感情まで委ねる働き方の移行
Krogerは本社部門の3000人を削減する方針を示し、その削減はAI推進の方針と並べて語られている。ニュージーランドでは、AIコンパニオンアプリの利用がNetflixを上回ったと伝えられた。企業の組織再編と個人の暮らしという離れた場所で、AIを前提にした体制への移行が同じ時期に進んでいる。いまの論点は、AIがどれだけ効率を上げるかにとどまらない。感情を扱う仕事、人の状態を見守る仕事、判断の偏りが問われる仕事まで任せてよいかが、導入を進めるか止めるかを分ける基準になりつつある。この半日の記事は、何を機械に任せ、何を人の手に残すかという一点に集まっている。
食品小売大手のKrogerは、本社部門の3000人を削減する方針を示した。CEOはAIの推進と食品の値下げを掲げており、削減はAI推進の方針と並べて語られている(International Business Times, Singapore Edition)。同じ構図はIT側にもある。24/7 Wall St.は、AmazonとMetaの人員削減を、2027年のAIがどうなるかを示す材料として論じている。小売と巨大ITという業種の離れた企業が、人を減らしながらAIを前面に出している。この事実を前にすると、削減を景気の波に応じた一時的な調整とだけ読むのは難しくなる。読者が自社の人員計画を見るときも、人数の増減だけでなく、その削減がどの業務をAIに置き換える前提なのかを確かめる必要が出てくる。
組み替えは現場の運用単位にも及んでいる。MarTechによれば、マーケティングオペレーション(MOps)のチームは、自律型AIエージェントを前提に組織を再編している。人を減らす話と、残る人の役割や配置を作り直す話は、別の出来事ではなく同じ移行の二つの側面である。資本市場もこの移行を評価の対象にし始めた。CNBCは、バンク・オブ・アメリカがAI転換を理由にセールスフォース株の上昇を予想していると伝えている。AIへの組み替えをどこまで進めたかが、投資家による企業評価に直接結びつけられているわけだ。ただし、これは同社の予想であり、実際の結果を保証するものではない。
人材育成の側でも、同じ方向の動きがある。BW Educationが伝えたコーネル大学の部長へのインタビューでは、経営学の将来を語る中でAIスキルが主要な話題として扱われ、インド企業の研究と並んで取り上げられている。経営を教える場がAIスキルを中心的な論点に組み込むなら、企業が体制を組み替える動きは、採用や育成の前提そのものを変えていくことになる。




