人員削減と代替される監督
独Generali(ジェネラリ)は2030年までに800人を削減し、AIを軸に事業を再編すると伝えられた。米農務省のIT幹部は、AIに対する人の監督は人員削減によって維持が難しくなると述べている。AIの導入は雇用、金融、メンタルヘルスの利用へと広がっている。導入を急ぐ判断と見送る判断を分けるのは、効果の大きさよりも、人の監督や支えを実際に保てるかどうかである。この半日の記事は、雇用、資金市場、心の支え、安全監視、画像診断の各分野で、その条件が満たされているかを確かめる材料として読める。
独のGenerali(ジェネラリ)は、2030年までに800人を削減し、AIを軸に事業を再編すると伝えられた(Menafn)。米国では、AIによる大量解雇への懸念から、議会が労働者を支える策を探り始めている(The New York Times)。解雇の動きは企業の計画と政治の議題の両方で表に出てきた。一方で、数字は一方向にそろっていない。米商工会議所の調査をもとに、オクラホマの中小企業ではAIの導入で雇用が増えたという報告が多いと報じられている(KSWO 7News)。大企業の再編計画と中小企業の現場とでは、同じAIでも雇用への出方が違う。自社の規模や業種を無視して、どちらか一方の例を自社に当てはめるのは危うい。
削減が先に進むときに問題になるのは、人数そのものよりも、残る人が何を担えるかである。米農務省のIT幹部は、AIに対する「人の監督」は人員削減によって維持が難しくなると述べた(FedScoop)。AIの出力を確かめ、誤りを止める役目を人が負う前提で導入しても、その役目を担う人を減らせば前提が崩れる、という指摘だ。導入の費用対効果を、削減できる人数だけで見積もる判断は、この点で再考を迫られる。
国際労働機関(ILO)も、AIが職場を運営するとき誰が発言権を得るのかを問い、労働者の権利に注目している(Devdiscourse)。ここで問われているのは、配置や評価をAIが決める場面で、働く側が意見を述べられる仕組みがあるかどうかだ。監督を担う人員の確保と、労働者の発言の場は、別々の課題に見えるが、どちらもAIの判断に人が関与し続けられるかという同じ点にかかわる。
