AI投資の膨張と人の持ち場
米国のAI投資は1兆ドル規模に達したと伝えられる。資金の大きさだけを見ると、人の仕事が機械へ移る速度も同じように上がっているように読める。しかしAppleは、AppleCareの助言員5000人をAIで置き換える計画を棚上げした。医療や介護、教室や農地でもAIは入り込んでいるが、置き換えの決定そのものは急がれていない。投資額は技術がどれだけ使えるようになったかを示すが、その技術の周りで人が何を担い続けるかは示さない。この半日の記事を読むうえで手がかりになるのは、金額の大小ではなく、AIが入った後の現場に何が人の仕事として残り、何を人が判断し続けるのかという点である。
米国のAI投資は、The Hillによれば1兆ドル規模に達した。資金の流入だけを見れば、人手を機械に置き換える動きが一気に進むように読める。ところが現場の判断は、その単純な読みに沿っていない。Forkast Newsによると、Appleは AppleCare の助言員5000人をAIで置き換える計画を棚上げした。巨額の資金が動いていることと、人員を減らす判断が実行されることとは、別の話である。
同じ傾向は、アウトソーシング拠点の側にも見える。BusinessLineは、インドなどに置かれるGCC(グローバル・ケイパビリティ・センター)がAIの導入にあたり、人員の削減よりも生産性の向上を重視するようになったと伝えている。同記事は、オフィス需要がどれだけ柔軟性を備えるかに左右されるとも指摘している。つまり、AIの導入が人数の増減に直結するとは限らず、人員の規模は需要の変動に合わせて調整される変数として扱われている。投資額の大きさから雇用の縮小を予測する読み方は、ここで見直しが必要になる。
個別の導入事例では、AIは人を代わりに務めるものというより、人を統括し補佐する道具として組み込まれている。Morningstarによると、IgniteUps.aiは自動車ディーラー向けに、AI人材を統括する管理ツール「NEXUS」を発表した。管理の対象はAIであっても、それを束ねて運用する役割は人に残る設計である。金融でも、Yahoo Financeによれば、Bank of Americaは AI を使った treasury 機能を拡充し、あわせて新規社債を発行した。資金を調達して機能を厚くする判断が、人員の置き換えではなく既存業務の拡充として語られている点が注目される。





