を使う前に確かめる順序
はい残る画面契約を確かめる広告が出る版か業務は広告なしへBusiness 等出る画面はラベル答えと分ける勧めは別出典ではい残る画面契約を確かめる広告が出る版か業務は広告なしへBusiness 等出る画面はラベル答えと分ける勧めは別出典で
最初の分かれ目で業務の画面から広告を外し、残る画面ではラベルを見て、商品の勧めは別の出典で確かめる。

07外部の検証会社が試すのは広告の安全策で、答えへの影響を測る仕組みは公表されていない

OpenAI は、外部の検証会社と組んだ試験も始める。この試験で、答えへの広告の影響まで確かめられるようになるのか。組む相手は DoubleVerify と Integral Ad Science の 2 社で、広告の安全策を試すと OpenAI は発表した。

報道によると、二社は管理された試験の場で安全策を評価し、利用者の私的な会話には触れない。広告の安全性という言葉は、広告業界では広告主の側の安全を指すことが多い。広告主が守りたいのは、自社の広告が不適切な記事の隣に出て、ブランドの評判が傷つかないことである。会話を見ずに行う評価が、答えの中身に広告が入り込んでいないかまで調べるとは、発表からは読み取れない。

シドニー大学の Ciriello と Backholer は、OpenAI の約束はあいまいで、解釈を変えやすいと書いている。二人は、ソーシャルメディアの初期にも同じような約束があり、商業の圧力の下で自主規制は弱まったと指摘する。これは二人の意見であり、OpenAI が答えを広告で変えているという証拠ではない。

確かなのは、答えへの影響を外から測る仕組みが、まだ公表されていないという一点である。そうした仕組みが公表されるまで、仕事で使う人にとって確かな手段は、広告の出ない契約と、勧めを別の出典で確かめる習慣の二つになる。

Key Points ── 持ち帰る 3 つ
  1. Tang らの実験では、参加者の多くが答えに埋め込まれた広告を見分けられなかった。広告の出る画面では、ラベルで見分ける役が利用者に残る。
  2. ChatGPT の広告は無料版と Go 版に出て、Pro・Business・Enterprise には出ない。仕事では広告の出ない契約を選ぶことが最も確かな手段になる。
  3. 提携する検証会社が試すのは広告の安全策で、答えへの影響を外から測る仕組みは公表されていない。答えの独立は約束として扱う。
結語

ChatGPT の広告が答えに影響しないという約束を、使う側が外から確かめる手段はまだ無い。確かめられるのは広告のラベルと契約の種類である。仕事では広告の出ない契約を選び、それ以外の画面では、答えの勧めを別の出典で確かめることになる。

OpenAI が約束を破っているという証拠も、手元の出典には無い。それでも、約束を確かめる道具が利用者の手元に無い以上、利用者が頼れるのは自分で選べる契約と、自分で確かめる習慣のほうである。

出典·参考文献
  1. Unite.AI(Aiden Cross). OpenAI Introduces Visual ChatGPT Ad Format and Expanded Measurement. 2026-10-05.(画像広告の形式、10 月後半の米国での試験、ラベルと分離、答えへの不介入の説明、計測の提携先、DoubleVerify と IAS の試験)
  2. CMOtech US(Mark Tarre). OpenAI to test ads as ChatGPT Go expands across US. 2026-01-19.(広告が出る契約と出ない契約、18 歳未満と健康・政治の話題の除外、会話を売らない原則)
  3. Federal Trade Commission. Native Advertising: A Guide for Businesses. 2015-12.(広告と分かる語、あいまいな語)
  4. Crowell & Moring. FTC Updates Guidance to Search Engine Industry on the Need to Distinguish Between Advertisements and Search Results. 2013.(2002 年の文書、2013 年の 7 社と 17 社、網掛け・枠線・ラベル)
  5. Brian Jay Tang, Kaiwen Sun, Noah T. Curran, Florian Schaub, Kang G. Shin. Ads that Talk Back: Implications and Perceptions of Injecting Personalized Advertising into LLM Chatbots. arXiv:2409.15436, 2024.(179 人の実験、広告を見分けられず隠れた広告入りの答えを好んだ)
  6. The University of Sydney(Raffaele Ciriello, Kathryn Backholer). OpenAI will put ads in ChatGPT. This opens a new door for dangerous influence. 2026-01-28.(相談の場の広告、商業の圧力と自主規制)