AIとがん研究 ── 肺がん ── 2026-10-14

肺がんの治療・治験とAI
- CT-based habitat radiomics and deep learning for preoperative prediction of spread through air spaces in early-stage lung adenocarcinoma抄録(全訳)
目的:気腔内進展(STAS)は、肺腺がんの浸潤様式の一つである。再発リスクの上昇や予後不良と関連する。術前に STAS を特定できれば、術式を選ぶ際の判断材料になりうる。本研究の目的は、早期肺腺がんの STAS を術前に予測する融合モデルを作り、検証することである。このモデルでは、CT に基づくハビタットラジオミクスと深層学習を組み合わせた。 材料と方法 I 期肺腺がん 248 例(STAS 陽性 120 例、陰性 128 例)を後ろ向きに解析した。内訳は学習コホート 173 例、テストコホート 75 例である。 CT のハビタット解析では、全腫瘍のボクセル単位の特徴ベクトルをまとめて K-means クラスタリングにかけた。これで 4 つのハビタット部分領域を得た。 特徴量を選択したうえで、5 種類のモデルを作って比較した。従来のラジオミクス、ハビタットラジオミクス、マルチチャネル 2D 深層学習、3D 深層学習、深層学習とハビタットの融合モデルである。 どのモデルも、受信者操作特性曲線下面積(AUC)、較正曲線、決定曲線分析で評価した。
結果:従来のラジオミクスとハビタットラジオミクスのモデルでは、Habitat H4 のテストコホート AUC が最も高かった。AUC は 0.802(95% 信頼区間 0.700〜0.904)である。H4 は、CT のクラスタリングで得た 4 つのハビタット部分領域の一つである。腫瘍全体を対象とする従来のラジオミクスモデル(AUC 0.739、95% 信頼区間 0.626〜0.853)を上回った。 深層学習モデルでは、3D 深層学習モデルのテストコホート AUC が 0.815(95% 信頼区間 0.715〜0.915)であった。マルチチャネル 2D 深層学習モデルの AUC は 0.747(95% 信頼区間 0.633〜0.862)で、3D モデルのほうが上回った。 全モデルの中で数値上の性能が最も高かったのは、Habitat H4 と 3D 深層学習を組み合わせた融合モデルである。AUC は学習コホートで 0.913(95% 信頼区間 0.873〜0.953)、テストコホートで 0.824(95% 信頼区間 0.727〜0.920)であった。いずれもラジオミクスモデルより有意に高かった。DeLong 検定でも、融合モデルは従来のラジオミクスモデルを有意に上回った(P < 0.05)。 決定曲線分析では、融合モデルの臨床上の正味の利益のほうが大きかった。較正曲線では、予測確率と実際の確率がよく一致した。 結論 早期肺腺がんの STAS を術前に非侵襲的に予測するうえで、ハビタットラジオミクスと 3D 深層学習の特徴量を融合したモデルは良好な性能を示した。2 種類の特徴表現は、互いを補い合う可能性がある。このモデルは術前のリスク層別化に役立つ可能性がある。ただし、手術方針の決定でどのような役割を担えるかは、まだ分からない。外部コホートと前向き研究でさらに検証する必要がある。
掲載誌の IF 相当:3.8(OpenAlex の直近 2 年の平均被引用数・2026-10-02 時点の値、2026-10-03 に取得。正式な IF(Clarivate)ではない)書誌:Liu X, Wu L, Li L, Rao Z, Su R, Xu F, et al. CT-based habitat radiomics and deep learning for preoperative prediction of spread through air spaces in early-stage lung adenocarcinoma. BMC Med Imaging. 2026 Oct 12 [Epub ahead of print]. doi:10.1186/s12880-026-02892-1.確認の範囲:抄録のみ確認