AIの手応えと検証の空白
米国経済の成長がAI関連の投資と需要に支えられ、同じ時期にOracleが人員削減を行った。需要の強さと人の減少は、一つの投資から同時に出てきた結果である。その一方で、画像診断では乳腺や肝臓や脳の領域で精度を競う研究が並び、手術室や介護の場ではAIの判断の根拠が人の安全に直結し始めている。導入は進み、成果を示す数字も増えているが、その数字がどの範囲で、誰の責任のもとで確かめられたのかは、記事の見出しからは読み取れない。この半日に集めた報道は、AIをどこまで任せてよいかという判断が、成果の大きさではなく、検証がどこまで積まれているかに左右される局面に入ったことを示している。
米国経済がAI頼みになっているという指摘が、米銀の運用責任者の発言として出ている(The Dark Side Of The Boom)。AI関連の投資と需要が成長を支えている一方、その分だけ他の分野の支えが薄いという見方である。同じ時期にOracleが人員削減を行い、その是非をAI時代に基盤を貸す側の「大家」の責務という観点から論じる記事も出た(Times Now)。需要が強いことと、人が減ることは別々の話ではなく、同じ投資の表と裏として並んでいる。現場の側では、Centrical創業者のギャル・リモン氏が、AIによる現場の人員管理について語っている(Pulse 2.0)。配置や稼働の管理をAIが担うなら、AI導入は人を減らすだけでなく、管理の仕方そのものを組み替えることになる。
訓練と業務の側にも、組み替えの動きは出ている。米国のJob Corpsは、AIに代替されにくいとされる職業訓練を軸に復調していると報じられた(Wyoming Public Media)。AIで置き換わる仕事を前提に、訓練の中身を選び直している例だ。マーケティングでは、今のマーケターがAIをどう使っているかが業界媒体で紹介されている(Precision Farming Dealer)。仕事が消えるというより、同じ職種の中で作業の配分が変わっている様子がうかがえる。産業別の動きとしては、Beijing HaizhiとJointownが医薬品流通の高度化に向けたAIパートナーシップを結んだ(The Globe and Mail)。流通のように物と手続きが多い分野でも、提携を通じてAIを業務に組み込む動きが始まっている。
これらを並べると、見るべき点は二つに分かれる。一つは、成長の見返りがAIに偏っているなら、その需要が続くかどうかが雇用や投資の前提になることだ。もう一つは、人員削減、現場管理、訓練、業務の分担替えが、同時に別々の場所で進んでいることである。ここで示された材料は発言や提携の発表が中心で、置き換えの実態を測った数字ではない。そのため、導入や雇用の判断では、需要の強さを根拠にする前に、どの仕事がどう置き換わるのかを現場ごとに確かめる必要がある。




