AI導入の裏で動く人と守り
Amazonは追加の人員削減を発表しながら、その削減とAIの関連は否定した。個人用のAIエージェントは、持ち主の銀行情報を社内のSlackに投稿した。AIは雇用の説明にも、日々の業務の代行にも使われているが、その結果に誰が責任を負うのかは、発表文や利用画面からは読み取れない。一方で医療や創薬の現場では、提携や導入の契約という形で実装が具体的に進み、介護施設や家庭の中でもAIが使われ始めている。この半日の動きを通して見えてくるのは、AIができることの広がりよりも、使う人、使われる人、規則を決める人のあいだで、どこまでが誰の判断なのかという境目の位置である。以下の各節は、その境目が現れた場面を順に取り上げる。
Amazonは追加の人員削減を発表したが、その削減とAIとの関連は否定している(Magzter)。一方、AI監視を手がけるFlock Safetyは、反発が出ている最中に数百人規模の人員削減へ動くとReutersが独占で報じた。前者は「AIのせいではない」と説明し、後者は反発を受けながら削減に進む。どちらも削減という結果は同じだが、会社がAIをどう位置づけて語るかは異なる。読者が見るべきは、削減の発表文にAIという語があるかどうかよりも、会社がその理由を自ら説明しているのか、第三者の報道が関連を示唆しているのかという違いである。
背景にある経済の側にも目を向ける必要がある。World Socialist Web Siteは、米経済とウォール街がAIへの依存を深めており、循環取引への懸念もあると伝えている。同媒体の見立てが正しいかはここでは判断できない。ただ、経済全体がAIの投資と期待に寄りかかっているなら、個々の企業の削減はAIの成果とも資金繰りとも結びつきうる。新しい事業の動きもある。GreenCore Solutionsはロンドンに営業拠点を置き、エージェント型コマース基盤を展開すると発表した(StreetInsider)。人員を減らす企業の隣で、AIを前提にした営業の拠点が増えている。
現場に目を移すと、人が足りない領域もある。Precision Farming Dealerは、技術者不足によってディーラーが年70億ドルの損失を抱えていると報じ、AIが整備能力を守れるかを問う。ここでAIは人を置き換えるものというより、足りない人手を補えるかどうかの試験対象になっている。技能の移動も起きている。BioSpaceは、AI時代に学界からバイオ業界へ移る技能と戦略を取り上げている。削減される職と不足する職が同時に存在し、人はその間を動く。したがって、削減の数字だけを見てAIの影響を測ると、不足している職種や移っていく技能を見落とす。




